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31th 「げすがーるず とーく」

「ぶっちゃけ、男どもの愛撫は、痛くてかなわん!」


 ラナ=フィルゲン(21歳)は、シュガーレイ ワークスのサブリーダーとして、冒険者歴6年目のまあ、一流冒険者である。ベテランに分類するにはやや可哀想なキャリアではあるが、その功績はそこいらの男共が、文字通り裸足で逃げ出す程である。二度の迷宮討伐と、千人越えの大盗賊団退治、彼女単独でも、「巨人狩り」「デーモンスレイヤー」「(にせ)ドラゴンスレイヤー」と、どれか一つでも成し遂げるのが一生の目標、という冒険者が多い中、この歳で既に全部の称号を持つというのが、彼女の特異性を示している。

 そんな彼女の男遍歴ともなれば、星の数の如く、持ち前の美貌と色香も併せて考えればそりゃあもうすごい、のかと思いきや、実はほんの二月前までは、まだ乙女であった。

 しかし、彼女はそこからが凄かった。アルカンを出立するまでの6日間で、初体験の相手であった貴族の三男、行きつけの酒場のバーテンダー、その酒場の客の男、昼間訓練に行った騎士団の訓練所で若い騎士と、その従者の少年、計五人を相手に行ったり来たり、なんだかんだで30回以上は経験したのであった。他のメンバーたちは、その日限りか、良くても一回、同じ相手に求められた位だったのに。しかし、そこまでやっといて、気がつくと、あちこち痛くなっている自分に気が付き、原因を考えた結果が、冒頭の台詞である。


「だから、自重しろと言ったのだ。第一私に同意を求められても困る」


「リーダーはそう言うけど、してる間は、こっちもテンションが上がってるし、で、思ったんだけどあいつら、いきなりたわしでこするように触ってくるから、敏感な処がヒリヒリして困るんだよ。その割に自分はテクニシャンだと疑いもせず思ってるから、こっちが痛そうな顔してるの見てドヤ顔で感じてる? とか聞いてくるし」


「大体、そんなにする位なら、〝サムズ〟の連中の相手してやればよかったじゃないか? あれから、会うたびに土下座されて鬱陶しいんだが」


「え!? 無理無理。死ぬ死ぬ。あのリーダーの怒張した奴入れるとか、絶対無理!」


 見たことあるんかい! そんな突っ込みを入れたくなった一同ではあるが、何となく想像がつくため、こっちに飛び火しないよう、黙ってることにした。


「大体、あの落ちもの様たちは、どーなのよ、そこんとこ。スーたちは、何か不満とか、無いの?」


 本日のホステス役を務めるスーとしても、流石に話しにくい話題である。特に、お姉さまと慕うダニエラが、自分の旦那様に懸想しているという事実を先日見せつけられているだけに。しかし、懸想されているという事実を前に、ここは、ビシッと言っておくのも情けであるかと考え直し、ぶっちゃけてみることにした。


「旦那様は、とても優しく接してくれています。でも、一つだけ困る事があるんです♡」


「ほうほう、それは?」

 ラナ、興味深々。


「私の乳首に吸い付いて離してくれないんです♡ 最初は、気持ちいいんですけど、あんまりしつこく転がされると、根本が切れてきちゃう位なんですよ」


「ああ、スーもそれ経験あるんだ。私も主様からしつこく舌で転がされて、最後出血してきて、主様が謝るものだから、可哀想になっちゃって、今度はこっちがぺろぺろとしてあげちゃったり♡」


 ジュンが、頬を赤らめながら告白してきたセリフに、他の嫁たちも、うんうん、肯定する。


「つまり、お宅の旦那様は乳首フェチであると」

 ラナのぶっちゃけたまとめに、半笑いでスーが肯定する。


「ええ、まあ。! あら? お姉さま? どうしました?」


「聞こえない、聞こえない」


 耳塞いで聞かない振りですか。そうはいきませんよ! と、S気を出してダニエラを睨み付けるスー。

 予想はしていたが、やはり、この子が一番おっかないわ。と、シュガーレイの面々は戦慄した。


「お姉様♡ うちの旦那様は、とても愛撫が上手ですのよ♡ あっという間にイかされてしまって、何度も何度も繰り返し絶頂を迎えたあと、いよいよ、本丸を攻められた時の快感といったらもう♡ あ、でも、最初の時は、とても痛かったですよ♡ 何しろ、体の中に入ってきて内臓を直接突きまくられるようなあの感覚といったら、他の何にも例えようの無いもので♡」


