デュエルワールド
蒸し暑い熱気が去った何の変哲もない秋の土曜日の夕暮れ、大阪市にある町は会社に勤めるサラリーマンや学校に通う学生達で溢れかえっていた。一週間の疲れがたまり顔に疲弊の色を浮かべる者、明日の予定話に花を咲かせる者など、実に様々だ。多くの通行人の中で輝かんばかりの笑顔を浮かべる二人の少年がいた。
「あぁ、早く試合時間になんないかな~」
「そうだね、すごく楽しみだよ」
肩を並べて歩いていく少年達、二人の名は宮川陽光と宮川月光。近くにある高校に通う一年生だ。
二人とも人目を引くほどに顔が整っているが二卵性双生児のため余り顔は似てはいない。
先に声を出したのは双子の兄、陽光である。誰にでも優しく接することのできる明るい性格で多くの友達に囲まれて楽しく学校生活を過ごしている。運動部に応援を頼まれるほど運動神経は良いのだが、勉強は得意としていない。
陽光の声に返事をした少年が月光。気弱で陽光の傍にいつもいる。運動は苦手だが勉強は常に学年一位を保つほどの秀才である。
大分傾いた夕陽の光で長く伸びた影を追うように二人は足を進める。二人の高校の制服である緑のブレザーもその色を赤く変えていた。
二人は家に着くなり自身の部屋へと駆け込んでいく。何が二人をそこまで駆り立てるのか、それは世界最大規模のネットゲーム――デュエルワールドだ。
頭にかぶるゴーグルとヘッドホンが合わさったような機器──ダイブゴーグル。
正方形のパネル二枚を左右の手で操るコントローラー──ハンドパッド。
この二つの機器をネットに繋ぐことでプレイが可能となる。
陽光と別れ自室に飛び込むなり制服を脱いで短パンにTシャツとラフな部屋着に着替えた月光は早速ゲームを起動させるべくダイブゴーグルの電源を入れた。緑のランプが輝き張り詰めた弦を弾くような起動音が鳴る。
ダイブゴーグルを装備した月光は椅子に腰かけ両手をハンドパッドの前に持っていく。そして、嬉々とした声色で叫んだ。
「ゲームプレイ! デュエルワールド!」
ダイブゴーグルによってさえぎられていた視界に様々なものが飛び込む。青い空、白い雲、緑の草原、赤い花、黄色い太陽。最新技術の結晶によって生み出された世界に月光は飛び込んだ。
そこにいるのはさっきまでの月光とは違う、この世界、デュエルワールドの中での月光。黒く先のとがったブーツ、三本のベルトが巻き付いた青いズボン、黒いノースリーブのシャツ、銀に輝くガントレットと白いグローブ、首に巻きついた白いマフラー。髪は月夜を思わせる青みがかった黒髪のストレート、射抜くような鋭い瞳は白銀の光を放っている。
デュエルワールドに初めてログインした時に月光が設定した姿、それがこの姿、ルナである。
デュエルワールドとは世界中で最も人気のあるオンラインRPGだ。ユーザーはゆうに一千万人を超え、大人から子供まで幅広く愛されているゲームである。このゲームの人気は世界との一体感を楽しめるからだ。ダイブゴーグルによってダイレクトに伝わる視覚と聴覚。ハンドパッドを使うことで多彩な動きを行うことが可能だ。
この世界の物語は人が武器を持ち、凶悪なモンスターと戦っていく。ただそれだけ。
そして、この世界には武器使い(ジョブ)が存在する。武器にはたくさんの種類があって、各々が好みに合わせた武器使いを選択して極めていく。圧倒的攻撃数で敵に反撃の隙を与えない拳闘士、最もリーチが長く敵の接近を許さない長剣士、縦横無尽の機動力で敵を錯乱する双爪士、攻撃範囲が広く敵を逃がさない大鎌士(ビッグシッカ―)、小さな隙も確実に突き敵の防御を打ち破る突槍士、絶対の破壊力で敵を粉砕する破斧士。
