気になる…
休み明けの教室は体育祭の話題で持ち切りだ。
「あれ?西野くんと昴くん、どこ行ったの?」
萌々が聞く。
「ああ、2人で話してるのは見たんだけど、、、あれ?いないね。」
「最近よく一緒にいるよね〜あの2人。そういえば、借り物競争も一緒だったよね?」
「そうなんだよ!!なんて書いてあったか、気になるんだけどねぇ~。」
「聞いてみれば?彩葉のカードは全校生徒にバレたでしょ?」
いつの間にか奈央がふらっとやってきた。
「奈央ちゃん!!応援団カッコよかったよ〜!!」
「/////(あ、ありがとう!見てくれてたの、嬉しすぎる!)/////」
萌々に褒められて真っ赤にした顔を手で覆うが、隠し切れていない奈央はモゴモゴと礼を言う。
「何?どうしたの?」
「萌々が見てくれてたのが嬉しかったんだって。」
理由のわからないヲタクを前にたじろぐ萌々に私が通訳する。
「ふふふっ!勿論、友達だもん!」
「/////(かわいい)」
ノックアウトの奈央。
「はぁ奈央ってば、もう。何の話してたっけ?」
「西野くんが取った借り物競争のカードの内容でしょ?」
奈央の話で分からなくなったのに、すんなり戻ってくるんかい!!
「そうそう!本人に聞いてみればいいよ!!」
「いやぁ、恥ずかしいというか、なんというか。チラッと見えちゃったんだカード。」
「「なんて書いてあったの?」」
食い気味で2人は興味津々。
「“好き”の好の字だけ。」
「「それって…」」
「好きな人…?かな?」
「「「無い無い無い!」」」
「やっぱり、無いよね?」
「いくら仲良くても、そんな感じじゃないと思うよ!」
「まぁ、一緒にいる所見ると、アリ…だったりして。」
奈央が指差す先には、教室の端でガシッと肩を組む2人の姿。すると、少し話したと思えばギュッとハグしてる!?
「ヤバいじゃん!!彩葉!取られちゃうよ!」
「何で恋敵みたいに言うの!?」
「そうだよ!!ハッキリ言わなきゃ、離れちゃうよ~!!」
「萌々までそんなこと言うの?!って、言ったことあったっけ?」
「この耳で確かに聞いたよ!!」
そうだった!!全校生徒に西野くんの声が好きってバレたんだった!!/////
「とりま、カードに“好”の文字があった時点で、[好きな人の友達][好きな人][声が好きな人]の3択なんだから。この機会に押してみたら?」
「当たって砕けろ☆」
「砕ける前提やめてよ萌々!!」
「へへへっ☆」
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--同時刻 昴と奏
「昴、どうしたら良い?」
「そりゃもう一度告白するしか無いだろ!」
「そんなに何回も無理だよ。」
「取り敢えず、奏!彩葉に声が好きだって言ってもらえて良かったなぁ!!!(怒)」
ガシッと肩を組み、首を絞められる奏。
「く、苦るじぃー!!ギブッ!!」
「はぁ。俺のサポートがあってこそ、距離が近づいたんだぞ!!で、俺は近づいけてない〜!!」
「ケホッ、分かってるよ。ありがとう。」
「俺だって、萌々ちゃんに⋯」
「今度は僕がサポートするよ!!」
「奏…お前はッ!!!」
ガバっと暑苦しくハグをする昴。
「いい奴だなぁ!!心の友よ!!」
「わ、分かったから離せ〜!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
1日の授業終わり。。。
「終わったー!!」
「これから委員会なんでしょ?」
「うん。」
萌々が小さな声で話しかけてきた。
「カードの内容聞くチャンスだよ!」
「///忘れてなかったの!?」
「勿論!!だって、今日一日ずーっと西野くんと話してないでしょ?」
「うっ。。。」
「私とばーっかり喋って、ちーっとも話そうとしないんだから!!じゃ、結果教えてね!また明日〜!!」
「ちょっと〜///」
行ってしまった…。萌々って案外強引!
