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13th 「荒野の11人」

<OPテーマ 天衣無縫だ ゴーリガン!>


 ババババルンバルンバルン

 唸るエンジンが

 奴の来たのを知らせてくれた

 生まれついてのタフな奴

 青のヒーローだゴゴゴGo! 

 ゴーリガン


 みんなの命は世界の未来

 それを守るは俺の、俺の願い


 未来科学と古代の武芸が

 ひとつになって無敵の力になる


 争いに溺れた与太者たちよ

 恐れとともに消えて去れ!

 闇に挑みし青き仇花 

 それが勇者だゴゴ ゴゴ Go! 

 ゴーリガン

 陽炎の中を横一列になって歩いてくる11人の戦士たち。

 目指す〝迷宮〟は、ロサ郊外の鉱山地区にある。

 俺を中心に、ゴーリガンガールズが左右に別れ、その外にアコとヒロシ、更に大外にアイナ、アヤメというフォーメーションだ。

 ゴーリガンガールズは、今日の為に誂えたそれぞれのイメージカラーのバトルドレス姿である。


 元々、この場所では、鉱物が豊富に採れていた。

 にも関わらず、人間達の横着心が、たまたま出来た迷宮を使おうと、

 製錬の費用を削減をしようなどという輩の出現を許してしまったのだ。

 便利に慣れた者は、便利なものを手放そうとは決してしない。

 結果、まだ採掘出来る鉱山を放棄して、迷宮に行くものばかり。

 それが、どんな危険をもたらすのか、知らないまま。

 だが、それも、もうすぐ終わりだ。

 この〝迷宮〟に、「止めを刺す!」 

 そして、新しいロサが始まるのだ。




 ぐぐおぉぉぉぉっ! ぐぅぉぉぉぉっ! と雄叫びが延々と続く。

 どうやら、迷宮の外まで溢れているようだ。

「……見えた。ゴブリンモドキ、ゾンビの混成部隊。数、百体前後」

 外で戦っている冒険者も僅かに居るようだ。なら、大まかに退治して、後は彼らに任せよう。


「プロジェクトG」

「ゴーリガンガールズ」

「「「「「「「「「「「レディー ゴー」」」」」」」」」」」

 戦闘開始の雄叫びとともに、一斉に走り出す。最大火力を利用した横一列陣。

 

俺とスー、アナは自前のビームキャリバーで、ヒロシがレンジの屋根に付いていた二連キャノン砲を二分割して、片方を自分が、もう片方をブーケとチヨの二人持ちで連射する。

 

 アヤメとアイナの二人が、その間隙を潜り抜け、ばったばったと斬りつける。

 

 残敵掃討はジュンの役目だ。彼女の剣技も目立たないものの確実に敵を屠る一流の者の剣だ。

 

 しかし、この序盤において最大の戦力はミナミであろう。

「ファイアウォール! 薙ぎ払え!」

 魔法によって作られた炎の壁が、轟轟と、敵陣を移動しながら魔物を焼き尽くす。

 一撃で、敵の半数近くを巻き込むと、迷宮までの道を開いてさえしまった。

「よし、突入するぞ!」

 開いた通路をアコを先頭に入口まで突っ走る。

「ライダァァァァパァァァンチ!」

 そう、言いながらロシアンフックで次々邪魔者を排除する。

 

 迷宮入口まで来ると、管理者が、魔物と戦いながら俺達を誰何する。

「冒険者ギルドで指名依頼を受けた、プロジェクトGだ!」

「ならば、通ってよし!」

 何を威張って、そんな場合かよ。取り敢えず助太刀して残敵を片付けると、

「中の状況を出来るだけ詳細に確認してきてくれ。部下たちも潜っているが、まだ誰も帰ってこない」

 と、言われたので了解したとだけ言って中に突入する。


 中は、思っていたよりは、敵が少なかった。

 外の魔物は、外壁部から湧いているらしい。

「コア部分は、44階層にある筈だ。一気に駆け抜けるぞ」

「「「「「「「「「「了解!」」」」」」」」」」

 とは、言っても一階層抜けるだけでも結構骨だ。長丁場になることは避けられない。

 幸い、俺自身がこの迷宮のことは、隅々まで知り尽くしている。

 ショートカットの為の仕掛けも残しているので、最初から攻略するのとは訳が違う。

「六階層から四十階層にショートカットする為のワープゲートを仕掛けてある。多分まだ生きている筈だから、それを使えば或いは、時間短縮か出来るかもしれない」

「前から魔物が来ます!」

 スーに呼ばれて見てみると、ゴーレムのような溶けかけの人型が顔を出す。

「マッドゴーレムかよ!」

 三十階層以後出現する奴だ。こんな入口付近に居ていい魔物じゃねぇ!

「たしか、こいつは」

 ヒロシがビームを連射しながらマッドゴーレムの体を削っていく。

「こうしてコアを露出させるんだったよねぇ」

 すかさず、露出したコアをアコが一瞬で引っこ抜く。すると、マッドゴーレムは、体が溶けて地面に吸収された。

「「「「「「「「おおおっ!」」」」」」」」

 ちぱちぱと、みんなが拍手する。

「これで、千ドロップ!ゲットだぜ」

 アコがコアを仕舞いこむ。

 アコがコア ……回文かっ!