さらに、武器使いの中にも資格というものが存在する。最初は初級から始まり、中級、上級と上り詰めていく。その中で一つの武器使いの中に一人だけ持つことを許される資格がある、それは超級。この世界の中に立った六人しかいない最強の資格。誰もがこの資格を手に入れるため、日々己の強化に努めているのだ。
デュエルワールドに降り立った月光──ルナはあたりを見回した。そこは草原フィールドのど真ん中でどこまでも続く緑の遠くの方に町の影が見える。このゲームは基本ログアウトしたところより再開される、それゆえほとんどの者が街中でログアウトするのだが月光は街から遠く離れたところでログアウトするのを好んだ。気弱な彼は街中の人ごみにいきなりさらされるのを嫌うのだ。
「たしかソルは街の北門に居るはず……」
ルナはポツリと独り言を零す。ソルとはこの世界の陽光の事だ。ルナは街に向かって駆け出すために右足を引く。しかし、駆け出そうとした瞬間、ルナを取り囲むように青い光の束が次々に降り注いだ。ルナは周りが青い光に包まれるという美しい光景に顔を歪める。何故ならその光はプレイヤーが飛んできた演出なのだから。
魔法が存在しないこの世界ではカードと呼ばれるものが移動や遠距離攻撃に使われる。攻撃用のレッドカード、移動用のブルーカード、回復用のグリーンカード、罠用のイエローカード、防御用のホワイトカード。これらのカードを巧みに使いこなすことで初級が上級に勝つことも不可能ではない。その場合、大量のカードと時間が必要だが。
青い光が収まるとルナの周りにはおよそ百人にも及ぶプレーヤーたちが得物を構えていた。その様子にルナはため息を零す。本来ならこの人数を目にしたら戦意を喪失しそうなものだがルナは違った。大量のプレイヤーに囲まれて襲われる事はすでに何度も経験しているからだ。
ルナを取り囲んだプレイヤーの中でリーダー格と思われる双爪士の男が一歩前に踏み出し、歪な笑みの浮かんだ口を開いた。
「お前がルナ……だな? お前の持っている資格、貰いに来たぞ」
「あげないよ。そう簡単に行くと思わないでね」
そう言ってルナは己の得物を構えた。男たちがルナから奪おうとしている物……それは双爪士の超級の資格。一つの職業にたった一人しか存在しない超級のプレイヤー、そのプレイヤーを倒すことで超級の資格を奪えるのだ。ルナは超級の双爪士である。
現実世界では常に兄の背中に隠れている気弱な月光だが、この世界では自分の持っている最強の資格が彼の心を後押しする。だから月光は超級の資格を失った時がこのゲームを辞める時と決めている。そして彼にはまだゲームを辞める気はない。
「強がるなよ、いくら超級のプレーヤーだからってこの人数に勝てるわけないだろう」
「いや、勝てるよ」
さわやかな笑顔とともに返された挑発、それは男の……敵百人のやる気を焚きつける。
「漆黒の風と呼ばれた僕のことを甘く見ないでね!」
ルナは言葉を切ると同時に地面を蹴った。鍛え上げられたステータスによってそのスピードは音速に迫る。一気にリーダ格の奴の目の前に行くと両手につけられた青白い光を放つ刃を振るった。
「な!?」
一瞬の短い悲鳴とともに男は、がしゃん、とガラスが砕けるような音をあたりに響かせ砕け散った。ルナの視界の端に男を倒したことで得られる経験値が表示される、その数値はたったの28だった。
「少ないなぁ、超級取りに来るくらいだからもうちょっとレベル高いのかと思ったけど」
「う、うわぁぁ! シュウトが一瞬でやられた!?」
ルナののんきな声を聴いて、ようやく状況を理解したプレイヤー達がパニックに陥った。リーダーが呆気なくやられたのだ、無理もない。
逃げ出すためカードを取り出そうとしているが、恐怖と焦りで何度も取り落としている。
