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1話

ユウシャーノ王国を出立してから約一年。

ようやく迎えた魔王ガマセとの決戦の最中、俺はただ立ち尽くしていた。

仲間である聖女イリスと女戦士セラがそれぞれの位置から魔王を牽制しているが、どれも効いている様子はない。

俺は一歩踏み出し、剣を強く握りしめる。

だが、体は疲れ果てている。呼吸が荒れ、足元がふらつきそうだ。

それでも、前に進まなければならない――いや、進むしかなかった。


「くっ……! まだだ、まだ俺は戦える!」


声を絞り出して叫ぶ。無力だと思うことは、今は全く頭に浮かばない。

ガマセの放つ雷の攻撃がイリスの盾を弾き飛ばし、セラの大剣は空を切る。

二人がどれだけ攻撃しても、魔王には届かない。


「グラン……もう無理よ。私たち、もう限界……」


イリスが悔しさに顔を歪め額から汗を垂らしながら言った。

その言葉が、俺の胸に突き刺さる。


「このままじゃ……みんな、死ぬぞ……」


セラも、まっすぐに前を見つめていたが、その目はすでに力なく細められていた。

仲間を守るため、俺は立ち上がる。

たとえどんなに無力に感じても、あきらめてはいけない。

剣を握りしめ、俺は静かに決意を固めた。


(魔剣グラムよ!俺に力を貸してくれ…! この戦いを終わらせるために!)


その時、魔剣グラムの刀身が微かに光り始めた。

周囲の空気が一瞬、震えたように感じる。まるで剣が応じているようだった。


「フハハ…それが最後の抵抗か。無駄な足掻きだ。」


ガマセはそんな俺を見下ろし嘲笑う。

その不敵な笑みを見た瞬間、俺は心の中で覚悟を決めた。

この一撃で――俺たちの運命を変えてみせる。

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