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オッサンとママン


いきみ過ぎ 身から出たのは 実なるかな



アルフォンス・アーネスト心の一句。



……うん。マジで泣けてきたと言うか泣いたわ。

精神年齢40近くでオムツプレイとか本気で恥ずかしくて泣いたわ。


いや、別にオムツプレイを否定する気はないよ?

ストレス発散の方法は人それぞれだ。

だが、残念ながら俺にはそんな性癖はないし、プレイ相手のマーサは少々薹が立ち過ぎている。


もしかしたら世の赤子達も漏らした時、恥ずかしくて泣いてる可能性が微レ存。



――さて、あれから1ヶ月程過ぎた。



俺は魔力の循環にも慣れ、齢0歳ながらスタスタと屋敷の中を歩けるようになった。


別に目立つ様な事もしたくなかったのだが、これはおもらし事件が原因なのでしょうがない。


自分でトイレに行こうとするなら最低限歩いたり出来ると周りに知らしめる必要があったのだ。


やはり男子たるもの自分のお尻は自分で拭かねばならない。




「さぁアルフォンス様。お昼の時間ですよー。」


今日もマーサが豪奢なトレイに乗せた哺乳瓶を持って来てくれる。中身は幼児用に成分調整されたミルクだ。


流石はなんちゃってファンタジー世界。

上下水道も完備されているし風呂もある。

掃除機も洗濯機も食洗機だって完備されている。


時代背景も中世と言うより近代だしな。

エリザベス女王とかその辺?


日本人が想像する都合の良いファンタジー世界だ。


現代知識チートは出来ないが、そりゃあ生活は便利な方が良いに決まっている。ビバ魔力エネルギー!



パパンたるアレックス・アーネスト子爵は仕事の合間を縫って週に何回か顔を見に来てくれており、その度に一緒に筋トレと魔力循環の訓練をしてくれる。


何でも魔力は筋肉と同じで使えば使うほど総量が増えて行くらしいので、今の俺は歩く度に魔力循環を使っているので必然的に魔力総量はどんどん増えているらしい。



ぐびぐびと薄いミルクを飲んでケフっとゲップをしていると

不意に部屋の外が騒がしくなった。



「……………!……………!?……………!」


「…………。………………!」


「……奥様!」



声が近ずいて来ている?

ん?奥様…?

まさか―――!?



バン!と大きな音を立てて俺の部屋の扉が開かれる。


そこには真っ黒い軍服に身を包んだ恐ろしいまでに美しい女傑が仁王立ちしていた。



「久しいな!息子よ!!母が帰ったぞ!」



え、エマ・アーネスト!?


ドカドカと軍靴の音を立てて俺の母を名乗る女傑が部屋に入って来る。


着ている服はドキめもでも見た明治時代の日本軍が着ている様な軍服だ。確か色で大別されていて黒はその中でも高級将校ではないと袖を通せない特別な色だったはずだ。


パパンであるアレックス・アーネストが着ていたのと同じ軍服だな。



「ほぉ?演習に出掛ける前は首すら座っていなかったはずだが、ふてぶてしく哺乳瓶を咥えているな。」



猫を持つようにヒョイと片手で摘みあげられる俺。

あの?ママン?赤子の抱き方って知ってます?



「お、奥様!?アルフォンス坊ちゃんはまだ首も座ってないのでその様な抱き上げ方は…!」


「そいつは奇妙だなマーサ。

アルフォンスは首が座るどころか、しっかりと体幹を制御しているように見えるぞ?」



不振なものを見るように摘み上げた俺をジッて睨みつけるママン。


こ、怖ぇ…!

めちゃくちゃ美人に近距離で睨まれるのってこんなに怖いのかよ!何か物理的な圧すら感じる…。



「ふぅん?産んですぐに演習に出たから初めてマジマジと顔を見たな。金髪金目は私似だな。目元と体格はアレックスに似たか?他の赤ん坊は知らんが、体格は大きい様に思うな。」



「そ、そうですね。アルフォンス坊ちゃんは体重は5kgを超えておりますし、立派な体格になられるかと思います。」



ちなみにゲームのアルフォンス君は金髪金目のつぶらな瞳をした15歳で身長180cm近くある相撲取りの様な体型をしていた。



「これは、魔力か?なるほどな。足りない筋力を魔力で補っているのか。この歳で肉体強化魔法を使いこなすか…。」



や、やべぇ。ただの赤ちゃんじゃないのがバレる…!?



「―――流石は私とアレックスの息子だな!かなりの天才と見える!!」



あ、これ大丈夫なやつだわ。

完全にこの人パパンと同類の脳筋だわ。



「アルフォンス。私の言う言葉は分かるな?分かるなら右手を上げろ。」



ギロリと睨みつけるママンの顔が更に近づく。

いわゆるガンを垂れるってやつだ。


あまりの迫力に負けてそっと右手を挙げてしまった俺を誰も責められないだろう。



「くっくっくっ。良いぞ!魔力だけではなく言葉も理解しているな。お前実は話せるだろう?さぁ話せ。」


「なっ!?奥様、それはあまりにも――!」



あまりにもなママンの無茶ぶりにマーサが声を上げる。

そうだ!もっと言ってやってくれ!



「ふん。この歳で歩く方が無茶だ。全身の筋肉を魔力で無理矢理動かすのと、声帯を魔力で動かすのとどちらが無茶だ?言葉は理解しているんだ。話が出来てもおかしくないだろう。」


「…確かに!?」



…いや、どっちも無茶だよ。ママン。

って言うかマーサも何が確かに!だよ。

さてはアンタも脳筋か?



「話せるんだろう?なぁ、アルフォンスぅ?」



「……………ち、ちょっと…だけ」



なぁ。これって俺が悪いのか?



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