ルナはさっと辺りを見回すと駆け出した。視界に入った敵に向けて得物を振り下ろす。ルナの刃が煌めくたびに一人、また一人と砕けていく。百人もいたプレイヤーはわずか三分で全滅した。
あたりに砕け散ったポリゴンの粒子が漂う中、ルナは両手の得物をしまうと今度こそ駆け出した。風を切りながら高速で移動する、普通のプレイヤーにはおそらく視認することもかなわない速度だろう……それほどまでにルナのステータスは高かった。
◆
普通のプレイヤーなら二十分はかかるであろう距離をたった五分で走破したルナは北門に見なれた白髪を見つけルナは駆け寄った。
「おーい! ソル!」
「ん? ルナ! 遅いぞ!」
ごめんごめんと謝るルナに呆れた笑みを浮かべながらソルは街の中心に向けて足を進めた。ルナもそれに従う。
「これからタイトルマッチだっていうのに何やってたんだよ?」
「資格防衛戦……かな?」
何だよそれ、とソルが笑う。それにつられてルナも笑った。
この世界での陽光──ソルの姿は太陽の光を反射してキラキラ輝く白髪、つり上がった目には炎のような赤い瞳。服装はおめでたい紅白で目立っている。全体的に攻撃的なイメージを持たせる外見だが柔らかい笑顔を浮かべているため友人は多い。そして超級を持つ長剣士だ、完全拒絶の炎と恐れられている。
この世界の中で最強のプレイヤーに数えられる二人が並んで歩いているのは珍しい光景ではない。ほとんどパーティーを組んでプレイしているので誰でも見慣れた光景なのだ。しかし、今日の二人は異様に視線を集めた、何故なら……今日はタイトルマッチに二人が挑むのだから。
この世界にはリーグが存在する、そのリーグの優勝者をタイトル保持者――チャンピオンと呼ぶのだ。現在のタイトル保持者は超級の大鎌士スレイプと超級の破斧士ウォーリーのコンビ。圧倒的な攻撃範囲と破壊力でリーグを制覇した強者だ。
ルナとソルは今日、チャンピオンに挑むのだ。そのためか二人には周りから声援が飛んでくる。リーグ会場に向かうその道がまるで戦士を送りだすアーチの様にも思える。二人は視線を合わせるとにかっと笑い、そのまま会場に向かって駆け抜けた。
人ごみが嫌いなルナも気分が高揚して、これから始まる戦いにわくわくしている。ソルもわくわくを隠しきれないようで目はらんらんと輝いていた。
会場に到着した二人は一目散にカウンターへと駆け寄った。椅子に座っているNPCに声をかける。
「どんなご用でしょうか?」
「「タイトルマッチ参加です!」」
NPCのお姉さんが微笑んだ……りすることはなく、無表情のまま控室に転送された。
青いリング状の光が床から上に向かって動く。その光の中でルナとソルが足元からゆっくりと構成されていった。
控室の中は白い壁に覆われていて味気ない。白以外のものと言えば決闘場に飛ぶためのゲートぐらいだ。この狭い空間の中でルナとソルは互いの拳を突き合わせ、微笑みを浮かべる。
「このタイトルマッチ、絶対に勝とうな」
「もちろん! 僕達は負けないよ」
相手の目を見据え強く頷き合う。これは二人が強敵と戦うときの儀式のようなものだ。二人は自分の愛剣を装備する。ルナの武器は双爪『死の爪』。ソルの武器は長剣『星光の剣』。どちらも最強の名を持つ伝説の武器である。この武器を手に入れるために二人はとても高難易度のダンジョンに潜り続けたほどだ。
きらり、と輝きを放つ剣に詰め込んだのは願い、託すのは強さ。仲間に預けるのは命、信じるのは勝利。
「行くぞ!」
「うん!」
二人の少年は最強の名を奪うために、待ち受ける現最強を倒すべくゲートに踏み込んだ。
◆
「「「おおおおぉぉぉぉ!」」」
入場してきた二人を迎えたのは観客の歓声だった。この世界に存在している一千万人のプレイヤーのほとんどがこの試合を見に来ている。
