表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ご当地ヒーローになった俺が異世界で無双してウハウハな件  作者: 拝 印篭
聖王都到着編 オークションと御褒美の日々
28/42

25th 「ガルガンチュアは舞い降りた」

 



 さて、舞い降りてきたガルガンチュア号からは、当然のごとく、ドメーヌ様こと、ルティナス子爵夫人が降りてきた。

「あら、フッカー卿。お出迎えご苦労様。スーも、お元気そうで、って、ええええっ!あなたたち、いくらなんでも早すぎませんこと?」

 え、何のこと? 

「ごきげんよう、ドメーヌ様。スーは、こんなに元気な赤ちゃんを産みました」

 ああ、そっちね。

 どさっ! と、何かが落ちる音。

「そ、そんな、不可が、スーと、ふ、ふ、ふ、」

 え、ダニエラさん?

「不潔だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 ダッ! と、走り去ろうとする彼女を、二メートル位ありそうな大きな女がつまんで持ち上げた。

「ダニエラ、落ち着きなさい。たった一か月かそこらで、そんなわけないでしょう」

「だって、だって、べそべそ」

 うーん、ダニエラさんってあんなキャラだったっけ?

 それにしても、女性としては大柄な彼女を片手で持ち上げるとは、なかなかの膂力だな。シュガーレイのメンバーじゃないし、何者だろうか?

「アンジェラ殿。ないすでゴザル。おお、主様。ただいま帰参いたしましたぞ」

「あれ? 一緒だったのか」

「途中で立ち往生していた所、拾い上げていただいたでござるよ」

「……迷宮の傍で困ってたらドメーヌ様の船が来て、助けて下さった」

「アイナ、よく無事で、おかえり」

「ぷろへっさー♡ すきーっ♡」

 びょーんと、ヒロシに飛びついたアイナを見て、誰よりも、ドメーヌ様が驚いていた。

「ええと、センジ様、あれは、どなたかしら?」

「あんたの配下のアイナだよ。それと、センジ様言うな! いろいろ名前が錯綜してて不味いんだから」




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




「なぁんだ。ただの子守かぁ」

 心底安心した笑顔で、ダニエラさんがスーと旧交を温めている。

「私たち、正式に結婚しましたの。もうすぐ、現実になりますわ」

「はっはっは、スーはかわいいなぁ」

 かいぐり、かいぐり、拳でかわいがっている。

「ダニエラは、あなたに早く会いたくて、メンバーのみんなを置き去りにして、うちの実家まで早駆けしたそうよ。憎い人だわねえ」

「重いから!」

 そう、しなだれかかってくるドメーヌ様に告げて距離を取ろうとする。 

 いや、ダニエラさんもだけれど、ドメーヌも。

 スーとダニエラさん、ドメーヌ様と、ここにきて奇妙な三角関係が出来てしまった。

「ときに、あなたたち、どうしてここへ? 別にわたくしたちが今日到着することは連絡してなかった筈ですけど……」

「俺たちは、自分の飛空船を見に来てたんだ。隣のやつだよ」

 と、隣の船を指さす。

「ええええっ! アルカンを出るときにピーピーしてたあなたたちがですかーっ! 一体何があったんですの?」

「ドメーヌ様、私たち、冒険者になったんですの♡ すでにCランクですのよ」

「ええええっ! って、いつものみんな? はっ! たしか、ロサの迷宮が討伐されたって、ま、まさか、まさか、ですわよね!?」

「はいっ♡ 私たち十一人で、討伐しました。 途中から三人増えましたけど」

 ドメーヌ様は、俺のほうを向くと、

「年頃の娘になにやらせてんですの~~~~っ! しかも、初陣でレイド戦なんて~~~~っ!」

 フロントチョークきめられました。


「おーい、ドメーヌ、そろそろうちらも紹介してくれよ。いい加減手持ち豚さんなんだけど」

「豚さんを手持ちできるのはあなたぐらいですわ。それじゃ、紹介しますね。不可さま」


「こちらの大きなのが、アンジェラ=ノーツ。大剣使いのオーガ族、SSランク冒険者ですわ」

「アンジェラだ。よろしく」

「で、隣のちんまいのが、ナタ=ルマ。グラスランナーの双剣使いで、アイナの師匠ですの」

「……」

 無言で握手求めてきた。この二人が師弟かよ。コミュ障も移ったのか?

