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ご当地ヒーローになった俺が異世界で無双してウハウハな件  作者: 拝 印篭
聖王都到着編 オークションと御褒美の日々
24/42

21th 「聖王都到着」

 あれから三日間、ゴーリーヴォーグは走り続け、ついに、聖王都は、パラティウム ゲムマ(神殿宮)の見える丘までやってきた。ここで、俺たち13人+Xは、車を止め、最後の休憩がてら口をあんぐりしている。


「改めて拝見しましたが、本当に大きなものなのですね♡」

「今まで、不可様のことを子供っぽくて小っちゃいなんて悩んでた私の方が小っちゃいことでしたわ」

「ほえ~。いちばん上とはしっこがぜんぜん見えないよ~」

「大きくて、長くて、太い、ぽっ♡」

「な、なんだ! そのいかがわしい言い方と表情は!?」

「すごーい! すごーい! アフたん。あれが神殿宮だよー!」

「おみそれいたちましたー。にんげんすごいー」


「……すごいなぁ、かっこいいなぁ、エルノスって、あそこに住んでたんだよなぁ。いいなぁ」

「これから、みんなしばらくはあそこに住むことになるんだぞ。でも、中に入ってしまえば、普通に街だけどな」

「拙者、あれを忍法岩石雪崩渡りで登りきる自信はないでごじゃる!」

「ふふん。恐れ慄くがいい。これぞ、人類の英知の結晶」

「アイナ、キャラが違ってないかねぃ?」

 結局、前回のきらい発言は、どうということは無かった。この二人もちゃんと夫婦してるんだと安心したよ。


 むしろ、この四日の間には、けっこういろんな事があった。

 新しく仲間になったアフを巡って、嫁たちの間で争奪戦が勃発したり。

 その間捨て置かれた俺が、さめざめと枕を一人濡らしたり。

 二回程、正体不明の刺客に襲われたり。

 八つ当たりぎみに一人で(アフと合体して攻撃したけど)刺客を撃破したり。

 そのアフとの合体の秘密をヒロシと探ったり。

 なんか、キャンプファイヤーで歌う歌が、知らない間にどんどん増えていたり。

 スーと秘密のデートをしたり、アナといちゃいちゃしたり、ブーケを宥めるため壁ドンしたり、

 ミナミに何度も何度も絞り取られたり、チヨと暗くて狭い所でごにょごにょしたり、ジュンは咥えたら離さなくなったり、どうも、エルノスとテリーがそういう時を何度か覗いてたらしかったり。


 多分、番外編ってのは、こういう時に作られるんだろうな、なんて思ってしまった。


 閑話休題


 実は、ここからまだ神殿宮までは百キロ以上ある。既に夕方で、夕日を浴びた神殿宮は、とても綺麗だが、あの街は夜に入ることはできないらしい。よって、ここで最後の野宿をすることになる。幸い、丘を降りるとすぐに水場もあるし、ここで野宿する人達は多いらしく、竈なんかも設置されている。あとは、寝床だけなので、俺と、ヒロシは、キャンパーから荷物を下ろして作業する。と、言ってもバルブを閉めたらエアーを入れるだけなんだが。

 ぷしゅーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 エアーが溜まるまで一時間以上かかる。何か? というと、よく、遊園地なんかにある怪獣型テントのトランポリンである。ゴーリガンの巡業は、子供相手が多く、こういったアイテムが喜ばれるので、むこうに居たころから持っていたのだ。最近は、寝る時の寝室代わりに使っている。空気が通らないので夏は暑くて使えないが、ようやく良い季節になってきたため、非常に重宝している。

 こいつを出すと、エルノスやテリーだけでなく、嫁ーずのテンションまで上昇するんだよなぁ。

 やっぱ、まだお子様だなぁとか考えていると、通りがかったスーに腕をつねられた。

「何か、失礼なことを考えてますね?」

「理不尽だぁー! 考えてたけど♡」

「まぁっ!」

 ぷいっ! と、ぷりぷりしながら食事の用意をしに行くスー。あんなこと言いながら、夜になると、うひひ……

 ガン!

 缶詰ぶつけられた。中身入ってるの。中村○のインドカリー。高いんだぞこれ。

 しかし、この俺に一撃入れるとは、これであやつも、一人前の戦士よのう。

「なにをぶつぶつおっしゃってますの?」

 ブーケが訝しげに俺の顔を覗き込んでいる。

「アフの件で少しお話ししたかったんですけど、後の方が宜しいかしら?」

「いや、構わないよ。例の御先祖さまの研究の件だろ?」


 ブーケの家の御先祖に妖精の研究をしていた人がいて、彼女の実家には、その手の著作なども多く残っているらしい。財務官僚の家で妖精の研究……こちらの世界なら正気を疑われかねないが、彼女の家は、何代か前の先祖にエルフのF1が居たそうである。

 ここで言うF1についていささか説明させていただく。こちらでは、我々人間族と、妖精族の種族的違いはかなり大きいものである。まず、発生の仕方が違いすぎる。


 まず、我々人間族は、遡ると全て「落ちもの様」の子孫であるらしい。これは、人類の有史以来ある程度一定の割合で朝日町のような大規模転移があった為で、特に、人口の多い地域がこの災害に会いやすいようだ。そして、その時代の人口密集地ということは、それだけ文化レベルの高い地域が転移するということである。古くは、中国の都ごとであるとか、ローマ帝国の都市丸ごとなどが転移した地域もあるらしい。近年は、日本からの転移が多くなっており、そのため人口的にも日本人が多く言語も日本語が主流派となっていったのである。


