名のない天使と隠した悪魔「懺悔」
「名のない天使と隠した悪魔」のサイドストーリーです。
天使視点となります。
※残酷な描写
あの方は今日来てくれるだろうか…
ひたすら1人で迷子を待ち続けるこの仕事。全く来ないわけではないのだけれど、滅多に迷子は来ない。
紅茶を飲みながら、周りを眺め過ごす日々…
悪魔が突然やって来た。気だるげな表情、手に武器は無い…
敵意は無さそうだから話しかけてみた。
それが始まりだった。
悪魔さんとの会話は新鮮で楽しい。仲間には咎められてしまったけれど…
遠くから誰かが来るのが見えた…悪魔さんとは別の悪魔のよう…?
薄ら笑いでこちらへ向かって来る…武器は無さそう?悪魔さんの知り合いだろうか?
胸に手を当て、不安げに話しかけた。
「何か御用でしょうか?…一緒に紅茶飲みませんか?」
お互いを値踏みする様に見合った。
「これが悪魔を誑かした天使ですか…間抜けだな」
「誑かすだなんて!そのような事はしていません。なんの用ですか?」
一応、護身用の短剣を握る。なんて失礼な悪魔なんだろう。
「悪魔が…天使なんかと仲良くするわけないでしょう!」
槍を振りかざしてきた。
咄嗟に避け、短剣を抜き構えた。
「貴方には関係ないでしょう?」
「あるんですよ。愚かな天使達に舐められちゃ我々の面子に関わる。あってはならないことだ…」
再び攻撃を躱し、避けきれない槍を短剣で払い距離をとる。
「なぜ私を襲うのです?!」
「本当に間抜けだな。罰ですよ…彼の」
「うっ……」
背後から衝撃が来た。背中に痛みが走る…刺された?
振り返ると悪魔の手下が血のついた槍を持っていた。
堪らずに膝をつき、苦痛に悶える…
悪魔が近付いて来る。
短剣を振りかざしたが、簡単に避けられてしまった。
「もう足掻くな…これはアンタにとっても罰なんだよ」
「ぐ…がああああっ」
傷口を悪魔に踏み付けられる。あまりの痛みに視界がぼやけた…
短剣を悪魔に奪われ、羽根を掴まれる。
「天使の羽根…虫唾が走るほど忌々しいが、貴重なので頂きますね」
短剣で羽根を切り落とされていく…
酷い痛みに声も出せない。
私の呻吟と羽根の切り落とされる音が響き渡る。
焼けるような痛みに晒される。
「その醜い羽根を持って戻ってろ」
悪魔は手下に命令し、私を見下す。
「まるで地獄の光景ですね…いい気味だ」
短剣を持ち直し、腰を落とす。
「うぅ…ぐぁあ゙あ゙あ゙あ゙」
背中に短剣が走る…
「動くな。キレイに心臓を取らないと…良い操り人形になって下さい。最期に彼に会わせて差し上げますから」
視界が暗くなってゆき、もう痛みも感じない。
『あぁ、主よ。私はこれまでのようです…お役に立てず、申し訳ございません。
私は人間も悪魔も疑わず、怠惰に過ごしてしまった天使です。ですが、それに後悔はありません。
最後に良き友を得られました。どうか彼に、幸があらんことを…
私は…
できるなら、また彼の顔が見たい…
あぁ、悪魔さんの名前…聞けなかったな……』
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