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ご当地ヒーローになった俺が異世界で無双してウハウハな件  作者: 拝 印篭
アルカン編 約束手形と七人の花嫁
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6th 「三悪の罠」

 どうしてこうなった。

 スカーレット ディガー 十三歳 は、頭を抱えていた。

 勇者さまと、お近づきになり、領主様の御高配により、まさか旅のお供に選ばれるなんて。

 あの子たち、私と共にご紹介された良家の子女のみんなや、ダニエラ姉様にさえ、出し抜けたと思っていたのに。受験勉強、つらかったなぁ。これで報われる。そう思っていた時期が、わたしにもありました。

 なのに、私の随員でみんなついてくるって、どーしてこーなったのぉぉっ!


 出発前日の顔合わせの際にその事実を知らされて、領主様を恨みました。

 領主様は、

「この旅の最中に勇者 フカ=コオリヤク の関心を買い、既成事実を作って、あわよくば、子供の一人や二人、こさえてしまいなさい」

 そう、わたしに特命を与えてくれましたが、きっと、他の子にも、同じ事を言っていることでしょう。

 いえ、きっと、護衛のアヤメさんも同じ事を命令されているはず。神官様のガードも硬そうだし、絶対絶命。どうしたらいいのよぉぉぉぉぉぉっ!? 




 どうしてこうなった。

 俺、郡役 不可 十九歳は、頭を抱えていた。

 明日からいよいよ新しい旅のスタートという日になって、スカーレット嬢の部下として、随員が増えるとか、しかも、みんな女の子。アヤメやアコも含めて、総勢八人の少女。男は、俺と我関せずを決め込んでいたヒロシのみ。

「漢の甲斐性というものだよねぇ。僕には関係ないけどさ」とか、くっそう!

 しかし、この世に悪の栄えた試しなし。最後になって、ヒロシにも随員ができた。

ちっちゃな女の子だ。技術将校とのことで、ヒロシ付きでお世話するらしい。ざまぁ。とか、言ってらんないんだよ。また増えた。奴も諦めて面倒見ることにしたらしいが、白い軍服のロリ技術将校って、どこまでニッチなんだよ。責任者出てこーい! いや、責任者自ら、

「みんな、勇者さまのことをお慕いしていますので、どんどん孕ませてあげてください♡」

 とか言いやがって、どうすんだ! どうする、どうなる、どうしよう……。




 城塞都市「アルカン」を出立して、約二時間。現在レンジローバーの車内にいるのは四人。

 ハンドルを握るのは、ヒロシだ。運転中は、集中してるから懸念を忘れられるそうで、運転を買って出た。しかし、隣を見るごとに現実を思い出し深いため息をついている。


 助手席の少女が、件のロリ将校。アイナ=フォウリー 十二歳。ツルペタ、軍服、サスペンダー、無口と、どうやらヒロシの大好物を組み立てて作られた決戦用萌兵器であるらしい。今は、カーナビをいじって遊んでいる。おー、とか小声で言っているぞ。姦しくないだけ救いがあるな、この子。

 この辺の情報をドメーヌに御注進したのが、アヤメ達、根来忍軍らしい。どんだけ優秀なんだよ、根来忍軍。

「へーっくちょん」

 屋根の上からくしゃみが聞こえる。アヤメは外のデッキに座り、索敵中である。寒いだろうに。


 そして、後席左側に、薄紅色のドレスの君こと、スカーレット嬢。どうやら、白く燃え尽きているようだ。口からは、なにか残念なものが湧き出している。なにかの正体は、エクストプラズム。


 そして、後席右側に、ゴーリガンこと、俺。どうやら、白く燃え尽きているようだ。口からは、なにか残念なものが湧き出している。なにかの正体は、エクストプラズム。と、いうか、さっきから状況説明している俺が、俺がエクストプラズムである。

 大事なことなので二回言いました。


「なあ、スーさんや」 「はいっ、勇者さま」 「スーさんも聞いてなかったんだよな?」 「はい。ひどいですぅ」 「ドメーヌ、あの糞聖女!」 「勇者さま、流石にそれは拙いと……」 「おっと、口チャック!」

