毛むくじゃらな宇宙人
12:50
-都内某所の公園にて、謎の飛行物体が墜落
「テレビ日本の田中です!!今現在、目の前には人だかりができており、その中心には宇宙船(以下UFO)のような物が炎を上げています。おおよそ墜落した模様です!」
UFOを中心に、人だかりは次第に増えていた。その中にはスマホで、UFOを撮っているものもいれば、事故に巻き込まれた親子のような人達が泣いているのが見える。
炎の中から、ひとりの男が姿を現した。
その瞬間、ざわめきが止み、時間が凍りついたようだった。
出てきた男はまるで、炎の熱さを感じていないような澄まし顔である
「ネモの故郷…」
毛むくじゃらな体で東京の街並みを舐めるようにゆっくりと見渡した
数秒経ち周りの人間たちは悲鳴をあげた。しかし男はお構いなしに立っていた
そんな宇宙人を見たレポーターの田中はこう呟いた
「何であいつは無傷なんだ…?」
田中だけじゃない。その場にいた全員が同じことを思っていた
大炎上しているUFOの中から、毛むくじゃらの男が出てきたのだ。しかも無傷で
すると、宇宙人はレポーターの田中に近づいて、こう言った
「あなたは神を信じますか?」
そう宇宙人は言って、UFOと共に消えてしまった。
突如として現れたUFO。そしてその中から現れた男に、日本中
いや、世界中が混乱していた。
地球を滅ぼしにきた宇宙人説や、コラ映像だと言う現実主義的な考えの者も居た
そんな中、都市伝説の世界的権威である 席暁夫氏によると
「わかる?もう宇宙人によって、地球への進行は始まってるんだよ?いい加減気づけ!」
また、宇宙研究機関であるMASAは文書にて宇宙人説を完全に否定した
場所は変わって、雪国。
吹きすさぶ風の中、彼はひとり佇んでいた。
「思い出す…故郷の風…」
吹き荒れる吹雪の中、そう呟いた--その時、吹雪の向こうから女の子の声が聞こえた
「おばあちゃん?帰ってきてくれたの?」
男は言葉を失い、震える手で少女の肩に触れた。
雪が、涙のように二人の間に降り積もっていった。
「ネモを…守ることはできなかった…!許してくれ…」
「え!おじさんがなんでおばあちゃんの名前を知ってるの?」
その時、向こうから男の声が聞こえてきた
「こいつはもしかして、噂の宇宙人か?」
「捕まえろ!こいつを政府に渡して金を貰うぞ!」
と、男達は銃を構えた。
「待て!!女の子がいるだろ!?」
宇宙人は手を広げて叫んだが、男達はお構いなしに銃を乱射した
咄嗟に宇宙人は背中を男達に向け、女の子を包む様に守った
「毛むくじゃらのおじさん!大丈夫!?」
宇宙人は背中を銃で撃たれ、そのまま地面に倒れた
「ネモ…お前はなぜ…俺に逢いに来たんだ…?」