円形状のスタジアムの中央に浮かぶ決闘場、そこの東側にソルとルナは転送された。観客の多さに尻込みしそうになるルナとがぜんやる気を出すソル。この二人の対戦相手はいまだその姿を会場にはあらわさない。早まる鼓動を感じながら二人は試合開始の時を心待ちにした。
「本日のチャレンジャー! ソルとルナのチーム! ホワイトブラックが入場だ!」
ナレーションを入れるキャラクターの声がマイクを通してスタジアム全体に広がる。このキャラはNPCなのかPCなのか、それを知る者は誰もいない。
「続いてはチャンピオン! スレイプあぁんどウォーリー! パワーブレイカーズの入場だぁ!」
ぶん、と小さな効果音と共に決闘場の西側にチャンピオンの二人が転送されてきた。
「「「おおおおぉぉぉぉ!!」」」
ソルとルナが入場した時よりも大きな歓声が上がる。しかし二人の耳にその声は届かなかった。ソルとルナは現れた二人を見据える。二人とも体格が大きく武装もかなりごついためこうして対峙しているだけでものすごいプレッシャーがかかっていた。体の奥底から感情が溢れだす。それは恐怖2割、自信3割、そして楽しさ5割といった具合だろうか。この状況を二人は楽しんでいる。
「君たちが挑戦者か、よろしくな。全力を尽くして戦おう」
ウォーリーが二人に向かって挨拶する。スレイプは無表情のまま大鎌を構えていた。
「はい! 負けませんよ!」
「俺達はあんたたちに勝つ!」
ソルとルナも大きな声で返すと武器を構えた。スタジアム全体が静寂に包まれる。誰もが試合開始の瞬間を待ち望んだ。
そして……始まりを告げる鐘が鳴り響いた。
「いくぞぉ!」
ソルが叫ぶのと同時にルナは駆け出した。超高速でスレイプに接近する。しかし、大鎌士は大鎌を横薙ぎに振り払ってくる。その鎌は刃が3つも並んだとても歪な形をした鎌で、ルナの体に刃が食い込む……直前でルナの後ろから伸びてきた長剣がその鎌を弾いた。甲高い音と火花が散る。ルナはそのままスレイプにゼロ距離まで接近して右肩を突き出して両手を引いて構えた。そのまま振り抜こうとしたが、すぐに上に飛ぶ。先ほどまでルナがいた場所を大きな斧が横切った。空中で無防備になったルナに向かって鎌が振り下ろされるが長剣がこれを受け止め、再び火花が弾ける。
一瞬で繰り広げられた攻防に観客席が大いに盛り上がる。しかし、今戦っている四人にその声は届かない。大鎌士は右頬を大きく吊り上げ、破斧士は歯を出して笑っている。白銀の長剣士は子供の様な無邪気な笑みを浮かべているし、漆黒の双爪士に至っては声に出して笑っていた。ダイブゴーグルに供えられた脳波のキャッチ機能によって、プレイヤーの心境をキャラクターの表情に表わすシステムで表現しているとは思えないほどの笑顔だ。
高速で飛び交う剣技、弾ける火花、響く高音。どれも彼らを盛り上げる最高のスパイスだった。一瞬でも気を抜けば体力がゼロになるこの状況、ただでさえ時折かする刃が体力を奪っていくのに彼らはそれを楽しんでいた。
強敵との死闘。この世界においてこれに勝る楽しみはない。彼らは今最もこのゲームを楽しんでいるプレイヤーだと言えるだろう。周りの観客もそれにつられて笑みを浮かべる。
しかし、楽しい時間とはそう長くは続かないものだ。ソルとルナの体力が二割を切り危険域に突入する。対して、ウォーリーとスレイプの体力はいまだ四割の警戒域だ。さすがに焦りが表情に浮かんでくる。しかし、二人は諦める気は毛頭ない。勝負に出るため一度大きく距離を取った。
「まずいね……防御力があっちの方が上だから、このままじゃ負けるよ?」
「だから、あれをやるんだろ?」
「そうだね」
二人は大きく深呼吸すると飛び出した。迎撃するためにウォーリーとスレイプは武器を構える。
