0+0
私は高校生になった。覚醒したあの日私の中で何かが変わった。0であることを実感した。私は生まれてきてはならなかった怪物なのだと自分に言い聞かせた。母は私の覚醒に気付いていなかった。力をコントロールできなかった私は暴走するたびに外に出て、母の目につかないところで発散する。そして沢山のものを、人を燃やした。最初の方は罪悪感だったり、自分への恐怖もあったが今では何も感じない。仕方がないのだ。そうしなければ私は消されてしまうだろう。
その日もコントロールがうまくできず、私は外に出てあの公園へ走った。暴走する前には必ず目が燃えるように熱くなる。ジリジリと音が聞こえるのではないかと思うほどだ。マリアちゃんを燃やした公園は人が少ない。だから人目を気にすることなく周囲を燃やすことができた。パチパチと音を立てながらもえる公園の木を眺めながらぼーっとしていると
「こんにちは、0」
背後から男の声がした。ただものではないことは振り返らなくてもわかる。私を0と呼ぶ人間は少ないからだ。
「あははっ!まぁまぁそう殺気立たないでよ」
男の方を振り返る。全身真っ黒の服装に色白な肌が異様に目立つ。年は20代後半くらいだろうか。
「わぁ!噂通りだね。その目は…力を使う時にそうなるのかな??汚い色だね!うんうん、いいね」
ベラベラと喋る男をじっとみつめる。力を使うと私の目は白濁色になる。力のことを知っている。一族の人間なのは間違いない。ここでこいつを燃やしてしまえばいい。消してしまおう。
「んー、それは得策じゃないし、穏やかじゃないなぁ。それに僕は一族の人間じゃないよ」
ニヤリと男は笑った。私の考えは読まれているのか。
「冷静なんだなぁ。もう少し驚いてくれてもいんじゃない??」
男は喋り続ける。
「僕も0なんだ。仲間を集めてるんだ。なんのためか賢い君ならわかるね?」
白く細い指が私の頬に触れる。その瞬間私は気を失った。




