命の灯、待ちあわせ
「ウィーーン」
という音と共にゼノムの後ろでエレベーターの扉が閉まった
「危なかった…!!ハァハァ…あとちょっと遅ければ死んでたぜ…」
ゼノムは息を切らしながら1階を押した
「誰なんだよあいつ…おそらくあいつの能力は、電気…?近づくのは危険だろうな…」
左手で頭を書きながら先程のサングラスの男について考えていると、気づけば1階に着いていた。そして、ゼノムは思うがままに、ある場所へと走っていった。もちろん道順は分かっていなかったのに、ハッキリとある場所に導かれていた
その頃院内のサングラスの男
「セバスチャン様!あのトロボットのガキ!なんで寝ている時に始末しなかったんですか!?」
あと一歩のところで逃がしてしまったため、サングラスの男はナースに怒られていた
「うるさいぞ!もしアラリック様だったらこんな卑怯なことはしない。やるなら正々堂々に決まってるだろう…!早くあのガキを追いかけるぞ!」
そして、院内の屋外階段に向かいゼノムを見つけた
「居たぞ!早く追いかけるぞ!」
ゼノムは10分ほど走り、ようやく着いた。
そこはアラリックを殺した場所。つまりエースが死んだところだった。
「なんもねぇ…」
ゼノムが辺りを見渡し、部品が落ちているか、何かエースの物が落ちているか探したが、綺麗に何も無くなっていた。
あるのはエースが壊した壁の穴だけだった
ガッカリしているゼノムの後ろにセバスチャンが来た
「はははっ!!こんな所で何してやがる!お前が行くべき場所は研究施設でモルモットにされることだ!」
と、叫ぶと葉っぱを1枚ちぎって、それをくるくるし始めた
「電撃…雷帝!!!」
先程の鳥とは威力が下がり、槍のような形をした電撃がゼノム顔の真横を通った
「あっぶねぇ!!」
ゼノムはあまりの威力に、壁沿いの植え込みに倒れてツッコんでしまった
「あいつ…!俺ガチで殺そうとしてやがる…!どうすりゃいいんだ…あっ!これは!」
ゼノムが木の中で焦っていると、何かを見つけた…
「早く出てこい!正々堂々、俺と戦え!アラリック様を殺した時のように、私を殺してみろ!!」
と、セバスチャンは両手を広げた
「……わーったよ…お前がそんなに俺と戦いたいなら、あの日アラリックを殺した時のを見せてやるよ…」
と、ゼノムが左手で右手を触った。右手は変わらず毛むくじゃらの巨大な鎌のようだった
「ほ、ほほう…やっと、やる気になったか…」
セバスチャンは後ずさりするかのように、右足を後ろに引いた。額には大きな汗が垂れていた
「おりゃあああ!!!」
ゼノムは右手を上げ、セバスチャンを指さすように前に向けた。
そして突っ込んで行った
「クソ!捨てみ作戦か!?」
ゼノムの奇想天外な行動に驚き、セバスチャンは攻撃を出来ずゼノムの鎌のような手で服や皮膚を切られてしまった
「グァ!!」
セバスチャンの体からは血が流れていた。しかし、致命傷というほどの傷にはならなかった
「ハァハァ…ははっ!お前の敗因は、今の攻撃を俺を殺さなかったことだ!」
と、血の着いた自らの服を引きちぎり、くるくる丸め始めた
セバスチャンの髪は逆立ち、まるで雷そのものになっている様だった
「電撃…雷雷雷雷!!!」
今までの技とは比べ物にならないほどの電撃の量で、ドラゴンのような形が見えていた
「死ねぇ!!!!」
「うぉおお!!!」
セバスチャンの攻撃はゼノムのみぞおちを確実に貫いた
その瞬間、ゼノムはその場で地面に倒れた
「はぁ…はぁ…こいつを殺すために、力を使いすぎちまった…」
セバスチャンは息を切らしてゼノムを持ち上げた
「こいつ…意外と重いな…とりあえず早くこいつを軍に持っていくか…」
セバスチャンがゼノムを、ランドセルを体の前で背負うようにして持ち上げた時…
「……かかったな」
「はっ!?」
死んだはずのゼノムがなぜか話しかけてきた。それにセバスチャンが驚いた。その瞬間――
「グハッッ!!!」
ゼノムの右腕がセバスチャンの脇腹を貫いていた
「お前…なんで生きてる!!」
血を吐きながらゼノムに問いかけた
「にっ」
と、ゼノムが笑うと左手に持っているものをセバスチャンに見せた。それはエースの心臓。コアの部分だったのだ
「エースが俺を守ってくれた…このコアがお前の雷を吸収したんだよ…」
ゼノムは勝ち誇った顔でセバスチャンに笑った
「クソガキがぁ!!!!」
血とヨダレが混ざった口で叫んだセバスチャンは、
「この…ま、ま…死ぬなら、お前ごと殺してやる…ハァハァ…」
と、言うとセバスチャンは身を瞑った。そして…
「最終奥義…電電電電!!!」
と言った。その瞬間、セバスチャンの体が電気を帯びた
「ぐぁ!!」
ゼノムはエースのコアで体は守れたが、セバスチャンを貫いていた右手は攻撃を防ぐことは出来なかった。
セバスチャンはもう死んでいた。最後の電電電電は自分の命を削って行う技。瀕死のセバスチャンを確実に死に至らしめる最終奥義なのだ。
「ハァハァ…右手は…毛のお陰で…大丈夫だったか…
でも、毛は全部抜けてしまったな…」
ゼノムの右手の毛は、電電電電によって毛根を破壊され、すべて抜け落ちてしまっていた。
そして、ゼノムは右手を抜き取り、病院のロボットを取りに戻るのであった…
次回―エースのコアを求めて、アリメカとルシアが動く!!




