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ご当地ヒーローになった俺が異世界で無双してウハウハな件  作者: 拝 印篭
聖王都到着編 オークションと御褒美の日々
26/42

23th 「怒りの報酬」

「さて、始めるとしようか」


 ばーん!

 横一列に並んで座している俺たち六人。

 ばばばばばーん!!

 対面に横一列に並んだ十六人の財務官たち。

 どどどどどーーん!!

 と、その後ろに並んだ大勢の騎士の皆さん。

 そして、お誕生日席に座した、財務尚書バウアー卿。


 どうやら、彼らの戦略としては、まず、こちらを威圧して、交渉を優位に進めるつもりのようである。

 普通の相手なら効果的な方法ではあろうが、戦力比で見ると、俺とアコで十分対処出来る範囲である。

 喜死朗が、向うに付かなければではあるが。

 いずれにしても、本音の透けて見える配置である。

 これなら、遠慮はいらないか? 精々色々頂いてしまおう。うひひ。


「では、まず卿らの希望を聞かせていただこうか。そこから交渉ということにはなろうが」

 ふむ、先ず相手の言い値を質してみるか。相場を知らない相手なら、予定よりも安く上がる場合もあろうが、どっこい、そうは問屋が卸さない。

「飛空船が欲しいです。安西せんせい!」

「マジックアイテムほしいの。すっごい強いやつ!」

「作戦には、うちの嫁たち八人も別に参加していました。彼女たちの分も上乗せしてください! 八千万程!」

「俺っちは、刀だ! 強い魔法のかかったやつ! なんなら国宝の奴でもいい!」

「あたしは、何といっても宝石だね! 湯船が一杯になる位。やってみたかったんだよ。宝石風呂!」

「某、牧場がやりたいのである。牛を飼って品種改良すれば、この国の為にもなるのである!」

 わいわいがやがや、やいのやいの。


「やかましーーっ! 聞き取れんわ! 第一、そんなにやれるかーーーーっ!!」

 ああ、やっぱりキレたか。

 だが、これでこちらが先制できたぞ。

「こちらで、用意する準備があるのは、まず正金貨一万枚。一千万ドロップ、そして、宝石類、時価一千万ドロップ分。それで不服のある者はいるか?」


「失礼ながら」

 俺は挙手し、異議を唱える。

「今回の迷宮のコアと別に、我々は、ボスのコアを今回オークショニアに鑑定させました。その際、僅か8㎏のコアが最低落札価格600万ドロップと鑑定されました。と、すると、キロ当たり75万ドロップが妥当な金額であります。今回の迷宮のコアは、こちらで計測した所、1079㎏ありました。少なくとも、八億以上の価値があります。それをたった二千万で手に入れるというのは、陛下の威光をしめすには、余りに卑小。少々欲を掻きすぎでは?」


 言外に帝国の威信を傷つけるつもりかと、脅しをかける。察したようで、顔色の変わった財務尚書は、作り笑いを浮かべながら、

「いや、まずは、金銭で用意できる範囲を述べたまでだ。この他に手形なり、現物でよければ、支給できるものは支給しようと思っておる」

 と、のたまった。額に青筋浮かべながら。

 ちょろい冒険者なら二千万ももらえば一生遊んで暮らせるからな。その価格で手打ちさせる気だったのだろうがそうはいくか。


「では、手形ではどうか? 毎年金利が入ってお得であるぞ」

「八億に対して、10%の金利で毎年利息が八千万ですか? 今二千万しか用意できないのに、支払いのほうは大丈夫ですかねぃ?」

「ぐっ! むむむ」

「もし、支払いが滞れば複利計算で金額は天文学的に増えますぞ。我々が帝国のデフォルトの原因となるのでは、いくらなんでも寝覚めが悪くなるというものですにぃ。ましてや、今回造幣局が開店休業状態になってしまって再開もままならない状態では」

 ヒロシGJ。ここまで言えば無理に手形を押せまい。


「だが、今君が言ったように、迷宮討伐のせいで、我が国は経済に打撃を受けている。この事実は曲げられない。そのことに対する責任は君達にこそあるのではないか?」

「あー、あたしらは、最初から迷宮討伐しようと思ってたわけじゃないから言うけど、それは責任転嫁が過ぎるというものさね。元々限界が来ていた迷宮で万が一羽化していれば周辺の被害はそれこそ天文学的って言うだけじゃ済まないよ! 責任云々以前にそれを最小限度で抑えた功績はどこ行ったのかねぇ」

「ぐぎぎぎぎっ!」

「ふんっ! それに責任問題を追及するなら、先ずは国のそれを追及するのが筋というもの。聞けば以前より危険の兆候が出ていたにも関わらず放置していたという関係者各位の証言もある。ロサの冒険者ギルドにな」

「それに、エルノス君から聞いた話や、スーちゃんから聞いた話、ロサのマスターから聞いた話などなどオフレコなお話について、色々いいたいこと、いっぱいあるよ。神様からの話もあったし。何なら口ふさぎに行く? 神様の?」

