1歩進んで2歩下がる!?
「委員会決めるぞー」
松本先生の声でちょこっと沸き立つ教室。次々と決まっていく中、ずっと手を挙げるタイミングを見定める。というか、ひたすら西野くんのタイミングだけを見定める!!
西野くんが手を挙げたら、追うように直ぐに私も手を挙げねば…!シュミレーションはバッチリ。奈央に練習付き合ってもらったんだ!
(アホらし…って呆れられたけど。)
「…じゃ、コレで決まったな!」
黒板に名前を書き終わった先生が言った。遂に決まった。
……って、図書委員かよ~!
図書室は喋んないじゃん!?てか喋れないじゃん!!ガッツリ[私語禁止]って貼ってあるし…。
はぁ~どうしよう。聞きたいよー。え~い!喋りかけなきゃ始まらない!
「あのさ、中学の時も図書委員だったの?」
(頷く)
ウソ、言葉発してよ~(泣)
「そうなんだ、私初めてやるから色々教えてね!」
(頷く)
私のばか。イエス・ノー以外の質問しなきゃ!
「私自己紹介してなかったね、渡辺彩葉です。宜しくね。あだ名とかあったりする?なんて呼べば良い?」
「別に無い。好きに呼んでくれて良いよ。」
!!破壊力抜群!! K.O.!カンカンカンカン鐘が鳴り響いてるぜ……。
////////どうしよう。顔見れない。良すぎる。なんだ、そのセリフっ!かっこいいかよ!!
「?」
困ってる……
「えぇっと…」
「……シー」
「ごめん。」
流石に喋りすぎたか。しかし、声良い!やっぱり良い声だよ〜!!
落ち着いた声はじんわりして温かい。優しく心に響く……高校生活の楽しみが出来た〜♪
下校のチャイムが鳴るーーー
今日は気分がイイなぁ♪ルンルン♪足が勝手にリズムを刻むよ♪
「彩葉ー!!」
後ろから声を掛けられた。この声はすぐ分かる。
「奈央〜〜〜!!」
「なぁに〜?良いことあったんだ?」
「ふっふふふっ 同じ委員会になれたよ~」
「え!やったじゃん!!じゃあ、声聴けたんだね。」
「うん!でもあんまり喋れないんだ。」
「なんで?」
「図書委員だったの。」
「それは、それは、ご愁傷さまです〜。」
「(泣)」
「まぁまぁ。で、次はどうする?」
「次…?」
「だって、コレだけで良いの?折角同じ委員会になったし、同じクラスなら話す機会は増えたわけでしょ?もっと、何か話したい事とか、聴きたい台詞とか、無いわけ!?」
「そっか!」
猪突猛進にも程がある。機会が増えたって事は…
「あの名台詞や、こんなシチュエーションの台詞を…」
「脳内変換するのも程々にしなよ〜?」
「ハッ!大丈夫。」
「でも、仲良くなるのが先だからね?そのまんま[この台詞言ってー]なんてドン引き確定だからね!!」
「//////分かってるよー!」
そりゃそうだ。次…かぁ。コミュニケーションって難しい。
「んじゃ取り敢えず、今日は1歩前進って事で、また明日ね」
「ありがとう。また明日ね!」
▶ありがとう
▶そんな事ないよ…。
▶▶▶恥ずかしいよ。
(「ふっ…こっちまで恥ずかしくなるじゃないか////」)
カワイイ〜カッコいい〜恥ずかし〜布団に悶える。乙女ゲームは簡単だ。選択肢に応えてくれるんだもん。はぁ~。【何か話したい事とか、聴きたい台詞とか、無いわけ!?】言われた言葉が頭をぐるぐるしてる。
この台詞を言ってもらう…方法かぁ。
「おはよー彩葉ー」(萌え///カワイイわぁ)「おはよう。萌々」
「今日は2時限目音楽だって〜初授業だね。綺麗な先生なんだって〜」
「そうなんだ〜(大人の女性かぁ。どんな声だろう)」
「はい。始めまして。志木匠馬です。宜しくね。ではー、発声練習から〜」
