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命の灯、続くバトン



アリメカ軍のどこかの軍基地にて


何人もの白衣を着た人物がパソコンと睨み合っている部屋に、明らかに様子のおかしい眼鏡の男がいた

男は何か重大なことに気づいたかのように、年老いた男のもとに走っていた


「カエサル研究長!!少しお話があるのですが…部室まで来てもらえないでしょうか?」


「どうしたんだガリア君?そんなに汗をかいて。ここで話せばいいだろう?」

男は落ち着いた態度で、眼鏡の男の様子を伺っていた


「い、いや…ここで話すのは、少し気が引けると言うか…」


「?…ならば、場所を移そうか…」

少し不思議がりながらも場所を移すこととした



「それで…話とは何なのだね?」


「アラリック総合研究長のことを覚えていますか?」


「…!当たり前だろう…アラリックさんが死んだことは軍全体で騒然としただろう…確か、あの伝説のトロボットの子供に殺されたと…」


「えぇ、そうです…アラリック様が殺されたあの場所に、アラリック様の最新型のロボットも共に殺されたのを知っておりますか?」


「ああ、もちろんだ。あのロボットがあればこの戦争を終わらせられた。」


「実は、そのロボットなのですが…すべての部品を回収したと思っていたたのですが…」

と、男はその続きを言いたくなさそうに、モジモジし始めた


「なんなんだ?早く結論を言わんか…」


「最も大事なコアの部分を回収していないことに気づきました…!!」

下を向きながら放った一言は、カエサルの心を大きく揺さぶらした


「なんだと!!???」

この声は、研究所全体に響くほど大きかった


「なぜそんなことが起きる!?」


「すみません!!何せ構造が複雑すぎて、その場では判断ができず…」


「こんなことをしている場合ではないだろ!?早く、その現場に行くぞ!?」

と、男は部屋を出ようとしたとき


「もう現場には行きました…」


「おお…ならば一安心だな…ちゃんと回収できたんだな?」

カエサルは安堵の顔をした。が、その顔は三秒で崩れることとなった


「もう無くなっておりました…」


「お…終わった…。とりあえず、このことをルシアにバレないようにしろ…!!諸々のことは私がやっておく…」

絶望しているカエサルとは反対に、ガリアは無言のまま、その部屋を出て行った


(((良いこと、聞いたぜ…

と、部屋の角に置いてある監視カメラがニヤリと笑った気がした



その頃ゼノムは軽くなった右手を振って、走って病室まで戻っていた


「あのロボット、今はちゃんと使えるようになっているのかな?」

と、ロボットを叩くと頭のところにある画面がジリジリと砂嵐を立て、男が出てきた


「やぁ、帰ってきたかい。先ほどはセバスチャンの電気で、妨害されてしまったよ…改めて私たち反乱軍のアジトの住所を伝えよう…」

男に伝えられた場所へと行くと、そこは地下駐車場の、事務所のようなところだった


「ここか…」

とゼノムが扉に手をかけた時、頭上の右上の角にある監視カメラが話しかけてきた


「オイ。あんたがトロボットのやつかい?」

よく見ると、カメラの方から話しかけられた


「あ、あぁ…てかなんで知ってんだよ!?やっぱり、政府の…」


「ちげぇって言ってんだろ!それより、お前は本当に反乱軍に入りたいのか?」


「お前が呼んだんだろ!」

カメラの奥の男の意味の分からない質問に戸惑ってしまった


「呼ばれたから、入りたいは無しだぜ?もし、少しでも入りたくないのなら帰んな。」

男のとまらない質問に、戸惑いとイライラが募っていた


「…俺は反乱軍に入りてぇんだよ!!わかったか!!」


「ふっ…分かった、分かった。そんなに入りたいなら、今から試練を受けてもらう…もし、試練をクリアできなかったら、死んでもらう。」

男はスラスラと言った


「はぁ!?入れないならまだしも…こんなところで死にたくなんかねぇよ!」

監視カメラに話しかけたが、返事はなかった。そしてこう続けた


「よし行くぞ。内容は、この駐車場から出ることだ。じゃあスタートだ。」


「ちょ!待て!まだ話は…!」

と、言ったが監視カメラは無くなってしまった


「はぁ!?とりあえず、来た道を戻るしかないか…にしても、暗いな…」

ゼノム来た道を戻っているが、特に違和感はない


「んん?このままだと、普通に出れるけど?」

と、歩いているがいつまで経っても出ることができない。まるで、その場で足踏みしているだけかのように、目の前にある外の世界に出ることができない。


「な、なんだ?この気持ち悪い感じ…」

ゼノムがその違和感に気づいた時にはもう遅かった。いくら全力で出口に走っても、出られなかった。

むしろ、元居た場所よりも、もっともっと遠くに引き伸ばされているような感じだった


それと同時にゼノムは何か不思議な感覚に陥っていた


「なんだ…誰かに操られているような…、誰かの視線を感じる…」

地下駐車場は真っ暗で1メートル先も見えないほどだった。なのに、確実に鋭い視線を感じていた


「何だ…?さっきの監視カメラの男とは違う…より鋭く、まるで支配されそうな…」

ゼノムは‘‘それ‘‘とは目が合っていないのに、感じていた。


ゼノムはその時何かを思いついた。それと同時に、出口とは反対の方に走り出した


そこにはたくさんの車が駐車されていた


「車にさえ入れれば…」


しかし、そんな都合よく鍵がかかっていない車などはなかった。


「くそ!!なにか一台でも!!」

ゼノムは何台もの車の開けようとしたが、無理だった。


「くそ!!このままじゃここに閉じ込められちまう…!!」


と、あきらめかけていた時――


「バタン…」

と、最後の赤い車に手をかけた時に、その扉が開いた

そのまま真っ赤な車に乗った。なぜかその車だけはガラス窓は全面スモークだった。


「ここは駐車場だ…車に乗れば、視線も遮れるし、もしできなくてもこのスピードがあれば…!」


(((気づいたね…じゃあ私の役割は無くなったわけだから帰るわよ

と、カメラの向こうの女は呟いた


(((その場にあるものを使って柔軟に動け…その力を試してみたが。なかなかの判断力だな…


そのままゼノムはフルアクセルで出口へとハンドルを切った


「よし…これで試験はクリアだな…!!」

道が伸びることは無くなったが、また違う問題点が出てきた


「ここってこんなに狭かったか…??」

出口まではあと数十メートルだったが、そこにたどり着くよりも早く駐車場の壁が泡のように膨れ上がっていた


「やばい…このままじゃ潰されちまう…!!」

出口を前にして壁はとうとう車にぶつかり、ベキベキと音を立てていた


先ほどまで見えていた外の景色は幕が閉じるように見えなくなってしまった


(((さぁ…次の俺の試練から逃れることはできるかな…?


そうカメラの奥の男が笑った。その太い声はまた知らないやつの声だった


絶体絶命――どうするゼノム!!

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