いんたーみっしょん 「ダニエラという女」 Bパート
「作戦開始だ」
そう、言ったと同時に最初の火の手が上がる。彼らの心配は、まあ、するだけ無駄だろう。
「私たちは、私たちの作戦通りにいくぞ!」
「「「「「「シュガーレイ ワークス ゴー!」」」」」」
闇夜にまぎれるため、今夜は全員黒づくめの装束である。大剣を持つものは、剣の腹に黒檀を塗っている。
また、火の手が上がった。ぎゃあぎゃあ叫ぶ男共の声がきこえる。
「んだよ。うるせぇなぁ」
後ろのバラック小屋から男が出てきた。すかさずラナが首をはねて黙らせる。
「この建物の中を制圧するぞ」
制圧は、すぐに終わった。中には四人の男が寝ていただけだ。
最初にはねた首が賞金首だった。
「こんだけ五月蠅くなってきた中で寝てられるんだからいい身分だよな。おかげで楽だけど」
しかし、そろそろ楽できる時間は終了かもしれない。
「サニー、こっちも魔法で援護射撃してやろう」
「じゃあ、範囲で二発だけね」
言ってすぐに行動してくれる。火のついた建物から出てきたところを、
「エアロカッター!」
空気の刃で切り刻む。十人ほどいた逃亡者が全滅した。
「こわー」ラナが茶化す。
ふんす! と胸を張るサニーをおだててもう一度攻撃してもらうと、今度は建物ごと崩壊させた。
「やりすぎだしー、回収とか面倒なんですけどー」と、マリーとルージュが叱るとしゅん、とする。
上がり下がりが激しいな。
俊足のイナズマは、文字通りの電撃作戦で、すでに六ヶ所の制圧を行い、賞金首十二を挙げていた。
「ぬるい、ぬるいでゴザル。彼奴ら、自分が〝首〟である自覚があるのでゴザルか?」
「まあ、そう言うな。数が少々多かろうと、所詮は与太者」
「然り。我ら根来忍軍の辛い修行を耐えた者たちからすれば、大人と子供」
「ふむ、子供といえば……」
彼は、この戦場にいるはずの娘の安否を気にしているようだった。
「なに、アヤメ殿なら心配はあるまいて」
「そうそう、長殿は子ばなれをしなければ」
「べ、別にアヤメのことなんか心配してないんだからねっ!」
いい年のおっさんに言われて皆げんなりしたそうな。
スパイダー ネストは、もっと辛辣な罠を張っていた。
集落の出入り口の下り坂に逃亡者を誘導し、押し合い圧し合いの状況を作っていた。
「邪魔だ」「なにおっ」「てめぇどけっ」「ぐぇっ」「ぎゃぁ」
しかし、途中で止まって動けない。既に数百人が嵌ってうごけなくなっている。
「いたいいたいいたいいたいいたい!」
先頭部分に張り巡らせてある蜘蛛の巣。それは、鋼線でできた刃となって先頭の男をバラバラにした。
「い゛いたただだ゛たたぎぎゃぁぁぁぁぁ!」
後ろから強烈に押し出され男はサイコロとなった。
ここで、前にいた男が危険を騒ぎ出すと第二幕が開いた。上から降ってくる蜘蛛の糸、いや、こちらは綿糸を油に浸けていたものだ。それが、男たちの塊にからみつくや、火がはなたれる。
ぼっと、燃え上がる男たち。逃亡不可の罠に嵌められて、成すすべもなく四百人近い者が命を落とした。
~一時間程経過した~
もはや、敵の中に無事五体満足なものは、数えるほどしかいないはずである。
その、数少ない例外の中に 前領主殺しの賞金首 シャル=インサーンがいた。
その日、シャル=インサーンは酷く不機嫌だったという。
ザンゲ公爵より直々の叱責を受けた所為である。
「くっそう!あの脳うじ貴族め!何が、『卿は、領主を殺して以後新領主にマークされてる。控えよ』だ。あたしは、暴れたりないんだぁぁぁっ!」
どうせ、ヒルツの野郎が何か言ったに違いない。あの脳うじ貴族に後先考える知恵なんて無いにきまってる。不快、不快、不快、不快だぁぁぁぁっ!