ルナは自身のステータスの中で最も鍛えられた機動性をフル活用する。何度も左右に飛びながら接近することで反撃のタイミングを掴ませないように。
「「っ!?」」
ルナの軌道を追うことに必死になっていた二人にソルの渾身の一閃が炸裂する。とっさに防いだとはいえその威力は凄まじく、二人の体力を危険域まで持ち込んだ。二人の注意が一瞬ソルに流れる、その隙をルナが見逃すはずがない。クロスに重ねた両手の剣でスレイプを弾き飛ばした。
「はぁ!」
「ちぃ!」
攻撃力をあまり上げていないルナの攻撃ではスレイプの体力を削りきることができなかった。しかし、ルナは思いっきり地を蹴りスレイプの後を追う。
この行動ははっきり言って自殺行為だと言える。空中に飛び出したところで相手の反撃は必至、しかも空中では回避方法がないのだから。
スレイプの口に余裕の笑みが浮かぶ。両手に握られた鎌を上段に大きく構えた。
ルナは、この反撃を予測していた。そして、ルナにはその対抗手段がある……それは、空中戦闘。機動力をかなりの数値まで鍛えることで身に着けることができる、空中での移動スキルだ。振り下ろされた鎌を横回転で回避してスレイプの懐に入り込む。そのまま目にもとまらぬ超高速の連撃を放った。左右の手に付けられた剣から伸びる閃光が無数に見えるほどの連撃――ルナの最強の技『流星群』。総数48にも及ぶ連撃だ。
「はぁぁぁ!!」
「ぐぅ、ああ!」
スレイプの体力はぐんぐんと減少していき、底を付きた。スレイプの体が無数のガラス片となって砕けちる。ルナはゆっくりと落下していった。
「くそぉぉぉ!!」
ウォーリーが咆哮と共に落下してくるルナに向かって斧を後ろに引き絞った。ルナにはこれを回避する術はない。空中戦闘は一度のジャンプで一度しか使えないのだ。このまま斧がルナの体をとらえれば間違いなくルナの体力を食らいつくし、ガラス片に砕くだろう。
ルナは特に慌てる様子もなくゆっくりと落下する。ルナには分かっていたからだ、斧を避けられないことではない、兄が――ソルが先にすべてを終わらせることが。
「上ばっかり気にしすぎなんだよ!」
ソルの鋭い声がウォーリーの目の前から響く、ウォーリーが視線を下に向けたときにはソルは攻撃モーションに入っていた。
「これで終わりだ!」
ソルの長剣が横薙ぎに煌めく。ウォーリーの体は強制的にノックバック距離を取らされた。それを追いかけながら今度は縦に剣を振り下ろした。これがソルの最強の技『裁きの十字架』。切り裂かれたウォーリーの体力は大きく奪われ、消え去った。ウォーリーの体もまたガラス片へと姿を変えた。
ちょうどそこにルナが落ちてくる。ルナは着地すると同時にソルに飛びついた。
「かったぁぁ!!」
呆然と固まっていたソルも、ルナをしっかりと抱きしめると声を上げた。
「は、ははは! いよっしゃぁぁ!!」
体全体で勝利の喜びを表す二人に周りも次々に声をかける。
「すごかったぞー!」
「よ! 新チャンピオン!」
「かっこよかったわー!」
周りから聞こえてくる大歓声にさすがに恥ずかしくなったのか、二人は顔を赤くしながらも喜びを隠しきれないというように笑みを浮かべる。
「試合終了! 新チャンピオンの誕生だぁぁ! 少年たちに盛大な拍手を!」
スタジアムが割れんばかりの拍手喝さいがあたりから聞こえる。そんな中新チャンピオンの二人は照れくさそうに、でも誇らしげに笑った。
この二人の物語はまだまだたくさんある、けれども今回語るのはここまでにしようか。誰だって頑張れば、諦めなければ一番になれる可能性を秘めているんだ。これは、そんな諦めない少年たちの物語。デュエルワールド。
読んでいただきありがとうございます。
まだまだ、至らない所だらけですが、これからも精進させていただく所存です。