表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/19

#012 「隼人と要の反応」

 放課後。昇降口へと向かう廊下に、二人の姿が並んでいた。

 隼人と要。背丈も雰囲気も違うが、不思議と歩調は揃っている。


 その光景に、誰かが呟いた。

「……兄弟って、こんなに尊いものだったっけ?」


 その一言が、引き金だった。

「隼人先輩ーー!」

「要くん分析してー!」

「並んで歩いてるだけで尊いーー!」

 一瞬で廊下が包囲される。左右から女子が雪崩れ込み、通路は完全封鎖。


「……進路が消えたな」

 要が冷静に状況を観察する。


「有名人って大変だな」

 隼人は肩をすくめた。


 その余裕が、油だった。


「見た!?今の余裕!」

「兄が包容力、弟が知性!完璧!」

「尊い!!」


 そして──


「要×隼人派はこっち!」

「違う!隼人×要の方が王道!」

「いや、実は血が繋がってない設定が一番熱い!」

「義兄弟if最高!」

「SP三角関係ルートもある!」


「キャーーーー!!」

 派閥が物理的に形成され始めた。


 要が小さく息を吐く。

「誤解が分岐増殖している」


「タグできてる!」

「#兄弟尊い 校内トレンド1位!」

「ファンアートもう3枚上がってる!」


「拡散速度が異常だ」

 要が真顔で呟く。


「今の冷静分析も尊い!」

 歓声は指数関数的に増幅する。


「要くんは絶対クール受け!」

「隼人先輩は俺が守るって言うタイプ!」

「いや実は要くんの方が支配系!」


「待て待て待て!」

 隼人が手を振る。


「俺たち兄弟だぞ!?」


「禁断最高!」


「……話が完全に改竄されている」

 要の冷静な指摘が、さらに燃料を投下する。


「公式にして!」

「ドラマCD待ってます!」

「供給が足りない!」


「派閥の整理が追いつきません!」

 新人SPが人波の中で絶叫する。

「Excelで管理しますか!?」

「攻め受け確定指示ください!」


「出すか!」

 隼人が叫ぶ。


「……撤退を提案する」

 要が低く告げた。


 隼人が要の手首を掴む。

「走るぞ」

 二人が一歩踏み出す。


 しかし――


 女子の壁が一斉に動いた。

「逃がすかーーー!!!」

 廊下が揺れる。

 悲鳴と歓声と妄想が渦を巻き、放課後の灯ヶ峰学園は完全に崩壊した。


「……俺たち、芸能人じゃないんだけどな」

 隼人が息を切らす。


「いや、現状はそれ以上だ」

 要が冷静に答える。


 その瞬間。

「今の会話も尊い!」

 再び歓声が爆発した。放課後の廊下は、今日も平和ではなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