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15th 「呉越同舟 仲悪し?」

「うふふふ、そう、そうなんだよ。神様ぁ。うん、うん、え? やだぁ♡」

 現在、アコは、神様の電波を受信している状態だ。

 この状態はまるまる一日位は続くのだ。

 大体、一か月に一回くらい、こういう状態となる。神官様の本領が発揮された状態だ。

 彼女の神託は、近場に居る者たちへの神からのギフトとなることもままある事なのだ。

 そして今回、その栄誉ある神託を託されたのは、よりによってあの三バカだった。

 そう、前回予告のときの、アレは、マジ神託なのである。

 神託を授かる神様は、主神たるパーパス(わが父)から、そこらの小神(マイナーゴッド)まで様々であるが、今回は、

「うん、いい旅、やーね、おやおや、なんて♡ そうそう、ナレーション、折角だからよろしくね♡」

 どうやら、今回は泥棒と、いい旅の神様だったらしい。いや、ナレーションとか言われても、アコしか聞こえないし。

「えー、ご覧の通り、アコが戦力として役立たずとなりました。残念ですが、こいつはほっといて、この後は、俺と喜死朗のツートップで行きます。アイナとアヤメ(カタカナ)は、両サイドからの遊撃担当。中段に殺女(漢字)、スー、アナ、ヒロシ、の四人。最後衛にジュンと筋肉。残りは後衛の前列に陣取ること」

 それなりに人数が増えたせいで、采配が面倒ではあるが、レギオンを作ろうかという人間がこの位の人数で音を上げるわけにもいかないしな。

「何か質問がある者はいるか?」

「先程私達七人との婚姻に、何か含む所のあるようなお話でしたが、そのあたり、スーにも詳しく教えていただきたく思いますわ。あ・な・た♡」

 嫁たち全員が腕組みしつつ仁王立ち。

「ごーめーんーなーさーい」




「どうだ、うちの嫁たちは、可愛くも、恐ろしいだろう?」

「正直、スマン!」

 今更ながら、自分達の犯した罪の重さになんと、あの喜死朗が詫びを入れた。

 今は隊列通りに行軍しているので、流石に話は聞こえていないとは思うが。

 嫁たちも、普段合う事の無い人物との交流を楽しんでいるらしい。

「なんと! そのような方法で筋肉をつけられるのですか?」

「ふんっ! 食事による筋肉の増量は基本。特に卵の白身は、最適の蛋白を摂取できる」

「こらこら、そんな奴の話を実践するな! 筋肉達磨がうつる!」

 と、遠くから反論すると、達磨を見てビクッ! とするジュン。

「あ、あくまで、参考意見ですよ? 旦那様」

 ふぅー、助かった。

 

 なんて、話をしているうちに42階層への入り口まで来た。

「下の階は大型の魔獣が多数居るでござるよ」

「ふーむ、何かいい方法はないか?」

「ああ、それならあたしの新型焼夷弾で焼き尽くしてみるかい?」

 剛力(名前呼びだと混乱する為苗字呼びで以後統一)が提案してくる。

「大丈夫なのか?」

「爆風を極力小さくして、熱量だけを半径50mの範囲にまき散らす。魔物の融点である387°cは軽く抜いているから、近場の魔物は、たとえグリフィンでも一発で全滅だよ」

「よし、ならそれでいこう。準備よろしく」

 下階には入らず、階段から投げ入れるようだ。

 投げてすぐさま出来る限り遠く離れる。

 3・2・1・ゼロ!

