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神の黄昏:機械と獣の断絶




ゼノムがルシア軍に捕まってから一日が経った


「よし…今からこの少年の死刑を執行する。」

サングラスをかけた男は、注射の先から赤い液体をピュッと出しながらため息をついた

その男の目の前には、手首と足首を縛られベッドに寝ているゼノムが居た


「テールさん…本当にこの子供を殺すんですか…?」

注射を持ったおt子の隣に、同じくサングラスをかけた男が来た


「当たり前だろう?何をいまさらためらうことなんかあるのだ?」


「で、ですが、僕にはこの子があの最新鋭のロボットを壊すとは…にわかには信じられないのです…」


「私もそう思った…しかし昨日この少年が左手に持っていたのは、アリメカの大天才アラリックのロボットのコアだった。この少年がアラリックのロボットを壊したと考えれば、ルシアのロボなんぞ虫ケラ以下だろう。しかしそのコアも突然消えてしまった」


「確かにそうですね…失礼しました」


「あぁ…では死刑を執行する。死刑囚には死刑の概要は伝えないこととなっている。」

とだけ言い、固定されたゼノムの右腕に注射針を刺し、押した


「お前ら…覚えておけよ…地獄で待ってるからな…」

ゼノムは奇妙なほどに、無抵抗だった。それどころか不敵な笑みを浮かべて目を閉じて行った


ゼノムはベッドに乗せられたまま、運ばれていった


「お、おいちょっと待て」

テールはゼノムのベッドを押している男を止めた


「同じ薬を使った、()()()()()()()()()の時のようにだけはなるなよ?しっかり死んだことを確認するんだ。最低でも3時間、その間はしっかりと見張っていろ。」


「はい!!」

ゼノムのベッドは部屋へと送られた




アラリックは、金属の脚を静かに鳴らしながら講堂へ向かった。

その歩みは無機質だったが、その胸中はざわついていた。

――父が言った、「次に会う者に気をつけろ」。

その言葉が、薄暗い廊下に反響するように思える。


講堂の扉を押し開けた瞬間、空気が変わった。


「やあ。死んだと思っていたよ、アラリック」


皮肉の混じった声。

チャーが、巨大な獣の骨格模型の影に寄りかかり、薄く笑っていた。


アラリックの電子眼が静かに光る。


「知っていたのか。私が……“戻った”ことを」


「当然だ。君のロボットは、死んでも戻ると噂になっていたからね」

チャーは肩をすくめる。「それに興味もあったし。

――どんな“神”にでも、会ってきたのか?」


アラリックの足が止まった。


「……話した覚えはないが」


「君が死んでいる間、神様に会ったんだろ?」

チャーは、わざとらしく大げさに手を合わせた。

「お願い事は叶えてくれたかい? “神”とやらに」


「馬鹿にしているのか?」


「いやいや、ただ事実を聞いてるだけさ。

この世界のどこに神がいる? 戦争は止まらない。人は死ぬ。

神がいるなら、こんな惨状を許すわけがないだろう?」


アラリックの胸内部、機械式心臓が一度強く鳴った。


「私は…確かに神に会った。

あの白い光の中で、声を聞いた。“戻れ”と。

神はいる。私は確信した」


「そうか。それは“回路がそう見せた”だけだろう?」

チャーは鼻で笑う。「死にかけの人間はよく幻覚を見る。

神? 滑稽だ。そんなもの信じるのは弱者だけだ」


アラリックの手が震えた。金属音が微かに響く。


「弱者…? 神を信じることが弱さだというのなら、

人はどうして祈る。どうして死者を弔う。

どうして“意味”を求めて生きる?」


チャーは背筋を伸ばし、獣の骨格に手を置いた。


「意味なんて必要ない。

力だけが真実だ。

生物兵器のようにな。

神などより、この獣の筋肉一本の方がよほど信じられる」


アラリックの瞳が赤く光る。


「お前は…神を侮辱するのか」


「侮辱? 本当のことを言ってるだけだよ。

“機械の神に会った”と本気で信じてるその頭こそ危険だ」


その言葉は、アラリックの心の最も深い場所――

“生き返った意味”を問う核を突き刺した。


「……ならば、チャー。

お前の言う“力”とやらを見せてもらおう」

アラリックは静かに手を上げた。「ここで」


チャーの目が細くなる。


「まさか――」


「お前は生物兵器こそ最強だと言う。

私はロボットこそが未来を導く力だと信じている。

ならば――どちらが“真実”か、比べれば良い」


空気が急激に重くなった。


アラリックの背後で、無数の光が走った。

講堂の床が開き、巨大な機械の台座がせり上がる。


「召喚する…軍事ロボット群。

戦闘機〈ヘカトン〉、自律兵器〈ケルベロス〉、

攻城兵器〈バビロン・ウォーカー〉――すべて起動」


ゴォォォン――!

金属音が地鳴りのように響き、講堂の天井が震えた。


チャーは息を呑み、しかし笑った。


「いいね。

なら私も見せよう。

この世で最も完成された生体兵器を」


チャーが腕を広げた瞬間、床から生体培養炉が隆起する。

管が破れ、濃い霧が噴き出した。


ドン……!

巨大な足音。


霧の向こうから現れたのは――

筋肉の塔のような、ティラノサウルスに酷似した獣。

だが、その鱗は金属質で、体内には生体回路が走る。


「生物兵器・オメガ・ティラノ。

神よりも、機械よりも、

種としての“生命”が生み出した究極だ」


アラリックが顔を歪める。


「神を…侮辱し続けるなら、ここで証明してやる。

神は存在する。

神が私を生かした理由も“ここ”で証明する」


チャーが吠えるように笑った。


「なら――世界を賭けて争おうじゃないか!」


次の瞬間。


ロボット兵器と巨大獣が同時に動いた。

戦闘機の音速衝撃が建物を砕き、

ティラノサウルスの咆哮が空気を震わせる。


講堂は一瞬で廃墟へ。

街は炎に包まれ、空には無数の影が飛び交う。


誰も、止められなかった。


アラリックとチャー――

二人の天才科学者の“思想”と“神”への価値観の衝突が、

世界そのものを破壊し始めていた。


そして、誰かが呟いた。


「もし神がいるのなら――

なぜ、この二人を止めない?」


答えは、まだ誰にもわからなかった。



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