「「「「「「「「「「「「「「「「「!」」」」」」」」」」」」」」」」」

 神聖帝国で神様の話は良く効くな。それにしても、フルボッコじゃん。奴ら。


「俺っちからもいいか? 最初、俺達は任務としてこいつらの邪魔をしに行ったわけだが、姐さんが呪いを受けてこっちに着いていなければ、或いは勝ってしまっていたら、神託を受けていなかったら、今回の被害は甚大だったわけだが、さて、信賞必罰を旨とする帝国で俺達が受けるのは、賞賛か? 懲罰か?」

「そ、そ、そ、それはもちろん」

「賞賛だよな!」ギロリ

「ひ」

「賞賛だよな!」ギロギロ

「……し、賞賛です。隊長殿」

「ならば、卿らが次に成さねばならぬ事は何か、賞賛には相応の褒美を。帝国憲法にも明記してあるよな?」

「はい」

 だんだんと、尻すぼみになっていく財務尚書を始めとした財務官僚たち。そろそろ助け船を出してやるか。


「帝立通貨精錬所の消失については、お悔やみ申し上げる。が、我々に腹案がある。それが成立すれば、精錬所の再開の目途も立とう。一枚噛んでみてはくれまいか?」

「腹案、とは?」

「それはだな、ごにょごにょ……」

「なんと! そのようなことが出来るのですか?」

「ああ。既に配下の密偵を差し向け件の迷宮を調査している」


 アヤメとアイナには、二日前にMXを貸し与え聖王都から70㎞程離れた郊外に湧いたばかりの迷宮を偵察しに行かせている。ロサのギルドに入った一報を聞いて思いついたのが、この迷宮をロサまで運んで第二の精錬所として稼働するというプランだ。そして、移動方法であるが、俺のアポートを使う。


 既にお気づきの方もいると思うが、俺はアポート以外の魔法を使えない。しかし、その分アポートの運用に関しては他に類を見ない程長けていると自負している。そして、〝落ちもの〟故のチート的魔力の多さがある。これまでは、宝の持ち腐れだった魔力がここで生きてくる。もっとも俺の力では、迷宮を動かせても、一回に数百メートルが限度である。そしてその途上の安全の為、出来れば大勢の人に協力してもらう必要がある。可能なら、国家事業としてこの移動プロジェクトをサポートしてもらう必要がある。


 もっとも、今日、明日にできる話ではない。選挙もあるし、本格的な冬も間近だ。実際動けるのは春になってからだろう。今の段階では夢を見てもらって俺達への歓心を得ることが目的である。


「実際、この計画が成れば我が国の財政は、安定することだろう。しかし、遺憾ながら我々にも今回の案件は青天の霹靂。融通したくとも、融通する〝枠〟がないのです……」

「そこで、私の出番、でしょうか?」

 そう言って入室してきたのは、

「アル! 何しに来たんだ?」

「隊長。私はここへはあなたの部下としてではなく、皇太子として参りました。控えるように」

「! 失礼しました。皇太子殿下!」

「陛下よりの勅命です。彼らへの報酬の不足分は、皇室の予備費を回すように。また、宝物庫のカギを預かっておりますので、皆様、こちらにおられないフッカー夫人達の分も、きちんと清算するようにと。国家の威信を傷つけないよう取り計らいなさいと仰せです」

「ははぁっ! このバウアー伯爵、陛下の御厚情、確かに承りました」

 うんうんと頷いた殿下は、こちらに向き直ると、

「フッカー卿、こちらに宝物庫の目録を用意しました。●印の付いた品については持ち出し禁止の国宝ですが、その他の品であれば好きなものを一人一つずつ差し上げます。もちろん、奥方様の分もね」

 そう言ってウインクした。なんか、カッケー! 

 最後の最後で持っていかれた感はあるが、取りあえず良い結果が出たので良しとしようか。

「ところで、殿下。勅命というのは、ホントに本当なんですか?」

「それは、秘密です♡」

 うん、その答えだけで十分かな。



 

 それから、三時間後、大体の報酬が出そろった。

 まず、現金が、

 正金貨 五万枚。

 神聖帝国大金貨 十枚

 宝石類 時価 三億ドロップ

 金利十%の手形が額面一億ドロップ

(つまり、年一千万の利息を生む金の卵)


 そして、宝物庫のお宝から

 アコが、上位雷属性の魔法のワンド(魔法少女のスティックみたいでワロタ)

 喜死朗が、名刀正宗の魔法加工済み+3

 剛力が、魔晶石を二百個程

 鏖が、牧場は無理なので、金貨で一千枚

 そして、嫁たちには、色違いのパーティードレス。魔法で加工されているので汚れが付かないのだ。

 これだけでも、一着百万から上だ。

 アヤメ、アイナには、今回の斥候の分も前渡しで、上級魔法の掛かった短剣を二本ずつ。


 そして、ヒロシは、なんと、飛空船! それも、中型の70m級のやつだ。もっともこれは、貰えたわけではなく貸与ではあるが。その分維持費も国持ちだ。

 なんか、絵が浮かんでくるぜ。ドヤ顔で着陸したドメーヌ様の飛空船の隣に俺達のもっと大きな船があって、愕然とする奴の姿。うひひ。


 え? 俺? 飛空船が高いので、返上しました。まあ、いいか。手形もあるし。






 次回予告


 はぁ~ 疲れちゃったな。

 すげー金持ちになっちゃったよ。

 もう、何もしたくないな、こりゃこりゃ

 もう、お休みでいいよね。


 次回 「聖王都の休日」


 ぐで~

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