閉会式
「僕……!!渡辺さんのことっ!!#####!!」
どおぉぉぉぉーーーーん!!!!!!!!!
「!?!?何!?!?」
地響きの様な大きな音と共に、太鼓の音が続く。
「びっくりした〜!!ああ!応援団の演目が始まったんだね!ごめん西野くん。今なんて言ったか聞こえなかったんだけど、何だった?」
「いや、なんでもない……。」
「何?気になるんだけど。言ってみて!」
「本当、なんでもないよ。」
「えぇ〜?」
「テント戻ろっか?」
「そう、だね!戻ろ!!」
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クラスのテントに戻ると、萌々が心配した様子で声を掛けてくれた。
「遅かったねぇ~!大丈夫だった?」
「大丈夫だよ。」
「今からねっ応援団うちのクラスだよ!!一緒に見よ!」
「うん!!」
太鼓と共に学ランの生徒による迫力ある演目が繰り広げられる。刻むリズムで変わるフォーメーションと太い押忍の声。
「カッコいいね〜!!」
「ねぇ~!!」
一糸乱れぬ動き!夏の日差しにたなびく萌々達と描いた団旗!めちゃくちゃカッコイイ〜!!
テントの後方で話す男2人。
「おいっ!!どこ行ってたんだよ!?」
西野に近づいた昴はこっそりと空白の時間を問い詰める。
「どこって…。」
「なんだよ〜告白でもしたのかと思ったのに…。」
「!!……はぁ~。」
「なんだ何だ!?その反応!?おい!!したのか?したんだな!! 告白!!」
「しー!!!声が大きいよ!!」
「マジかよー!?抜け駆けしたのか!許さねぇ〜〜!!」
昴は西野の襟ぐりを掴み、グラグラと揺する。
「うゎあ!!やめろよ〜!」
「お前だけ彼女出来るとか、許さねぇ〜!!嬉しいけど、許さねぇ!!」
「待って!!待ってってば!失敗したんだよ!!」
「え?」
やっと手を止めた昴。
「言えなかったんだ。と言うか、聞こえてなかったらしい。」
「どういう事だよ!?」
「体育祭のせいだ。。。」
「もしかして!校長が気合い入れて、手筒花火使った応援団のオープニング!?あの爆音でか?」
「手筒花火!?!?!?」
「ああ。俺達もびっくりした。とはいえ、気の毒だな。」
「そうだよ!!もう、二度と言えない。。。」
「馬鹿!まだ言ってないのと同じなんだから、“これから”だろ!」
「なっ!!勇気いったんだぞ!そんな何回も言えるもんじゃないよ〜!!」
「まぁ、焦るな!夏は始まったばかりだ!な!!」
ガシッと肩を組んでくる昴はニカッと笑い慰めた。
「何の話〜?」
コソコソと後方で、昴と西野くんが楽しそうに話しているのを遠巻きに見ていた私は、声を掛けた。何だか2人、急に仲良くなったように見える。西野くんが男友達と話しているのを見たこと無かったから、なんか嬉しい。
「いっ、いつから聞いていたんですか?!」
「今、だけど?」
「だから、具体的にいつだよ!!」
西野くんも、昴もどうしたんだろう?物凄い動揺してる。ハッ!
「もしかして〜、聞いちゃいけない話だったの?恋バナとか?」
「/////違いましゅ!!す、昴行こう!」
「そうだ!行くぞ!!奏!」
違いましゅって……可愛いかよ〜〜〜〜〜〜/////!!!めちゃくちゃ推せる!!!いつもの落ち着いた声とは違う、ちょっと裏返った声で、噛みまくったセリフ!かわいい以外の語彙が出てこない/////
悶える私の耳に追い打ちをかけるように、草間さんのアナウンスが聞こえる。
(さて、全ての競技が終了いたしました!生徒の皆さんはグラウンド中央に集まって下さい。)
やっぱり、声優さんの聞き取りやすい声かつ、甘い音だわぁ~!!
ついに閉会式。グラウンド中央に並んだ生徒達の前に置かれた朝礼台に、草間さんが立つ。
(閉会式を始めます。では、特別ゲスト草間紘太さんに、優勝組を発表していただこうと思います。)
(はい!!発表いたします。今年度の東夏高校体育祭、優勝組は……)
あれほど騒々しかった会場に静寂が流れる。
そこに、スピーカーを通してもハッキリと聞こえる草間さんの声が響く。
(3年1組です!!おめでとうございます!)
【うぉぉぉぉぉおおおおお!!!】
会場に拍手と歓声が沸き起こる。混じる落胆の声。数秒の間を置きアナウンスが響く。
(3年1組の代表生徒は前に出て来て下さい。)
(おめでとうございます!)
草間さんより渡された優勝旗を受け取り
「やったぞぉおおおおー!!!!!」
【おぉぉおおお!!】
と盛り上がってる。
拍手で祝う私は、どっと疲れの色が出る。はぁ、色々あって疲れたぁ~!
(これにて、今年の体育祭を終わります。草間さんありがとうございました!)
(いえ、とっても楽しかったです!!皆さん、お疲れ様でした!)
こうして、今年度の体育祭は幕を閉じた。