そんなこと許さない
ゼノムの乗っている車は今にも大破寸前であった
「もし…もし、また毛を伸ばせることができたら…しかも、体中に纏わせれば…守れるかもしれない…」
と、右手に力を込めてみるが、何も起きない。ゼノムの中で何かが足りないのだろう
「そうだ…確かあの日、エースが殺された反動で、なったはずだ…つまり、何か心に衝撃がないと…」
そう考えていると、左ポケットから何かが落ちてきて、左手にちょうどハマった
「これは…エースのコア…これを壊せば…またあの日のことを思い出すかもしれない…」
ゼノムは躊躇った。ここでエースのコアを壊すということは、完全にこの世からエースという存在を一度消してしまうことになると思った
「もし、生き返らせたとしても…これがなかったら…あの日俺が会ったエースではなくなっちゃうだろ…!!」
ゼノムは唇を血が出るまで嚙み締めた
(((ほら…早くしないと潰れるぞ…
カメラの向こうの男は、そうゼノムに言った。
(((ここでお前の実力が試されるぞ…死んだ親友の部品を自分の手で壊せるのか?
カメラの男は、マイクを掴み大声を張り上げた
赤い車はもう原型を取り留めていなかった
「………っるせーよ…」
赤い車の中から小さくそう聞こえた
(((何も聞こえないぞ?早く壊せ!!ゼノム!!
明らかに焦っている男。
「壊してたまるかってんだよ!!エースを殺してしまうぐらいなら…俺が死んでやる!!」
ゼノムは目を瞑り覚悟を決めた
(((お前はその判断をするのだな…
男の声は、病院で聞いたあの男に戻っていた
「クソがーーーー!!!!!」
と、叫んだ時。周りの音が静かになった。
それと同時に、天国に行ったと思った
「エース…俺はお前を殺すことはできない…たとえ俺が天国に行っても!!」
ゼノムは泣きながらそう言った
???「何言ってんだ…?早く立て」
ここに来た時のカメラの男の声が聞こえた
???「リーダー。この子を本当に入れるの?」
先ほどの女の声が聞こえた
???「あぁ、こいつが戦争を止める大事な人物になる…」
病院で話していた男の声が聞こえた
???「しかし、あの状況でよく壊さなかったな…このガキ。」
最後の声が太い男の声が聞こえた
「え…?ここは天国じゃ…」
ゼノムは目を開けて周りに立っている四人を見渡した
「天国なんかじゃねぇよ…相変わらず地獄だよ…」
声の太い男が言った
「さっ、立て!反乱軍への入軍祝いだ!飯でも行くぞ~」
五人は駐車場を出て、隣街の繁華街へと行った
「まず自己紹介しようか…私はカールだ、よろしくな。普段はリーダーか大帝って呼ばれている。まぁどっちでもいいぞ」
オールバックで眼鏡をかけていて、この反乱軍のリーダーらしい。
「私は、バクって言うよ。さっきは意地悪しちゃってごめんね。車を見つけた時はこいつよくやったわ~って思ったわよ」
バクという女は、身長が小さく髪がボサボサで立ったら地面についてしまうほど、長かった
「俺の名前はアッティラだよー。さっきカメラに口が付いてたのは俺のだぜ~」
体は細く、身長はゼノムの二倍はあった。そして驚くべきことに顔の部分に防犯カメラのような物がついていた
「私はオドアケルだ。先ほどの貴様の雄姿…初対面ながら感心したぞ…よろしくな」
体はちょうどアッティラの体を太く、ちょっと背を縮めた感じだった
その四人に続いてゼノムは自分の名前を名乗った
「それにしてもトロボットが本当に実在するなんてな…伝説上の生き物だと思ってたな…」
カールは頭を掻きながら言った
「あの…聞きたいことがあるんですけど…」
ゼノムは反乱軍とは何なのかを聞いた
「俺が戦争を止めるために結成した秘密の軍だ。こいつらは全員、地方では指折りのギャングの長だったんだよ。そこで俺がスカウトした。もちろん最初は断られたけどな…」
「最初カールが来たときは、とんだ馬鹿が来たと思ったよ。だが、今となっては誇れるリーダーだけどな」
「オドアケルがそういうなんてな…俺は嬉しいよ!!」
カールは泣きながら言った
「暑苦しいな!それより、これからのことについて話そう。」
泣いているカールを無視して言った
「とりあえず、ゼノム。お前が持っているロボットのコアを売る。」
カールが衝撃的なことを言った
「はぁ!?ダメに決まってんだろ!?しかも誰に売るつもりだよ!」
ゼノムはテーブルから身を乗り出して言った
「そのコアをお前が持ってるってことは、アリメカは今ビクビクしているはずだ。そこでそれを見せて取引をするんだ。」
リーダーは淡々と話した
「待ってくれ。俺は絶対に反対だ。わざわざエースを敵に渡すなんて馬鹿なことはしたくない!」
机をたたいて怒鳴った
「でも、それがないとエースは復活しないだろ?」
それに、冷静に言い返す
「そ、そうだけど…エースを使って取引なんて絶対に嫌だ!!」
「お前の意見はどうでもいい。早くそのコアを渡せ。」
カールの目は怖かった。
「お前ら…調子に乗りやがって…!」
ゼノムはそう呟いた。その瞬間、体中に体毛が浮かび上がった
「おっと。これはまずいな…」
「もう一度聞く…エースのコアをどうするんだ!」
ゼノムの頭は天井に着いていた
「待て待て…そう怒るな…エースのコアを少し借りるだけだろう…?」
カールはそういいながら後ずさりしていた
「もう、お前らの軍には入らない…一人で戦争を止める…」
そういい、ゼノムは腰を抜かした、カールを後目に店を出て行った。
その一部始終を見ていた、ある男がゼノムの後を着いて行った