 対して、妖精族(エルフ、ドワーフ、グラスランナーなど。竜人族や、獣人族は発生が別である)の場合であるが、これらの先祖は全て「ようせいさん」である。彼らは、他のようせいさんと共意識を持ち、知識や経験を共有している。そのため、生まれたばかりでも、すぐに社会に溶け込み普通に生活できるため、外見からではその成熟度は判らない。また、普段の生活では、物質化しているが、反物質化して、壁など抜けてどこでも入ってきたりもする。


 ようせいさんが発生するメカニズムに関しては、現在でも判明していないことが多い。ある日、突然湧く。それこそ、ボウフラのように数多く。しかし、卵や、微生物として、発生してくるわけではない。中には、細胞分裂する、という人も居るが、観測されたことはない。そして、これまで誰も居ない場所からでもようせいさんは発生する。ただ、さびしがりやさんなので、基本人の居る地域に発生することが多いそうだ。

 そして、ようせいさんの大半は十年~二十年の間に消えて居なくなってしまうが、ごくまれに蛹となって数年をその蛹の中で過ごした後、羽化して成人する。その成人した姿が妖精族のF1(一次成体)である。F1は、その生息地域によって、成人後の姿が変化する。おやっさんとこの、ようせいさんのように、街中などで生活していた者は、技能を持ったドワーフに、森の中でロハスな生活をしていればエルフに、草原を旅して回っていれば、グラスランナーに、といった具合に、それぞれ生活習慣が違えば、最終的な姿形が変わってくるのだ。


 ここまでの話で何かに似ていると、俺は思ってしまった。そう、生態がべヒモスにそっくりなのだ! 

 ある日突然発生すること、蛹になって、何年か過ごすこと、そして、羽化して成体となること。

 これらは、只の偶然なのであろうか?


 


 夕食がてら、みんなにも先ほどの話をしてみた。今日のおかずは、先ほどの中○屋インドカリーである。

缶を開けて鍋で温めただけであるが、レストランで食べるのと同じ味が楽しめる。初めて食べるエルノスとテリー用にミルクと蜂蜜をプラスした甘口も用意した。ナンも用意したが、俺はやはりライスと食べるのがサイコーだと思う。スパイシーでうまー! 冬でも、汗だくになるほど辛いのだが、また、それが病みつきになるのだ。わざわざ新宿本店まで買いに行った甲斐があったというものだ。もっとも、これが最後の一食。その後、大震災で本店が建て替えとなって以来買う術を失い、買いだめ分をちびちび食っていたのだが、それからこちらへ転移して、完全に手に入れる術を無くしてしまった。心残りの一つである。

「手に入りますよ」

「へ!?」

「聖王都にも支店があって、レストランもあるのです♡ お土産に缶詰も売ってました。小さい頃家族で来て辛くてびっくりして泣いちゃった思い出がありますわ」

 ぱぁぁぁぁっ☆☆☆ スーのおかげで、希望が湧いてきた。

「よし、滞在中に絶対いくぞ!」

「「おー!!」」

 アコとヒロシものりのりだ! 

 このインドカリー。意外にも、チビーズ二人には、まだ辛いと不評だった。ふふん、お子様め。仕方ないので、虎の子のビーフシチューを出してやり、カリーは、俺とアコがおかわりに食った。甘口もいけるな、これ。シチューの方は、すごい食いつきだったよ。

「うむ、こくがあっていけるな」

「うまー、うまー、フッカー卿、ありがとう、ありがとう!」

 うんうん、喜んでくれて何よりだ。


 さて、夜は、嬉しい情報をくれたスーにご褒美として、いろいろサービスしてあげた。

 お外でするのは初めてなので、スーも超コーフンしてたな。

「はぁ~ん、あ、あ、あ、いやん、ら、らめぇーっ!!!」

 何度も何度も繰り返しびくんびくんするスー。わずかな経験でいい反応するようになったな。うひひ。

 結局、小一時間の間に三回もしてしまった。

 ゴーリーヴォーグのシャワーで洗いっこしながら、最後にもう一回。満足満足。


 ♡❤♡❤♡❤♡❤♡❤♡❤♡❤♡❤♡❤♡❤ 


 翌朝、何故か目を合わせようとしないテリーを気にしながら、出発の準備をしていると、頬を赤らめたスーが、意味深なセリフを言ってきた。

「旦那様♡ こちらの世界には、母親が十四歳の直前に懐妊した子供はひとかどの人物になるという言い伝えがありますの♡ ですから、これから、来月の私の誕生日まで、頑張ってくださいませね♡」

 ふーん、似たような言い伝えがあるものだ。白堡流も、昔は一子相伝だったから、こういうの気にしてたもんな。だから、アコの時もあいつらが十四になる直前に……

「出発の準備、できたよー」

 っと、アコが呼んでる。慌ててゴーリーヴォーグの方へ駆け寄る。

 今日は、流石に疲れたので、久しぶりにキャンパーのラウンジで休ませてもらおう。

 そう思いながら中へ入る。今日は、テリーとエルノス、アイナがヒロシと一緒にレンジに乗る。久々に夫婦水入らずである。たまにはいいな。




 このあと、特に問題も発生せず、無事三時間後には聖王都に到着。嫁たちは、本来の仕事のため官僚に戻って、仕事を開始した。捨て置かれた俺は、同じく手持ち無沙汰なアコと、いちゃいちゃしながら帰りを待っていた。完全にヒモだな、これ。

  次回予告


 と、いうわけで、カレー大好きゴーリガンだ。

 一応、俺のなかでは、あそこのカリーは世界三大美味に入っている。

 ほかの店はというと、

 神保町の共A堂スマトラカレー、焼きりんごとセットで食え!

 同じく神保町のエチOピアの野菜カレー、男なら十倍以上で勝負だ!

 全部食べたら君もカレーマスターだ!

 次回 「カレーの王子様」

 ところで、俺、黄色だったっけ?

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