2話
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ガマセの冷笑が耳に刺さる。俺は剣を握る手にさらに力を込めた。
魔剣グラムの光はますます強くなり、剣身から熱を帯びたような感覚が伝わってくる。
「この一撃で終わらせる……!」
俺はそう自分に言い聞かせると、疲れきった足を無理やり前に出した。
「グラン!」
セラの声が響くが、振り返る余裕はない。イリスの方も何か言った気がしたが、その内容は耳に届かなかった。意識が剣と、目の前のガマセだけに集中していく。
ガマセは冷ややかな笑みを崩さない。
「ほう、まだ立ち向かうつもりか? 愚かだな、勇者よ……いや、そうでなければつまらぬか。」
その言葉に返す余力はない。ただ剣を構え、次の一歩を踏み出す。
その時、ガマセの目が一瞬だけ鋭くなった。
「だが、貴様らに勝利はない!」
ガマセの手が黒い雷を纏う。暗黒の雷が俺に向かって放たれる。
「くっ……!」
俺は咄嗟にミスリル盾を掲げ、全身を防御に集中させた。激しい衝撃が体を貫くが、盾が雷の直撃を何とか防いでくれた。とはいえ、全身が痺れるような痛みで力が入らない。
それでも俺は剣を握り続けた。
魔剣グラムがさらに強く光り輝く。その光が広間全体を満たし、黒い靄を切り裂くように広がる。
「なに……!?」
初めて、ガマセの表情に動揺が走った。
「これで終わりだ!」
叫びながら、俺は全力で地を蹴った。身体が限界を超え、駆け抜ける速度が増していく。
ガマセが防御の構えを取るが、俺は構わず突っ込んだ。
「はぁああああああ!」
魔剣グラムを振り下ろす瞬間、俺は何か得体のしれない力に包まれたような感覚がした。
剣がガマセの防御を貫き、その胸へと剣先が深々と突き刺さる。
「ぐああああっ!お、おのれ……勇者め!」
魔王の絶叫が広間に響き渡る。
光が魔王を包み込み、その体がゆっくりと崩れていく。
俺は、戦いの疲労からか全身の力が抜けるのを感じた。