こんな日は、やることは決まってる。女を斬り刻むか、男を絞り尽くすか、どっちかだ。
そして、実際、シャル=インサーンは、後者を選んだ。
「あとは、この建物くらいか」
あの後、隣の地区を担当していたサムズアップ ジェラ と合流し、共同で最後の難所を攻略することにした。相手は、あの、領主殺し シャル=インサーンと、配下の妖魔軍団だ。手数は多い方が良い。
「ググウォォォォォッ」
ゴブリン王の掛け声と共に配下のゴブリンたちが襲い掛かってくる。
しかし、S級、A級の冒険者相手では、どうにもならない。
成程、レベルの低い冒険者パーティーを入れなかったのは、被害者を出さない為にはよかったかも知れない。寄ってくるのを幸いに斬って捨ててまわる。
横では、ゴブリン王とサムズアップ~の何某が一騎打ちだ。あ、仕留めた。
「ふ、口ほどにもない」
と、どや顔で無駄に決めポーズを作っているが、JoJo立ちは、筋を痛めるぞ。
突入口が開いた。全員の無事を確認し、
「突入!」
屋敷内に入った。
中は暗く、正面にある階段の上意外から人の気配はしない。
一応、二人程残して、階上の物音のする部屋の方へと向かう。
小声で
「突入!」
と、部屋のとびらを開き室内へ入る。
「え?」「え?」
中にあったものは、アヘ顔でだらしない全裸を晒した女と、
何かと何かの結合部分だった。
「無理無理無理無理無理むりー」
一瞬で扉を閉めて部屋を出ると仲間が心配してくれた。
「よし、ここは俺達がいくぜ!」
サムズアップ~ が、張り切って突入したが、
「「「「う、うわーっ」」」」
と、悲鳴をあげたので、全員が突入する。
そこには、全裸で剣を担いだ女と、同じく全裸♡ で剣を構えた男たちが待ち構えていた。
サムズアップ~ は? 隣にいた。全員鼻血をだしながら前かがみで。
「なにやってんだよ君ら!」
全くだ。私が言えた義理じゃないが。
「ふん、童貞坊主とおぼこ娘のパーティーかい。十年早いよ! あんた達、やっておしまい!」
言われた男達が、剣を構えて襲い掛かってくる。
あれを、
股間のものを怒張させたまま。
「「「「「「いやぁぁぁぁぁっ!」」」」」」
私たちは、情けなくも逃げ惑う。
童貞、いや、サムズアップ~は、この後に及んで役立たず。
部屋中逃げ回る私達に
「あっはっは。一人残さず犯して殺せっ!」
と楽しそうに笑う女。その発言にサニーがキレた。
「こんなの、いやぁぁぁぁっ! エアロカッター!」
バカぁぁぁっ! こんな室内でぇぇっ
「ちぃっ、魔法かい!」
防御魔法を使用したが、間一髪遅かった。シャルは何とか無事だが、男たちは。
男たちは、
一物を切断され、悶絶していた。(ちーん)
サムズアップ~は、それを見て股間を抑え、顔色を青くしている。
ほんと、最後の最後で役に立たない。
しかし、形成逆転。残ったシャル=インサーンを仕留めれば私たちの勝ちだ。
「わ、わかった、降伏する。だから、は、話し合おう、な、な」
しかし、こいつは、生死問わず賞金は変わらない。つまり、生かしておく理由もない。
「そっちの男ども、助けてくれたら、やらしてあげるからぁ」
命冥加にも程がある。
そんな取引、サムズアップ~が乗ってくるわけが……
微妙な顔でもじもじすんな! キモイ!
「ああ、もう、あんなババアよりうちらの方がいいでしょが!」
げ、ラナ、その発言はヤバいぞ。
「「「「サー、イエッサー!」」」」
そんなやり取りをしてる間にマルシェが首をはねた。
その後、全員の剥ぎ取りが終了した後、サムズアップ ジェラの四人が、私達の所にやってきて、
「「「「どうか、俺達とおセックスしてください!」」」」
と、土下座された。
ラナ、どうしてくれる。って、居ないっ! 逃げた!
仕方ない。他の娘たちと、アイコンタクトすると、
「「「「「絶対、やー!」」」」」
止めを刺した。
その後、祝勝会の宴の時にまた、土下座されたが、最早相手にしなかった。
その場で、私は、スー達を出汁にして、フカとヒロシにコンタクトを取り、どさくさに紛れて
「お嫁さんにして!」
とまで言ったのだが、相手にされず。
その間にみんなは、他の貴族男子に庭へ誘われ、初めてを捧げてきたそうな。
ガッデム!
次回予告
その後、領主様に実家にある大金貨を引き取りに行く仕事をもらった「シュガーレイ ワークス」のリーダー、ダニエラだ。
この仕事を頑張れば、四か月後には、またフカに会える♡
それは、さておき。
何やらスーたちは、色々すごいことになっているらしい。いいなぁ。
次回、「男女十一人秋物語」
童貞のみんな、土下座しても無駄だからな。
男だったら、漢を見せろっ!ダニエラさんとの約束だぞ。