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あの日の真実




「最初からあんな怪しい奴ら信用しなきゃよかったんだ。」

ゼノムは店を後にした。毛むくじゃらの体を震わせて道を歩いていたー

その時、後ろから聞き覚えのない声が聞こえた


「すみません。道をお尋ねしたのですが…教えてはくれませんか?」

白いスーツと白い帽子を被り、サングラスをした男が地図を見せて立っていた


「俺に聞くな。他のやつに聞いてくれ。」

ゼノムは白い服の男を無視したく、軽く断った


「いえいえ…あなたしかいないんですよ…あなたしか分からない」

男は意味深なことを呟いて、ゼノムに地図を近づけた


その言葉がゼノムにつっかかり、男が指差している場所を見た


「お、お前…!?なんでその場所を…?」

なんと男が指を指している場所はエースが死んだ場所だった


「いえ…落とし物を探しているだけですよ…」

男は不敵な笑みをこぼした


「落とし物ってなんだ…?お前は何を落としたんだ!」


「……命」

男は少し黙ってからそう言った


明らかに危険だと思い、ゼノムは一歩下がった


「行かせるか!!」

ゼノムは右腕を振り下ろした


ゼノムの右手が男の体を傷つけた時、内部には電子部品のような物が見えた


「接近しすぎたようだな…次は手に入れてみせる…」

男はその場で倒れてしまった


「え、エースと同じ…ロボットなのか?」

ゼノムはその光景を見た時、頭に激痛が走った


その瞬間ゼノムはあの日のことをまた思い出した。次はより鮮明に思い出すことができた

その時、ゼノムはあの日の真実に気が付いた


「俺が見たと思っていた、アラリックがエースを殺したあの日。本当は俺は自分の手でエースを殺していたのか…?」


ゼノムは走馬灯のように、あの日起きたことが鮮明に頭の中に甦ってきた


「ドカァアアン」

あの日、俺がエースが打たれたと思った音だ。しかし、実はそれはエースの命を奪っていなかったのだ


撃たれたのはエースではなく、ゼノム自身だった


「ゼノム!!大丈夫か!?」

エースが俺に投げかけてくれた声も言葉も、あの日の俺には聞こえていなかった


その瞬間、ゼノムの体は毛に包まれた。

同時に今まで鮮明だった記憶がボヤけていった。視界は水の中のようにボヤけ目の前に誰がいるのかもわからなくなっていた


「あの日俺が見た景色もこんな感じだったのかな…」

俺は記憶を思い出しながらそうつぶやいた。そして同時に嫌な予感を感じた


視界がぼやけた次の瞬間――


アラリックとエースの見分けがつかなくなってしまった俺は殺戮を繰り返した。


エースだと思われる方は、粉々になって地面に散乱していた

アラリックの方は、宇宙へと投げてしまった。なぜそんなことしたのかは自分でも分からなかった。

ただ多分少しでも遠くへと飛ばしたかったんだ。


2人を殺した後--

俺は何分間もの間、何もせずにその場で立ち尽くしていた


そして何を思ったか、エースの粉々になった部品を体に擦り付けていた

記憶の中であるはずなのに、今にも血が出てきそうな痛みだった


ゼノムは嗄れ声で吠えた

「エース!!!どこに行ったの!!エースがいなきゃ生きていけないよ!!」

俺は泣きながら、血だらけになりながらも部品を擦り続けた


そんなことしても意味はないのに。


あまりの辛さにゼノムは記憶に海から抜け出した


「俺は…自分の手でエースを殺していたのか…?」

いつの間にか、全員の伸びた毛は抜け落ちていた。俺は山のように積まれた毛の上で膝から崩れ落ちた


ゼノムは魂が抜けたような顔をしていた――



その頃、ルシア帝国の軍施設にて


サングラスをし白衣を着た男が、如何にも偉そうな男の元へと走っていた。その男もサングラスをしていた


「イーゴリ研究長!!先日アリメカに飛ばした、量産型ロボット、グラスmark.67が何者かによって破壊された模様です!!」

サングラスをかけたやせた男が、息を切らしながら言った


「なんだと…!?あれは偵察のために、アリメカに送った者…こうも早くバレるとは…!!」

イーゴリと呼ばれる人物は、頭を抱えた


「し、しかし、アラリックが作った、S型を模倣して作ったロボットがそうも簡単に壊されるとはにわかには信じがたいです!」


「あぁ…しかし、壊されたというのも事実…。やはり、我々が戦争に勝つには、S型のデータが必要だ…」


「やはり、アリメカのアラリックは若き天才でしたね…」

男はサングラスをくいっと上げた


「えぇーい!黙れぇ!とりあえず、67が壊された場所へと急ぐぞ!データを回収するのだ!!」

イーゴリは荷物を手に持ち、今にも飛び出そうとしていた。その時、明らかに異様な人物が立っていた


「少し待ってください…」

その男は、忙しないイーゴリを静止した


「なっ、なんだね、スティーブン。貴様に話しかけた覚えはないぞ?」

黒いスーツを着て、髪をかき上げた姿をした男はスティーブンというらしい


「えぇ、分かってますよ、イーゴリさん。ですが、あなたが現場に行くのはあまりにも危険すぎるでしょう…」


「お言葉ですが…警察という分際で私に命令をするとはお門違いでは…?この件は私がいかなきゃいけないんだ。」


「……、確かに、そうですね…ならば、私も同行します。」


「最初からそう言え!早く向かうぞ!!」



イーゴリたちは、6時間ほどかけてその現場へと着いた

偵察として警察官三人ほどが、ロボットの残骸の場所へと歩みを進めた


「…!?お、おい…誰か見えるか…?」

警察官の一人が何かを見た。それは人間のような形をしていた


「はぁ?こんな時間にいるわけないだろ…?」

時刻は夜10時を超えていた。あたりは暗く、家も車も何もなかった


「そりゃそうか…?ならなんであんなところに不自然に髪の毛がたくさん落ちてるんだ?」

声を震わせながらそう言った


「そっ、そんな気持ち悪いことあるかよ!」

目を細めてそこを見てみると、山のようになった髪の毛のようなところに、男の子が膝をついて座っていた

そう、ゼノムだった。


「や、やべぇって!とりあえず報告だ!」


ゼノムは膝から崩れ落ち後、7時間そのまま動けずにいた


ゼノムは援軍を連れてきた警察たちに取り押さえられてしまった。その時ゼノムは無駄な抵抗を一切せず、一方的に連れていかれてしまった




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