5:火と光の激突(スマッシュ)
「【炎よ、身に纏われ!】」
そういってあいつは両手を広げた。そうすると・・・
「へへ・・・こうしたら、俺に触れただけでも大火傷だな♪」
なんと、あいつの全身から、火が吹き出している。はっきり言うと、
『大丈夫か?』
この一言に尽きるわけだ。しかし、その心配を無視し、あいつは言う。
「炎を能力者だから大丈夫に決まってるだろ!いくぜ!【火の車】!」
そして、あいつは俺に突っ込んできた。そりゃあもう結構なスピードで。
しかし、直線的な攻撃のため、避けれないことは無い。
左に3歩ステップし、避ける。が・・・
『あっち!あちちち・・・』
完璧に避けたはずなのに腕が・・・熱い・・・?
「この炎は並大抵の温度じゃない。そんな距離だと、火傷並だぜ!」
さいわい火傷には至らなかったのだが・・・攻撃は直線的だがやるな・・・
「まだまだ!【不死鳥の飛翔】!」
今度は、腕を広げ、鳥のごとく猛スピードで突っ込んでくる。これはちょっとやばいか・・・?
『いやいや!そんなことはない!【光よ!壁に】!』
すかさず光を右の手のひらに灯し、前に向ける。
そうすると、光は手のひらの前で広がり、壁になるのだ。
「死ねやあああああ!」
怖い言葉と怖すぎる姿で飛んでくる炎に向かって手を突き出した。
ドン!
と音がしたのと同時に壁に炎が激突した。
・・・これはどこぞのイマジンブレイカー少年と一緒・・・
炎は激突してもなお、こっちに向かって力を入れている。
火が推進力になっているらしい。
「おらおらぁ!そんな薄い壁じゃあ、すぐに割れちまうぜ!」
確かにこの壁は向こうの景色が見えるほど薄い。だが強度はピカ一である。
・・・と、頭の中のマニュアルに書いてあった。
しかしこのままではホントに押し切られそうなので・・・
『よっと』
「のわあ!?」
俺は体を少し横にずらした。
それだけで、壁に向かっていた炎の体はいとも簡単にバランスを崩した。
これは・・・いけるかも・・・・。