「最後に、今出てきたのが、エルフのシリーニさん。凄い美人さんでしょう?」

 たった今、船から出てきた人を見やる。すっげー美人! 俺はおろか、ヒロシも、キャプテンも、とろーんと、見惚れてしまった。ってか、いたのか? キャプテン。

「あ・な・た♡ シリーニ様は、既に結婚して、子供さんどころか玄孫までいる方ですわよ♡」

「「「えええええっ!」」」

 男どものどりーむ、しゅうりょー。

「はじめまして、ドメーヌが執心している不可さまですね。ダニエラの心も盗んでいった方とも聞いております。なんだか、わたしも年甲斐もなく、火遊びしてみたくなりましたわ」

 にっこりとほほ笑んでそんなこと言われたら、どんな男だって、ふら~っと

「「「だめーーーーっ!!!」」」

 スー、ダニエラ、ドメーヌが、三人掛かりで俺をシリーニさんから引きはがした。ちぇっ。


「はぁはぁ、そ、それで、皆様はどちらに逗留しておりますの?」

 と、問われたので、アコの伝手でファビーさんの孤児院にいることを伝える。

「あら。タウンハウスくらいご褒美でもらってると思いましたのに」

「ドメーヌ様、それは無理というものですわ。今は年度末で私たちのご褒美も、相当削られるところでしたの。不可さまが飛空船をいただけたのも、皇太子殿下のご厚情によるものだと聞いております」

「ああ、それで親衛隊用の輸送艦マベリック級ですのね」

「えっ? そうなの?」

 隣のキャプテンに問いただすと、

「ええ。船も廃船間際のものを艤装し直して、売却しようとしてたものですし、私も親衛隊を退役して暇してたところ、殿下に今回の話をいただき、喜んで参上した次第です。ただ、その分船も人も百戦練磨ですよ」

「元親衛隊か、凄いなぁ」

「なに、元々輜重部隊の出です。親衛隊内の閑職ですよ」

「あら。キャプテン レイザーのご高名は、良く聞き及んでおりますのよ」

「暴風子爵様にそう言っていただけるとは、汗顔の至りですな。はっはっは」


 そこで、場所を移そうとキャプテンから提案されて、揃って空港のラウンジへと移動した。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




「改めて、お疲れ様でした。ルティナス子爵夫人。そして、ようこそ、帝都へ」

 キャプテンが、美しい礼で、ドメーヌたちを迎え入れる。後方で、空港の職員たちも、礼に倣う。

「ありがとうございます、皆様。搭乗員一同を代表して感謝いたします」


 その後、席に案内されると、良い香りの紅茶が人数分用意された。

 ドメーヌが先程紹介した三人の他に三人の女性。彼女らは、飛空船のキャプテンと機関士だとか。

一緒に乗ってきたダニエラさんと、アヤメ、アイナは、こちら側に座っている。で、こちらが、俺とスー、ヒロシにキャプテン。計十四人か。


「そうそう、ダニエラ。あなたの仕事を済ませてしまいなさいな」

「! そ、そうでした。フカ=コオリヤク殿。約束手形の履行をいたします。手形は、どちらに?」

「私が持っています。こちらです」

 と、言って懐から取り出す。ダニエラさんが受け取って、ドメーヌに差し出すと、彼女が確認して、間違いないことを認めると、ダニエラさんの荷物から、大きな箱を取り出した。

「中をお改めください」

 と、言うので箱を開けてみると、神聖帝国大金貨が確かに二枚と、見たことのない大金貨が、六枚入っていた。

「神聖帝国大金貨二枚、並びにサムシングロイヤル領謹製のドメーヌ様襲爵記念大金貨六枚。計八枚お納めください」

「確認しました。確かに、頂戴します」

 そう言って、箱ごと引き取り、取引は完了した。

「しかし、アルカンでの取引が聖王都で完了して、しかも当事者が全員ここに居るというのも珍しいことですね」

「ほう、これが噂のドメーヌ様襲爵記念大金貨ですか。初めて見ましたが、美しいですな」

 キャプテンが、興味深々らしいので、一枚譲ろうか? と、言ってみると、

「元宮仕えのリタイヤ組にそんなお金あるわけないですよ。まして、今や神聖帝国大金貨以上のプレミア金貨ですからね」

 え? そう言われて、ふと思い出し、さっき貰った買取一覧を出してみる。

 あ、あった。ドメーヌ様襲爵記念大金貨、え、ええ、えええっ!

「一枚、二百五十万ドロップぅぅぅっ!?」

「あら、用意が宜しいのね」

「元々、発行枚数が百枚しかない処に、刻印されているのがドメーヌ様ともなれば、欲しい人はいくらでも出てきますよ。オークションに初めて出品された一枚は、たしか、一千万ドロップで売却されたとか」

「いいんですか? 貴重なもの、こんなにいっぱい!?」

「いくらプレミアがついても、私自身の顔のついたもの、ばつが悪いですわ。早く手放したいと思っておりましたのよ。おほほほほ」

 なんか、悪戯に成功して勝ち誇ったような顔してるよ。くやちぃーっ! 