 自分の心の中に突っ込みをいれる。

 こうして、アコがちゃっかりドロップを回収してくれるおかげで、後で収入が増えるのだ。

「アコさま、すごーい!」

「ああいうこと、私たちも出来るでしょうか?」

「もちのろん♡ブーケちんも、チヨちゃんも、賢いいいこだから、覚え出したら早いよ、きっと」

「みんな、今回が初陣なんだ。それを考えれば上手くやってると思うぞ」

 なんといっても、指揮官の意思通りに動こうとしてくれること。これが実戦では一番難しいんだ。

 普通人は、いざとなると自分勝手に動きたくなるものだからな。

 もしかすると、この部隊は一廉のものになるかも知れん。

 もっとも、俺を好いていてくれてる間だけだがな。

「ハードル高ぇぇぇっ!」

 突然絶叫した俺にみんながビクッとなった。



 一階層は、それ以上の敵は現れなかった。

 

 続く二階層は、逆に魔物の博覧会状態であった。

 いよいよ、本気を出す時だ。

「アポート!」

「All X-Y-Z Clear 変身!」

 電子音が変身可能を告げる。

 バッテリー節約のため、ここまで温存していたが、数も質もハードモード過ぎるだろ!

 俺を包む光が止むと、青の鎧が俺を包み込む。

「天衣無縫!」カキィーン「攻略不可!」ジャキーン「自由の守護神 ゴーリガン!」どどどーん!

 ※今回より少し、キーワードが変更となりました。尚、効果音は、実際に変身ベルトより出ています。


 いや、誰に説明してる訳でもないんだが。


 ともあれ、これで敵陣に突っ込んでいける。

 やはり、グールが多い。これまでに相当数の冒険者が犠牲になっているのだ。


 二挺のビームキャリバーを使い、舞い、踊るように、敵陣を駆ける。

白堡流二挺の舞しらおきりゅうにちょうのまい

 冒険者たちへの供養を込めて、祈り舞い、そして、撃つ。

たんたたんたたたんたんたたたたんたたたんたたたんたんたんたたたたんたたんたたんたたんたんたたた


 そうして、舞舞台は、静謐な空気をいつしか取り戻す。

「お粗末!」

 そこに、魔物たちの姿は既に無い。

「「「「「「「「おおおっ!」」」」」」」」

 ちぱちぱと、みんなが拍手する。

「お目汚しでございました」

 一礼して、舞台を降りる

 わずか、三分程の舞であった。




 三階層は、手ごろな敵数である。

 ゴーリガンガールズの腕前を確認するため、あえて任せてみた。


「「行きます!」」

 スーとアナの二人は、ビームキャリバーを構えつつ突撃していく。

 スーの正確な射撃は、お手本に忠実に再現されている。彼女の素直さが体現されているようだ。

 一発、一発を大切に撃つその姿勢は、銃という武器を持つものとしては、必要不可欠の才能である。

 アナは、普段ののほほんとした雰囲気から一転して、凛々しくも男前に突撃する。ビームキャリバーという武器の特性をしっかり理解し、短距離射撃に特化して敵陣に深く潜り込み敵を叩く。

 その眼前に敵は無く、取りこぼしの有無を問題としなかった。なぜなら、零れた敵は、スーの銃撃の餌食となるからだ。

 この二人の相性はよさそうだ。俺は、満足な結果に頬を緩めた。


「次はわたしたちの番だよー」「お仕置きタイムの時間ですわ♡」

 ブーケの短剣二刀流は、アイナちゃんから教わった暗殺術のものだ。

 そして、チヨの大手裏剣は、アヤメが持て余していた大荷物を、チヨが目を点けて借り受けたものだ。

 ブーケの逆手に持った双剣を回転運動により、威力を増しながら敵に斬りつけていく技は、教科書どおりの良い攻撃だ。トリッキーな相手に対してはまだ不安もあるが、迷宮内で使う分には必要十分な技だ。

 一方、チヨの大手裏剣は、投げて使うというよりも、手持ちで使う方が良い使い方が出来る。十文字の先端部分がやや膨らんだ形は、一方向を持って剣のように使い、盾として、敵の技を受け流し、と、なかなか器用に使えるようだ。体型から想像できる以上の膂力を持っているのも、落ちもの様の血ゆえだろうか? 

 いずれにせよ、普段から一緒のことが多い二人に連携の問題もなし。


「さあ、ショータイムですわよ♡」「この剣に賭けて守り抜く!」

 ミナミの魔法は、結構応用が利く。彼女が選んだ武器の鉄扇は、魔法の発動体を兼ねている。その為、

鉄扇で威嚇しつつ魔法攻撃ということができる。しかし、魔法詠唱のためどうしてもタイムラグができてしまう。

 そこで、ジュンの剣技が生きてくる。彼女の剣技は、騎士のそれである。騎士の剣技は守りの剣技であり、そのために作られた技の数々は、難攻不落の城塞の如し。一撃の重みが他の娘たちと段違いであり、彼女が長い髪を振り乱し闘う様は、正に戦神の如き神々しさである。

 そして、二人の強さは、間違いなく他の娘たちと比較しても一段上である。剣と魔法。その姿はまるで、偉大な悪の魔女(ヴィッカー)魔女の騎士(ヘクセンリッター)である。




 此処までは、順調であった。しかし、好事魔多しとは、良く言ったものだ。

 この後、俺たちは想定外の事態に直面する。

 それでも、闘いを止める訳にはいかない。


 現在位置  四階層入口付近

 次回予告


 ついに迷宮へと突入した俺たち。

 しかし、俺たちを追って追撃してくる謎の影。

 そして、迷宮にも異変が。

 どうする、どうなる、絶対絶命?


 次回 「三悪再来 あるいは男達のOrz」

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