男ーーーー!!!綺麗な先生イコール女性とは言ってなかったーー!!!流石、音楽の先生。声は上から下まで出る音域が広い。そして、イケメン。34歳位かな。担任よりちょっと上くらいに見える。確かに綺麗だ。クリッとした目に鼻が高い。髪がちょっと襟足長くてウルフっぽい、ディ○ニープリンスって感じ。
声は喋る声も伸びやかで、低い声質がよりかっこよく見せてる。異世界シチュエーションなら、白色タキシードに金色装飾がキラリと輝く姿が聖女の恋愛攻略対象の2番目くらいに出てきそう。誰にでも優しくてヤキモキさせてくるタイプだなー。それでも、時折見せる淋しい顔でキュンってするんだよ〜
「…渡………辺……渡辺さん!」
「はい!」
しまった!聞いてなかった。ちょっと怒る声もいいかも。
「心を込めて、ここは歌って下さい。」
「はい。」♪〜♪♪〜♪
「声が良いですね。西野さんここ歌って下さい。」
「えっ」
「恥ずかしがらずに〜♪」
♪〜♪♪〜♪
ヤッバ!!!歌も上手いんかい!!!コレは堪りませんなぁ〜(♡ω♡)~♪
チャイムが鳴る。
「今日はここまで。ありがとうございました。」
「「ありがとうございました。」」
有り難う御座いました。(深々お辞儀)内心土下座。
「先生、歌上手いよね!流石だよね〜」
萌々と歩く廊下が花道に見える。
「大丈夫〜?」
「う、うん!流石だよね〜。」
「やっほー彩葉!」
奈央がこっち向って声掛けてくれた。
「お友達?」
そっか。会わせたこと無かった。大丈夫かなぁ。
「そうなの。同じ中学の友達。楠見奈央。この子は同じクラスの安井萌々。」
「初めましてー!安井萌々です。奈央ちゃんよろしくね。」
「は、初めまして。楠見…奈央です。奈央とお呼び…くだ…さい/////」
しまった…やっぱり。見た目が可愛いから好きだろうと思った。奈央は推しはアイドル系女子。多分萌々はタイプど真ん中だな。
「普通で良いよー!奈央!」
「ひぃゃい!」
こりゃ駄目だ。取り敢えず引き離すか。
「ごめんね、ちょっと人見知りで。そういえば奈央と約束してたんだった。」
「そっか!また後でね。じゃぁまた話そーね!奈央!」
(コクコク頷く奈央)
「何故もっと早く紹介しないのーーー!」
「こうなると思ったし……。まして、今紹介したでしょ?」
「心の準備が……!!!」
「いい子だよねー。声可愛いし。」
「可愛い。今から推す。毎日会いに行く。」
「ヤメレ。顔面補正してから来て。」
「ふぁっむぅずかしいなぁ。」
「はぁ~私の精神力を褒めてほしいよ。推し声を毎日耐えてるんだから。」
「素晴らしいです〜偉いねぇ〜可愛かったぁ」
「萌々への愛漏れてるよー。」
この様子では今日相談は出来ないかぁ。
自分で何とかしなくちゃ。“次”に進む為、教室でも話しかけて、共通点でも探さなきゃ!
いざ声掛けるのは勇気がいるんだよ~!!
ふぅ~。よし(๑•̀ㅂ•́)و✧
「ねぇねぇ、歌上手いんだね〜?」
「そんな事ないよ…。」
わぁお。何でもない台詞が刺さる〜
「良いこ…いや、先生も褒めてたし、カラオケ行ったりするの?」
良い声なんて言ったら気持ち悪がられる!危ない。
「(首を横に振る)」
マジか。NOすらも声聴けないとは。手強い!!
チャイムが鳴った! タイミング悪いよー!!
先生の「席に着けー」が教室に響き、各々椅子を引く音で声が届かないよー
「じゃぁまた話そーね奏くん」
ハッ!しまった!下の名前で呼んでしまった。聞こえた…かな?聞こえて無いよね?椅子の音で掻き消されたよね。恥ずかしいから聞こえてない方が嬉しいんだけど。。。
チラッと見たけど、反応無し。聞こえてなさそう。
もぅ声録音したいよ〜。委員会の仕事まだかな~
「//////。」