 でも、これならヒュドラのコアの代わりになるかな。後でジーンさんの所に寄っていこう。

「貴重なもの、どうもありがとうございます。これで、例の話も進めやすくなるでしょう」

「それでしたら、譲った甲斐もございます。お役に立てて嬉しいですわ」



「時に、主様。例の迷宮の件でご報告したいことが。ドメーヌ様には既にお話しておりますので、こちらに問題が無ければここでお話したいと思います」

 アヤメが何やら深刻な感じである。

「何か問題があったのか?」

「拙者たちがドメーヌ様に便乗してきた点と関わりがあるのですが、件の迷宮の傍まで来た時にMX号が突然停止しました。迷宮はその後、徒歩で探索したのですが、特に問題となる点はござらん。が、迷宮近くの鉱物資源がどうやら磁石、それも、かなり強力なものらしく、土地のものに聞いても、地面に鉄の鍬などがくっ付いて取れなくなる現象などが起きているらしく、ゴーリーヴォーグも、近づけば活動停止に陥る可能性があるのでゴザル」

「そ、それで、MXは?」

 ヒロシが流石に慌てている。

「回収して、ガルガンチュア号に乗せておりますが、回復の様子はなく」

「もしかして、コンピュータがおなくなりにぃぃぃぃっ!」

 そうすると、コンピュータを搭載したもの、例えばゴーリガンスーツも使用不可能か。

「位置関係は?」

 俺が、アポートするにはいくつか条件があって、アポートするものの置いてある処をかなり正確に覚えていなければならない。だから、大抵のアポートするものは、ゴーリーヴォーグの倉庫内に仕舞ってあるのだ。あるいは、見えているものをこっちに引き寄せるとかな。

「恐らくでござるが、迷宮の半径十キロ圏内は影響下かと」

 最悪、その中を徒歩で行き来しなければいけないのか。

「迷宮の規模は?」

「どうやら、中程度まで育っている様子。来年の春までには、近場の獣や魔獣を喰らって更に育つ可能性は大でゴザル」

 ふむ。アフとの会話でヒュドラのコアを使えば距離は稼げることが分かった。と、なれば、移動のための時間は短縮できる。移動のための規制も最小限で済むのなら、

「プロジェクトは探索が主体になるが、特に問題はないだろうね」

「それならっ!」

 ダニエラさんが、凄い勢いで俺に顔を近づけ、提案してきた。

「私たちがプロジェクトGの護衛をやるっ! 一緒に迷宮を倒そう!」

「いや、倒しちゃ駄目なんだが。でも、大丈夫? 仲間にも相談しないで」

「だーいじょうぶ。まーかせて!」

 ふんす、と胸を張ったダニエラさんの迫力に断わっちゃいけない気がする。

「ならば、私たちゴーリガンガールズがおりますので、ダニエラ姉さまのお手を煩わせることは何もありませんわ」

「いえ、スー。君、自分の本職をいつまで休むつもりだ?」

 と、ドメーヌ様がさすがに異議を唱える。

「え!? 私は寿退職じゃないんですの?」

 うわ。しらばっくれるにしても、もうちょっと穏当な表現で。

 若干、俺に対するドメーヌの顔が恨めし気なものになってる気がする。

「経験を積ませるための旅だと、言って送り出したは・ず・で・す・わ・よ、スー」

「ええ、とっても素敵な経験でしたわ。昨夜も何回も、何回も、求められて」

「「うがーっ!」」

 ついに、ドメーヌとダニエラがキレた。


 どうする、どうなる、どうしよう。





 次回予告


「スー、ちょっと見ないうちにずいぶんと生意気になったようですわねえ」

「まったくだ。我らが乙女だと思ってバカにしてるのか?」

「ちょっと、ダニエラ。わたくしは、まだ大事に取っておいてるだけですわ。既に腐ってる貴女と一緒にしないでくださらない?」

「あら♡ 女の価値は良い伴侶を手に入れた時点で確定するものと、教えてくださったのは、お姉さまですわよ。この三人で誰が勝利者かは自明の理ですわね♡」

「くーっ! とてとてと私の後ろを付いて回ってたかわいいスーはどこ行ったんだぁぁぁぁっ!」

「女は男で変わるものですわ♡ こちらは、ドメーヌ様に教わったのでしたわね♡」


 磁界 いや、次回 「オークション ハウス」



「ぷろへっさー、好き♡」

「アイナはあんな真似しちゃダメだからねぃ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