「うわーん! 聞いてないよー! スーのいじめっ子!」


 遂にべそをかき始めたダニエラを見て、流石にやりすぎたかと反省したスー。でも、後悔はしてない。


「今だ。スーがリーダーをいぢめてる間に今日の本題をやっちゃおう」

 ルージュ ノーリィは、シュガーレイ一番の気配りの人である。大体、仲間内でこういったイベントをやる時は音頭をとってくれるので話が早いのだ。


「サプライズパーティーの件ですわね」

 ブーケも、何気にこういう事が好きな口である。普段はクールぶっているが、基本は情に厚いタイプでサプライズパーティーの主催側になると俄然張り切るのである。


「うんうん、ここんところストレスが溜まってるみたいで、発散させる機会が欲しかったところだよ。スーちんは溜め込むから、周りが気にしてあげないとオーバーヒートしちゃうからね」

 歳が近い分、ある意味一番判っているのが、チヨである。特に、何気にスーから一番欲しいものを聞き出した時に、赤ちゃん! と答えられたこともあり、今の生活が相当堪えてるんだと実感させられたばかりである。


「そんな風にはみえないけど、やっぱ13歳は13歳か。って、14になるんだっけ」

 そう言いながらも、マリー ハスウェルは、自分の時と比較して考えてしまう。自分が13、4の頃は、まだ結婚とか、遠い世界の話くらいにしか思ってなかったよな、と。まして、ハーレムの第一夫人的立場というのは、想像の埒外である。


「本当に、融通の利かない頑固な娘ですから。それでも、これだけ皆さんに愛していただけて、今回のお話にも、真っ先に賛同いただいて、本当にありがとうございます」

 ミナミは、嫁ーズの最年長者ということもあって、本来の奔放な性格に反してこのメンバー内では気配りして回る側である。立場上、スーを立てて一歩引く立場にある為、これでも目立たないようにしていたが、こういう時は、やはり締める側になる。損な役回りではあるが、その分出し抜いたりしてもいるので、どっこいどっこいか?


「OK、おまかせ!」

 サニーが安請け合いするが、こういうパーソンも必要なのである。

 マルシェは、無言で妹、チヨの頭をなでている。皆まで言うなということらしい。


 今回のサプライズパーティーの件は、教皇選挙が始まる前に不可から依頼として、スー達や孤児院の護衛を頼まれた時に、ついでにスーの誕生日を祝いたいと頼まれて考えていたことである。

 そこで、いっそ、クリスマスパーティーと一緒にやってしまおうと企画したのだ。こちらでは、当然ながら宗教が違うため、クリスマスは特に祝う習慣はない。しかし、落ちもの様が持ち込んだパーティーをする習慣だけが独り立ちして残っているのだ。

 と、いう訳で、サプライズクリスマス&スーのバースデーパーティーを企画してみようという集まりなのである。本人の目の前で。まあ、ダニエラという良い囮がいるおかげで、どうやらばれる心配はしなくて済みそうだ。


 やがて、パーティーの概要が決まった頃に、どうやらスーVSダニエラの戦況に変化があったようだ。


「そもそも、お姉様は、旦那様のどこがお気に召したのですか? 以前伺ったお好みのタイプとは、大分違うと思うのですけど」


「だって、だって、初めて会った時、壊しちゃった的を何とか直そうと、くっつく訳も無いのに何とか押さえてくっ付けようとしてる姿にキュン! としちゃったんだもん。仕方ないじゃないか!」


「はぁ、あの時の話ですか。父に聞いたことありますけど、確かにちょっと萌えますよね」


「だろう!? 私がやられちゃったって仕方がないよな!」


「わかりました。積極的に応援は出来ませんけど、旦那様が受け入れた時は喜んで祝福させていただきます」


「あ、ありがとう、ありがとう。スー」


「「「「ええええっ!」」」」


 この期に及んでライバルが増えるとは想像していなかった他の嫁ーズが驚愕した。


 こうして、不可たちが不在のまま、パーティーの開催とダニエラによる大攻勢が決定した。


 ドーゼン家のアキナ嬢の件といい、どうやら、嫁ーズの平均年齢上昇フラグが立ってしまったようだ。


 果たしてどうする、どうなる!? 




 

 次回予告


 こうして、蚊帳の外でも何やら不穏な動きがあったようだが、こちらの内部でも、ヤバい動きがあったようだ。

 アヤメが持ってきた不穏な情報が、戦況を再度逆転させる。

 そんな中、ゴーディシュは俺達にとんでもない提案をしてくる。


 どうする、どうなる、教えて! 神様!


 次回 「決闘」


 今度の神様は、あの人らしい。

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