 ドン! と、思ったより小さな音と共に凄い熱波が此処まで押し寄せてくる。

 成程、下の階はほぼ全滅だろうな。熱波がやや収まった頃、行軍を再開して下階層へ降りる。

 むわっ

 まだ熱い。

 さっそく、移動しようと思ったが、ちょっと無理そうだ。

「ここは、私の出番ですわね」

 ミナミが魔法陣を発動した。

「ブリザード」

 下階に氷の渦を発生させると、下の部屋は凍ってしまった。

 おおおっ、ちぱちぱと拍手を受ける。

「では、まいりましょうか」

 そう言って階段を降りるミナミ。が、最後の一段でつるんと滑っておしりを打った。


「痛いですわ、主様。どうか優しくさすって下さいませ」

 と、言われてさすってやると、俺の方が、他の嫁の視線が痛くてたまらん。


 氷は、元々の熱気で既に溶けていたので、そこらに散らばったドロップを皆で拾う。

 剛力が、拾った分は自分の物でいいというので、お言葉に甘えることにする。

 呪いを盾に全部取り上げるのも可哀想だしな。

 実際、意外にも味方になってみると動かしやすい優秀な冒険者なんだよな、こいつら。

 俺達同様三人で完結しているパーティーだから、大抵のことは、三人でできるし。


 壁の色がだんだん赤黒くなってきた。迷宮のコアが近くなってきた証拠だ。

 だが、流石に急造パーティーの弱点がこの後明らかになる。


「休憩させろ!」

「もう少し頑張れ。迷宮が羽化したらまずい」

 元々、迷宮に入った動機も違うわけで、モチベーション維持が難しいのだ。こいつら。


「腹へった!」

「ふんっ! 某、食事時間を決めているので、ずれ込むと困るのだ」

「さっきの爆弾分の褒美を要求する。休ませろ!」

 この位の要求では呪いは発生しないと判ったら、煩くて仕方ない。

 そう言われては仕方ないので、一時間休憩だ。目の前まで来てるのに。

 しかも、こいつら、碌に物資も用意してない。

 飲み食いは、こっち持ちだし、喰ったものは、そこらに捨てようとするし、挙句、足りないとか言ってくるし、こっちは十一人分を十四人でわけているのだから、足りるわけがないんだ。

 ギャース、ギャースと争っているうちに、また、魔物を呼び込んでしまったようだ。


「見ろ! 今度はスフィンクスまで呼んじまってどうすんだ?」

「うっせぇなぁ。すーひんくだろ。なぞなぞしたら帰るんちがうか?」

「誰が民明書房の話しとるかぁぁぁっ!」

 そんな与太を言いながらも一刀+一ドリルの元に斬り捨てる。

「今のは俺が倒した!」

「いいや、俺だ!」

『判決を下すべぇ~。今のは喜死朗だべぇ~』

 くっそ、神様の判決じゃしかたねーか。

 どや顔の喜死朗がうぜぇ。


「まったく、だんだん本性がでてきますわね」

「もー、ああいう人なんだと思えば納得できるから、仕方ないよ」

「あれはあれでありな気がしてきたよ。洗脳されてきたかなぁ。スーに」

「え~っあ~いう所、可愛くない~?」

「その通りです、さすがアナ。私達は旦那様♡ を信じるだけです」

「ふふふ、ブーケ、チヨ、実家に帰るなら今のうちですよ にやり」

「べ、別に嫌いとまでは、いってないんだからねっ!」

「大丈夫、お菓子がある限り、チヨは旦那様の味方だもん」

 きこえてるよー。ごめんなさいー。ライフが削れるから許して~


 そうこうするうちに、先行偵察に行ってたアヤメとアイナが戻ってきた。

「拙いでゴザル。コア部分にボスが湧いてるでゴザル」

「……それも、ヒュドラ。過去ヒュドラ憑きの迷宮は、聞いたことがない」


 拙い、かな?


 現在位置 44階層 上り階段付近


 

 次回予告


「じゃあ、本格的にヒュドラを攻略するぞ!」

「その前に迷宮のコアを分配する契約を結んどくれよ」

「そうだ、そうだ! ただ働きなんて、ニート王のすることじゃねー」

 (ニート王だったのか、迷惑な)

「ふんっ! 正当な報酬は、人として信頼関係の源ぞ」


 うーん、はっ! (ピンポーン) 

「じゃあ、こういうのはどうだ? 今までのドロップ全部と交換でコアの権利をやろう」

「いいのかい? 百万ちょっとしかないよ?」

「俺達には十分だ。指名依頼の報酬もあるし」

「じゃあ、遠慮なくもらうことにするよ」


 次回 「勝利の価値は、プライスレス」


「じゃあ、コアに手を付けて死刑になる役目、ヨロシク!」

「「「え!?」」」

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