よく考えれば自意識過剰だよね!!別に[好きな人の友達] [好きな人] [声が好きな人]が答えだとして、私に関係無いよね!うん。そうだよ!!何悩んでたんだ?ただ単に、(あのカードなんて書いてあったの?)って聞くだけじゃないか!!
図書室には今日各クラスの図書委員が集められ、夏休みの日程調整と委員会活動のアイデア出しをする事になっている。
何時もより騒がしい図書室に足を踏み入れると、「こっち。」と西野くんに手招きされた。
「ここ。どうぞ。」
「ありがとう。」
ち、近い/////普段の図書室の椅子の配置よりも詰めてあり、会議仕様になっているようだ。
「夏休みも委員会活動あるんだね。」
「そうだよ。遊びたかった?」
ばkd☆kf///!!
そんな良い声で“遊びたかった?”だと!!なんてハレンチな/////!(違う)
ふぅ〜っと心を落ち着かせて会話を続ける。
「そうだね。でも、委員会⋯楽しみかな///。」
「そっか。良かった。」
微笑む西野くんの顔は私の脳内フィルターなのに、誤変換が過ぎるッ!イケメンにし過ぎているッ!!こんなに周りの音があるのに、西野くんの声しか聞こえないなんて、距離が近いからかな。
委員長の3年生が話し始める。
「今から夏休みのスケジュールと活動アイデア会議を始めます。先ずスケジュールですが、クラス単位で3年生から順番に2年、1年と組んであります。資料をご覧ください。」
キリリとした聞き取りやすい声はまるで、アナウンサー。そう言えば、この声…体育祭のアナウンスの人だ!
渡された紙には夏休みをほぼ均等に、クラス単位で分けられたスケジュール表が作られていた。
「この表で用事があるという方は、別のクラスと交換してもらって下さい。代わりの方が見つからないという人は、私まで連絡下さい。当日体調不良などで来られない場合は、学校司書の立川さんまで連絡して下さい。」
凄い!完全シフト制!そして、この早い段階でのシフトはこれ以外の用事は別日に入れろという【 圧力!】逆らえん…。
「では次に、活動のアイデア出しをしていきます。何かある人ー?」
[・・・・・]
図書室はいつもの静けさに一瞬で戻った。そりゃそうだよ!!何するのか知らないもん!
「コホンッ。例年だと児童館に行って、保育園から小学生ぐらいまでの子を相手に、読み聞かせボランティアをする等をしています。それ以外にアイデアある人いませんか?」
“読み聞かせボランティア”かぁ。中学の頃聞いたことはあったけど、自分がやるとなるとなぁ。…ハッ!!でも西野くんの読み聞かせ⋯聴きたい!チラリと横を見ると、真剣な顔して悩んでる。。。可愛い///!!
「ないですかぁー?」
ん〜。他、他に…。「読み聞かせって漫画とか読んだら、私達でも楽しめるかなぁ?」
「それ良いじゃん!」
「!?」私独り言漏れてた!?
「どんな風にやる?」
えっ!?そこまで考えてないよ〜!!でも、何か言わなきゃ。言葉を待ってる圧が…。
「えーっと、、紙芝居の漫画版みたいな?なりきり読み聞かせ…的な。。。」
「「おおぉ!」」
歓声が上がる。何故賛同するの!?
「リアルに音響をやるのも面白いかも!剣の擦れる音とかフォーク擦ったりして。」
「良いね!漫画をプロジェクターで映しつつ、その場でセリフを読んでいくとか。面白そう!」
次々追加案が出されていくけど、まさか…
「この案いいと思うけど、賛成の人〜!!」
バババッ!と手が上がる。
「じゃあ、賛成多数で決定だね!これ以外にある人〜?
⋯無さそうなので、今年はこれで行きましょう!期末テストも近いので、細かな内容は追って連絡します。では、解散〜!!」
決まった・・・マジ!?