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3話

ガマセの絶叫が広間に響き渡ると同時に、魔王の体が光に包まれ、あっという間に崩れていった。

その光景はまるで夢のようだった。

魔王の姿が完全に消え去り、広間に残されたのはただの静寂だけ。


俺はその場で魔剣グラムを握りしめたまま、力を使い果たして動けなくなった。

全身の力が抜け、ただただ呼吸を荒げるばかりだ。

視界がぼやけ、意識が薄れていく。


「やった……のか……」


魔王ガマセを倒したという実感は、まだ湧かない。

こんなにも大きな戦いが終わったのに、ただ体の疲労感だけが強くなっていく。


その時、遠くからセラの声が聞こえた。


「おい、グラン。大丈夫か!?」


セラに続いてイリスも駆け寄ってくる。


「グラン、大丈夫ですか?」


心配してくれる二人を前にして、俺はようやく魔王ガマセとの戦いが終わったのだと安堵する。


「あぁ……なんとかなったみたいだな」


思ったより戦いの疲労がひどく、絞り出せた言葉はそれだけだった。

セラは息をつき、苦笑しながら俺の肩を軽く叩いた。


「全く……心臓に悪い奴だ。けど、よくやったグラン。これで私たちは、生きて王国へと帰れる」


イリスも小さく笑みを浮かべながら頷く。


「本当に……お疲れ様です。魔王ガマセを……倒せるなんて。やはりグランは、選ばれし勇者なのですね」


二人の言葉に、俺は少し照れ臭くなりながら笑った。


「勇者、か……。だが、この魔剣グラムがなかったら俺たちはここで全滅していたかもな」


俺は軽く剣を持ち上げて見つめた。


その瞬間――

突然、俺の心臓がドクン、と大きく跳ねた。


「うっ……!」


剣を握っていた手から力が抜け、魔剣グラムが床に落ちる。

同時に胸を押さえ、急に立ち上がれないほどの苦痛が体中を駆け巡った。


「グラン、どうしたの!?」


イリスが驚いて声を上げ、セラは慌てた様子で俺の背中に手を当てた。


「グラン、本当に大丈夫――」


その時だった。

俺の体が一瞬で光に包まれまばゆい発光をする。

セラとイリスの驚く声が聞こえたが、俺にはそれに応える余裕もなかった。

ただ、光に包まれる自分の体が徐々に何かが変わっていくのを感じていた。


光が徐々に収まり始めると、視界が戻ってきた。

だが、俺を見ているセラとイリスの顔が先ほどとは違い唖然とした表情をしているのに気づいた。


「……っ、一体どういうことだ?」


セラが困惑した声を漏らし、俺を呆然と見つめる。

その目には、ただならぬ驚きが浮かんでいる。

俺は自分の体を見下ろし――


「な……なんだ、これ?」


そこで、自分の手が小さくなっていることに気づいた。

手だけじゃない。足も、体も、すべてが小さくなっていた。


「グランが……子供になっている!?」


イリスが信じられないといった調子でつぶやく。

セラは驚きのあまりしばらく黙っていたが、やがて何かを思案したのか再び声を上げた。


「魔王ガマセを倒した最後の一撃……。グラン、まさかお前……!」


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