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第6話 大技

 俺は夜に溶け込むほどに黒い剣を強く握った。


「哀れだな」


 俺が剣を一振りすると女性を押さえつけていた一人の男の首が宙を舞った。


「な、何をした!?」


「何をしたのかもわからぬ弱者には興味などない」


 するともう一人の押さえつけていた男がどこかへ逃げようとしていた。


 俺はもう一度剣を振った。


 そして男の首はまたも宙を舞った。


「お前、こんなことして許されると思っているのか!!」


「それがどうしたって言うんだ」


「!?」


 男の顔はえらく青ざめており化け物を見て恐れているのかと思うほどに怯えていた。


 死ぬのが怖いなら最初からこんなことしなければいいのに。


 自業自得だ。


「助けてくれ」


 俺は不覚にもその高度なギャグセンスに笑ってしまった。


 どうやら自分が言った事を言い返して欲しいようだ。


 仕方ない、やってやろう。


「助けてもらいたければしっかり価値を示せ。俺がその価値を示す手伝いをしてやろう」


「あ……」


「ここで死ぬことがお前の価値だ」


 そして俺は大きく剣を横に振った。


 男の体は綺麗に真っ二つに切れた。


 それと同時に横の建物も大きな音をたてながら崩れ落ちた。


 こんな大きな音がなったら他にもバレちゃうじゃないか。


 そんな事を思っていると女が立ち上がり何かを言ってこようとしていた。


 だがこんなとこにずっと居たらバレてしまうと思い何かを言われる前にその場を去った。


 それでも女はこちらについてくるので剣を向けると立ち止まった。


 そしてそれ以降ついてくることはなかった。


 俺はただ暗い中を歩く。


 ちょっと寒いけどまーいっか。


 なんて思っていると前から何人かの男がこちらにやってきていた。


 やっぱりあの大きな音でバレてしまったようだ。


 面倒くさいことになってしまった。


「おい、あそこに怪しいやつがいるぞ」


 バレないように隠れようと思っていたらその前に見つかってしまった。


 昔はかくれんぼ強かったはずなんだけどな。


「お前こんなとこで何をしている」


「それがどうした」


 ざっと六人といったところだろうか。


 今使える魔法を試すにはちょうどいい人数だ。


「俺達はこの絶界区(ぜっかいく)を監視する者だ」


 お前のことは別に聞いてないのだが。


「こっちの方で大きな音がしたが何か知らないか?」


 一人の男が俺に話しを聞いている間もう何人かが音がなった方へと走っていった。


 これはバレるのも時間の問題だろう。


 なら彼らも葬るまで。


「なぜ黙る。言えないことでもあるのか?」


「何もない。故に喋る必要がないのだ」


「何を言ってるんだ?」


「お前たちにはまだわからないだろう」


 俺は男たちを無視して前へ進み始めた。


 そして進んでいる最中に男たちに言葉をかけた。


「俺の平和を求める為に悪を裁く。それが誰であろうとも」


「……!?」


 再び暗い道を歩き始めた。


 俺の後ろの方では


「し、死んでます!!!」


 という男の大きな声が聞こえたあとに悲痛な叫びも聞こえてきた。


 どうやらひっそりしかけておいたトラップが発動したようだ。


 トラップシェイド。一定範囲の陰に予め殺傷能力のある魔法を仕込むことの出来る第弎位魔法(だいさんいまほう)である。


 これにかかると足に槍が貫通し動けなくなる。


 そして時間経過でさらに槍が刺さる。


 非道な彼らにはあれくらいが十分だろう。


 俺もこの世界で生きていくのに精一杯なのだ。


@     @     @     @


 あれからしばらく歩いたがその先は絶界区(ぜっかいく)と通常区を隔てる壁がありそれ以上先に行くことは出来なかった。


 そして俺は来た道を戻っている。


 もう少しで女の人を助けた場所に到着する。


 今回の偵察の結果は絶界区(ぜっかいく)は酷い有様であること絶界区(ぜっかいく)と通常区には壁が存在することくらいだろうか。


 他にあるとすれば絶界区(ぜっかいく)には瀕死の人が多くいることだろうか。


 見た感じ店らしきものもなければ作物を育てている様子さえない。


 食べるものがない状態で生きているのだろうか。


 そんな事を考えながら歩いていると女の人を助けた路地から先程の複数の男が出てきた。


「俺の仲間とそのほかのやつを殺したのはお前だろ」


「それがどうした」


「お前を殺す」


 本当に物騒な人達だ。話し合いで解決するという考えは浮かばないのだろうか。


 自分もだけど。


 男たちはしまっていたナイフやら剣を取り出しこちらに向けてきた。


 どうやら魔法を使える者はいないようだ。


 ならすぐ片付け終わるだろう。


 すると俺の後ろからいくつかの足音が聞こえてきた。


 後ろを見るとそこには10人ほどの男達がやってきていた。


「連絡で言ってたやつはこいつか」


「あぁ、そうだ。こいつが犯人に違いねぇ」


 これはまた面倒くさい事になった。


 さてどうしたものか。


「おい、あんちゃん悪いことは言わねぇ。ここで降伏しな。この絶界区(ぜっかいく)では俺達は最強だ」


 この国には一体何人の最強がいるのだろうか。


「あんちゃん、それに俺は珍しい複数属性持ちなんだぜ? 勝てると思うか?」


「造作もない」


「はぁ??」


 俺をあんちゃんと呼ぶ複数属性持ちの男はこちらに非常に怒った顔で近づいてきた。


「あまり俺達をなめるなよ。俺は最強なんだぜ」


「負ける理由にならん」


「チッ。お前ら全員殺っちまえ」


 後ろと前から何人もの男が武器を持って近づいてくる。


「後悔するんだな。喧嘩を売ってきたことを」


 こちらは喧嘩をご購入した側なんだけど。


 男達と剣が俺に触れる瞬間、空高く飛び上がりそして宙に浮いた。


 これは自分の足に陰を纏わせることによって出来る魔法の応用のようなものだ。


「なっ、ば、馬鹿な!?」


 宙を舞うと男たちは口をポカンと開けた状態で空を見上げていた。


「どうした。空を飛ぶものを見るのは初めてか?」


「まさか飛行魔法を…」


 これは飛行魔法などではない。ただの魔法だ。


「そんな馬鹿げた魔法をお前が持っているはずが…!!」


「あまり俺をなめるな。俺は最強だ」


 俺はちょうど月の真ん中に止まる。


 月明かりが俺を照らしより絶望を引き立たせる。


 フードが風に吹かれ脱げコートはひらひらとなびく。


 男たちは一歩後ろに下がった。


 その時絶界区(ぜっかいく)に響き渡る声で唱える。


「暗闇に潜みし平和を(けが)す者達にわざわざ宣告する。貴様らはこれより我が名において支配する陰で闇へと葬り去る。そして知るが良い。最強は一人しかいないということを。第陸位魔法(だいろくいまほう)、イネビタブル・シェイドスピア」


 次の瞬間地面、建物、すべての陰から無数の真っ黒な槍が現れ男たちの体を貫いていく。


 その攻撃を避けようとしている者も居たがそれも無意味な事。回避は不可能だからだ。


 五秒もしない間に地上には大量の血が流れていた。


 魔王幹部らしくそれっぽい言葉を魔法名の前に入れてみたのだがあまり納得するようなものではなかった。


 次回はもう少し改良してみるか。


「だからなめるなと言ったのだ」


 そう言うと周りに青い光が現れてその中に俺は吸い込まれた。

 

「面白い!」


「続きが見たい!」


「今後の君に期待!」


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