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第8話 悪を断罪する者

 ラウハの元に向かったが特に何かを言ってくるわけでもなく部屋を出て長い廊下を歩き始めた。


 静かな廊下をただ無言で二人でひたすら歩いていく。

 

 これほどまでに気まずい状況はないだろう。


 せめて何か言って欲しいのだけど。


 その願いが届いたのかある程度歩いた頃にラウハが俺に話しかけてきた。


「手下。これから貴方の部屋に案内してあげるわ」


「案内してくれるのは嬉しいけどなんで手下呼びなんだ?」


「手下が気にすることではないわ」


「気になるだろ」


 よくわからないお嬢さまだ。


 会話が途絶えるとラウハは少し歩くスピードを上げる。


「そんなに急いでるのか?」


「貴方の歩くスピードが遅いだけよ」


 もう何を言ってもこういう返答しか返ってこない気がする。


 何か言うだけ無駄か。


 その後は特に話しかけることもなければあちらから声をかけてくることもなかった。


 そんな状況の中にしばらくいるとラウハはひとつの立派な扉の前で止まった。


「ここは?」


「ここが貴方の部屋よ」


 そしてラウハは俺よりも先に部屋の扉を開け中へと入っていった。


 部屋の中は机と椅子、少し大きめのベッド、タンスなどが用意されていた。


 まるで誰かが使っていたかのような状態だ。


 俺が部屋の中に入るとラウハは突然部屋の鍵を閉めた。


「なんで鍵を閉めたんだ?」


「……」


 ラウハは俺の問いかけに答えてはくれなかった。


 ただ扉の前に無言の状態で俯いていた。


 ラウハが一体何をしたいのかわからなかった俺はとりあえずコートや手袋を脱ぎ机の上に置いた。


 そして椅子に座る。


「どうしたんだ?」


「貴方は……」


 ようやくラウハが俯いたままだが口を開いてくれた。


「貴方は一体何者なのよ…」


 ラウハの質問は誰にでも答えれるようなものだった。


 だから俺は何のひねりもなく


「俺はクロノ」


 と答えた。


 ラウハは俯いたまま、


「そうよね…」


 と言って再び無言になった。


 お嬢さまのことは本当によくわからない。


 心の中でそう改めて思った時ラウハはまた喋り始めた。


「ここは…少し前まで別の人が使ってたのよ」


「それって」


「えぇ」


 こんな真夜中に心霊の話しをするなんてどれだけ悪趣味なお嬢さまなんだ。


 俺はこれ以上心霊の話しを聞きたくないのとそろそろ眠たくなりラウハに


「今日はもう遅いし話しはまた明日にしよう。ラウハもよく寝ろよ」


 と言った。


 俯いていたラウハは顔をあげこちらの目を見つめて


「貴方はあの人にそっくりね」


 と言ってきた。


「手下。私はこれで失礼するわ」


「だから手下呼びはやめろ」


 ラウハは俺の言葉を無視して鍵を開け部屋を出ていった。


 はぁ、一体何だったのだろうか。


 いつになっても女性の方が考えていることはちっともわからない。


 そしてベッドに横になり少し不思議な気分のまま眠りについた。


@     @     @


 朝になるとファーリアス王国の貴族内でとある事が話題になっていた。


 それは真夜中に絶界区(ぜっかいく)にて黒き謎の男が現れ絶界区(ぜっかいく)の番人達を殺害したというものである。


 殺害された中にはファーリアス王国でも知名度が高く貴族からも信頼されていた魔法使いや戦士も多かった。


 そんなことがあり貴族の中ではついにこの国に制裁の時が来たのではないのかという噂が次第に広まりしまいにはその謎の男を()()()()()と呼ぶ者も現れた。


 この噂は貴族だけに留まらずファーリアス王国全体にまで広がっていた。


 平民達には平和をもたらす救世主として崇められ貴族達には断罪者として恐れられ始めた。


 この状況にデーリチャフ国王は黙っているはずがなく怒りが最大までに達していた。


絶界区(ぜっかいく)で暴れたあいつは何なんだ!!! このままでは愚民共に反旗を翻されかねない! ふざけるな!!」


 デーリチャフ国王は怒り狂い近くにある物を蹴り飛ばしていた。


 それをなだめるように一人の男がデーリチャフ国王に話しをし始める。


「本日中には迎えるかと。ですからそれほど焦らなくても良いと思います。それにきっとサンドリーヌや黒の断罪者とやらも一掃してくれることでしょう」


「そ、そうか。ついに邪魔を消せるということか」


「はい。ですからこれらの一連は前夜祭に過ぎません」


「よし、褒美をくれてやろう」


 デーリチャフ国王は男の話しで怒りが収まりさらには褒美までも渡すことにした。


「この中から選べ」


 デーリチャフ国王は女性の顔の写真が載った紙を男に渡した。


「選んでよろしいのですか」


「あぁ、構わん。お前はよく働いてくれているからな」


 男はしばらく紙を見た後少し笑顔になった。


「それではこのエルフの綺麗な銀髪のサーシェルという女の子にします」


「どれどれ」


 デーリチャフ国王は男から紙を奪い取りサーシェルという女の子を見始めた。


「残念だがこいつは今日の夜私が使う。他の者にしろ」


「わかりました。でしたらこの猫人族のリリアルという方で」


「いいだろう。夜になったらまたここに来い連れて行ってやる」


「ありがたき幸せでございます」


「前のやつらはみなこぞって病気で死んだからな。今牢にいるのは全員新しく連れてきた新品だ」


 デーリチャフ国王と男は互いに紙を見たあと笑い始めた。


「今日は祭りだな」


「ですね」


@    @    @


 ファーリアス王国の城の地下には国の上層の人間の一部しかしらない牢屋が存在する。


 そこにはどこからか連れてこられた選りすぐりの女性が監禁され必要な時以外、外に出ることが出来ない。


 かつては何十人と女性が居たが今ではほとんどいない。


 そして犠牲となる新たな彼女達はいつ来るかわからない地獄に怯えながら暮らしていた。


 それでもいつかこの地獄から助けてくれるそんな救世主がいるということを彼女達は期待していた。


 だからこそ地獄の中でひたすら願い続ける。


『誰か…助けて』

「面白い!」


「続きが見たい!」


「今後の君に期待!」


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