 と、取りあえず被害者同盟で会話してみた。エクストプラズム同志で。便利だよ。しゃべらないで済むし、共感覚?みたいなもんが構築されるから、嘘は基本的にないし。ニュータイプになったみたい。


 ちなみに、増員の五名と、アコは、トレーラーハウスの中だ。居住スペースには、基本危ない物は無いと思うが、念のため。アコも危険物といえば危険物ではあるが、あれでも小さい子の面倒見るのは手馴れているんだよな。国の代表者を指して小さい子もないのだろうが。

 この世界では、旅はまだまだ危険がいっぱいだ。一応、全員代表に選ばれた時点で命の覚悟はできているらしい。


~時間は、一日前に遡る~


 領主様に呼び出された俺とスーさんは、

「スカーレット、君の随員が決まったので、顔合わせをと思ってね。ま、いつものメンツなんだけど」

 と、やたら笑顔の領主様に聞かされて、ガビ~んとなって以来白くなっている。


「ブーケ=ジョセフィンです」

「アナスタシア=ボッフォです」

「ジュン=マクガイアで~す」

「チヨ=ブサックで~す」

「三波 春夫でございます」!! 

 びっくりして聞き返す。

「ミナミ=ハラゥオンでございます」

 あせった。どうやら彼女が最年長らしい。

「以上、五名。スカーレット ディガー 一等書記官の補佐役として、誠心誠意職務遂行に尽力することを誓います」

「他に、軍から技術将校一名を追加随員として派遣する。今頃ヒロシ卿の処へ出頭しているはずだ」

 と、言われて焦って、拝命した六人分の物資を慌てて追加調達したのが昨日夕方だった。


  ~~~~~~~~~~~


 その後、緊急会議を開き、対応策を検討したものの、結論にいたらず。

 時間切れとなり、今朝十一名となった一行で出発と相成った。

 見送りに来ていた少女たちの家族がやたら気合い入っていたけどスルーして、逃亡者のように城門前を出発したのが、今朝五時半ごろだった。


 現在、十一時ごろ。

 トレーラーハウスの後ろに、貨物用のキャリアカーを二台連結して、租税の品物を積み、(普段は折りたたんで収納してある)数珠繋ぎになったレンジローバーは、流石にスピードも出せないので、時速四十キロ弱でとろとろ進んでいく。二回の休憩をはさみ、三回目の休憩場で昼食と相成った。


 ここで、俺達はある悪魔の食べ物で彼女らをもてなすことにした。

 ふっふっふ。喰らうがいい。日本人のOMOTENASHIの恐ろしさを……。




「「「「「「「「 ! 」」」」」」」」

 その日、八人の少女たちの人生観が音を立てて崩れ落ちた。

 対美少女迎撃用決戦兵器。その名は「パルフェ」

 デザートとして用意されたその特別な逸品は、新鮮なフルーツ各種と、コーンフレークの上からソフトクリームをこれでもかと流し込み、仕上げにブルーベリーソースとチョコレートでトッピングした、悪魔のコラボレーションである。

 ふっふっふ。これで、籠絡されないおなごなど居ない。


 今後は、従順な我がしもべとして……。


 あれ? 別に籠絡しなくてもよかったような。


 ……。し、しまったぁぁぁぁっ!

 そう、全ては罠。


 罠にはめるつもりではまっていたのは我々男だった。

 恐るべき策士。その名は、アコ。


 そう、奴が好物のパルフェ食べたさに俺達を罠に誘い込んだのだ。

 それが判明したときには、奴はおかわりと称して、俺達の分を平らげた後だった。

 ガッデム!

 次回予告


 そう、全ては後の祭りだったのさ。

 三悪の罠とは、俺とヒロシとアコのつもりだったんだ。


 それが、ドメーヌとアコの二人に翻弄されっぱなし。

 いいさ、笑ってくれよ。

 次回、特別篇、ダニエラさんの話だ。

 とほほ。

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