死ぬならみんな死ぬ
ゼノムの後ろから2人の声が聞こえてきた
「わしも行くぞ!!」「私も行く!」
その声に振り返ると、そこには手を挙げた村長のマーティンさんと妹のルーシーが立っていた
「な、何言ってるんだよ!?馬鹿なことはやめろ!」
ゼノムは2人の腕を掴んで無理やり下ろそうとした。
しかし、2人はゼノムの手を振り払ってこう言った
「お兄ちゃんだけに背負わせるわけには行かないもん!」
ルーシーは小さな体で大きな声を出して言った
「もしお主が一人で行くと言うのなら…わしはここで自害する!!」
マーティンはそういい落ちていた石を首に当てた
「2人とも…!」
ゼノムは自分の馬鹿な行いを自覚した
そんなゼノムの目には涙が滲んでいた
「こんなにも出てくるとはな。」
軍服の男は手錠を3つに増やした
「さぁ。こちらに来い…手錠をかけようかぁ」
ガチャン…
今。手錠は確実に3人に付けられた
「はははっっ!!!とてもデカイ収穫だ!!これでアレクサンドロス様もお喜びになるだろう!!」
そう高らかに笑う軍服の男を檻の中の者たちは睨んでいた
「村長さん…!ゼノム…!!」
そうして軍服の者たちは乗ってきた赤いバイクに乗り去ろうとした。
「2人には…迷惑かけちまった…。俺人が犠牲なればよかったのによ…」
そう呟き、ゼノムは檻の中を見た。ゼノムの母親は泣くことすら出来なかった。それほどまでに現実を受け入れられなかった
そんな咽び泣くトロボット族の中に、光っている男がいた
その男だけは泣いていなかった。それどころか怒りの感情すら見えた。
その瞬間――
「待てーー!!くそ野郎共ーーー!!!」
その男はエースだった
「ゼノムを離せ!!」
と、バイクにしがみついた
「お前はもう用済みなんだよ!早く消えちまえ!」
エースがしがみついたリーダーのような奴は
振り払おうとバイクを左右に揺らした。
「嫌だ!お前を地獄の縁まで追いかけてやる!!」
2人の攻防は数分にも続いた。その間にバイクの時速は200Kmを超えていた
「絶対に離さない!!ゼノムを返してもらうまで!!」
「なんだお前…?お前にそんなプログラムはしてねぇぞ!」
「はぁ…はぁ…!アラリック!!お前に開発された日から
お前を恨まなかった日は無い!!」
「馬鹿め…!お前ごときの分際で調子に乗るなよ!」
エースを振り下ろすのに必死でバイクの時速は300kmを超えていた。もう周りの物は目で追うことは出来なくなっていた
「しつこいやつだな…!!こんなプログラミングをした覚えは無いぞ!!」
リーダーとゼノムを乗せたバイクは軍を離れて独走しており
あと数秒で都市へ着くのを気づいていなかった。
「お前…この…ままだと、いつ事故を起こ…してもおかしくないぞ!!止まれ!アラリック!!」
「黙れ!!俺はこのトロボット族の小僧をアレクサンドロス様に渡すのだ!それには貴様が邪魔すぎるのだ!!」
と、アラリックがエースの腕を掴もうとした時――
片手運転によりバイクが大きく傾いてしまい、そのまま近くにあった段差に乗り上げてしまい3人は宙へと浮いた
「「「ワァーーー!!!」」」
ゼノムは奇跡的に道路の植物に助けられた。
すぐにエースの方へと行った。そこにはアラリックも倒れていた
「エース!!大丈夫か!!」
倒れているエースに話しかけた。奇跡的にエースは怪我をしていないように見えて血は一滴もなかった。しかしなぜかところどころ凹んでいるような部分があった
「なんだよこの怪我!!大丈夫か?」
「あぁ、ゼノムか…?俺は大丈夫だよ」
エースは何事も無かったかのように立ち上がった
「エース?お前なんか…体デカくなってないか?」
エースの体は先程までとは明らかに変化しており雰囲気も変わっていた
「確かに…力もみるみる出てくるよ…!!」
エースがぶつかった壁を殴ってみると…
「うぉ…!!壁が粉々だ!!」
なんと壁には大きな穴が空いてしまった
「その力があれば、この戦争を終わらすこともできるんじゃないか!?」
「確かに…!!俺がこの世界を助ける!趣味でひーろー活動をしている者だ!!」
2人はそんな冗談をいって笑っていた
「とりあえずアラリックってやつの赤いバイク!あれを盗んで逃げるぞ!」
と、ゼノムが周りを見渡すがバイクらしきものは無かった
「あれ…?おかしいな…?」
それと同時にアラリックの姿も無くなっていた
ゼノム達がバイクを探している道の反対側の武器屋には何やら怪しい血だらけの男が立っていた
「はぁ、はぁ…この…店にある武器で1番殺傷能力があるやつを出せ…!ロボットも殺せるほどのな…!!」
と、意味深な言葉を言い武器を買った。
「バイクは無くなっちゃったなぁ…乗ってみたかったんだけどね笑とりあえずルーシーとかの方に行ってみようかぁ」
と、ゼノム達が来た道を戻ろうとした瞬間――
「ドガァァアアンンン!!!!」
と、物凄い爆発音が響いた
それと同時に機械の部品のような物がゼノムの視界いっぱいに広がった
「ゼ、ノム…!!助け…て!!」
エースはかすれそうな声を絞り出した
「ハァアア↑↑↑↑ハハハハ!!!ぶち殺してやったぜ!!」
エースの後ろにはアラリックが巨大なショットガンのようなものを持っていた
「エース…?撃たれた…?」
ゼノムはエースの体から機械の部品が飛び散った光景に膝から崩れた
「エース…?人間じゃなかったのか…?」
「エースが死んだ」「なんでだ?」「アラリック」「ロボット」
「最新型」「水」「重い」「涙」「プログラミング」
その瞬間ゼノムのココロは真っ黒になった
そして次の瞬間ゼノムに付いていた手錠が壊れた
それと同時にゼノムの体は10倍までに膨れ上がっていた
「アラリック…!!お前を殺す!!!」




