推し×推し=
立ってる…草間紘太さんが校門に立ってる………
この方は、現在声優として、様々なアニメや映画の吹き替え等で活躍されている、声優界の若手ホープ!若くして声優としてデビューし、無もなきキャラクターからスタートし、今や王子様役から怪物役まで、何でもこなす方。その声は一度聞けば忘れられない、引きつけられる魅力がある。そして、当時小学5年生だった私の、声推しをするキッカケの方。
「東夏高校の1年で、西野奏って居ると思うんだけど、分かる?」
「はってゃい!んぐっ」
ダメだーーー!!!真艫に喋れてない!!!しっかりするんだーー!パシパシっと顔を叩いて…
「はい。同じクラスです。何故知ってらっしゃるんですか?」
ハハッっと笑われた。
「っんと、弟なんだよ。ちょっと近くに来たから、ついでに迎えに来たんだ。」
そーなのー!?弟!?兄弟居たの?しかも、お兄さんが草間紘太さんなの!?推しが推しの弟……。
「お兄...?なんで此処にいるの!?」
「おぅ!丁度出てきたな!」
推しと推しの共演……私は夢でも見ているのだろうか。なんと素晴らしい光景だろう。兄弟の距離感がカワイイ〜!!良いッ………!!!!
「渡辺さん、帰る途中だったよね。ごめんね。」
「ううん。(むしろ、ありがとう。)草間紘太さんが、お兄さんなんだね。びっくりしたよ!」
「うん。そうなんだ。」
「名前が違ったから、気づかなかったよ〜!芸名だったんだ。そりゃそうだよね。うんうん。」
「兄弟って言っても、腹違いなんだ。」
「そうなの?でも、凄く仲良さそうで良いなぁ。私兄妹居ないから、羨ましいよ〜。(こんな声を毎日聞けるなら、この上ない悦び!!)」
「そう…かな…?///確かに仲は良いよ。お兄は優しいんだ。」
お兄呼び…!!可愛い!!
「お~い奏、帰るぞー。」
いつの間にか車に乗り、呼びかける。
「はーい。 じゃあ、また明日。」
「うん!また明日ね!」
わ~い!直接声を聞ける日が来るなんて…♡あぁ、上手く表現出来ないけど、この気持ちを誰かと分かち合いたい。この悦びを…!!
ガヤガヤとした教室の中、西野くんに「おはよー」と声を掛け席に着く。
「おはよう。」
推しの声で1日スタートは嬉しいっ。
“おはよう。”を噛み締めていると、明るい笑顔で向かって来る。萌々だ。
「おはよー彩葉!」
「おはよう。萌々。」
「来たよー!彩葉。あっ、おっ、おはようございます。萌々ちゃん///」
「なぁんで敬語?おはよー奈央ちゃん。」
相変わらず、距離感がおかしいな。この2人。奈央が教室に来るなんて珍しい。萌々目当てだな。
「ねぇ、聞いて欲しい。私、昨日草間紘太さんに会っちゃった!!」
「えー!彩葉の憧れじゃん!何処で?」
「待って待って、誰?」
そう聞くのが普通だ。知っていたらヲタク確定だよな。
「私が説明しましょう。ヲタクで知らぬ者はいない、アニメ界の王子。草間紘太さん。放たれる声はキャラクター設定をピッタリ捉え、一度聞けば忘れられない。その人は、彩葉の初恋と言っても過言ではないのだ。」
「えー!!そうなのー?」
「語弊があるよ〜!推しだから。”推し“。」
「でも、旧でしょ?」
なっ!!余分なことをっ!!
「きゅうって?」
「何でもないよー!!」
分かって無くて良かった〜奈央ヘラヘラ笑ってやがるぅ〜もぅ!!
「それで、何処で?」
「学校の校門前で。」
「何で?」
あっそういえば。兄弟って言っても良いのかな?隠してるわけじゃないのかな?でも…チラリと西野くんの方を見る。パチッと目が合った。思わず誤魔化してしまう。
「さぁ~?」
「ふぅん?怪しい。あ~、私も会いたかった〜。」
勘が良過ぎる所もあるけど、踏み込み過ぎない良い子。
「そうなんだぁ、良かったね彩葉。サインとか貰ったの?」
「しまった!そこまで考えて無かった!」
サイン貰えば良かった〜萌々って以外とちゃっかりしてるな。
「席着け〜各クラスへ帰れよ〜チャイム鳴ってるぞ〜」
「ヤバッ!じゃあね!萌々ちゃん♡」
「またね!奈央ちゃん。」
「はぁうっカワイイ〜」
ルンルン♪っと教室へ帰って行った。楽しそうだな。
松本先生の声が、まだ落ち着かない教室に響く。
「いよいよ中間テスト近いから、日々気を引きしめて、頑張って行くぞ〜。」
「えー」
教室に広がるブーイング。
「何を言っても無駄だぞ。とにかく頑張れ。赤点は補習授業だからな〜」
「えぇ~」
ざわつく教室。
「授業始めるぞ!」
マジかぁ。勉強は苦手。勉強で徹夜するならアニメで徹夜する。そうやって生きてきた。だけど、今は駄目だ!推しが近い=恥も晒す。推しに赤点を知られるのは、避けたい!!しかも兄弟なら、新旧の推しに知られる!!
推しと推しが兄弟☆って浮かれてる場合じゃない!!
私の猛勉強が始まった _。
図書室は静かだなー。眠気が襲う…
「渡辺さん、大丈夫?眠そうだけど、最近どうしたの?」
「うん。ちょっと勉強分かんなくて。夜に詰め込んでて。」
しまった。眠そうなのバレた。そんな優しい声で心配してくれるの〜幸せッ!!
「中間テストだもんね。僕のノート貸そうか?」
「良いの!?」思わず食い気味で言ってしまった。
「うん。はい、どうぞ。」
「ありがとうございます」
両手で受け取る。
「どういたしまして。」
ふふっと笑顔が零れる。ドキッ////
?だいぶ声に慣れたはず。なに?その顔は私の脳内補正…だよ…?しっかりするんだ私!!
中間テストが終わった_。




