いつの間にか流されていた
最終話です。
よろしくお願いいたします。
柔らかい日差しに包まれ、花も咲き乱れた庭に今莉愛はいる。目の前には殿下とレイチェル様に殿下の背後にヒューバートと向こうから私を連れてきたあの、お兄さんことクソ野郎。日本では黒髪だったが変装していたのか、今の髪色青色になっている。
「何が楽しくてお茶などしばかなければならない」そう思う莉愛の顔はこの景色の中では不釣り合いだ。
「で、何がどうしてこうなった?一から十まで説明せよ」
「まぁー、そうくるわな?」
当たり前である。突然またこちらに連れてこられたのだから。しかも、あの後話し合うのかと思いきや、あれよあれよと昼ご飯を口に突っ込まれ、国王陛下に謁見するからと立ち居振る舞いを叩き込まれ、ふらふらの状態で夕方に謁見して、夕飯もあまり食べられず、疲れで寝てしまった。謁見で「息子の為に頑張ってくれ」的なことを言われ、何のこっちゃ!!?って思っても聞くことも出来ず了承の返事しか出来なかった。
「何息子って?誰のことを指してんの?何を頑張れと?何故私を呼び寄せた?寧ろ何故私をこんな姿にした?分かるように簡潔に纏め答えなさい」
そう話しながら机をバンバン叩く莉愛にやんわりとレイチェル様は告げる。
「リア、はしたなくてよ?机を叩くのは駄目よ?それに言葉には気をつけなさい?王族を相手にしてることをお忘れかしら?」
「あのドジっ娘…いえ、ご年配の問題に私を巻き込み年寄りにしたあげく、私の世界の水で若返ると分かったら水をもってきたけど、勝手に何か仕込んで、私をこんな姿にして、しかも元いた世界で過ごしていたら勝手にこっちに呼び戻して、人の人生滅茶苦茶にしておいて、王族だからーとか巫山戯んなって話よ!元の姿に戻せよ!つか何で私こんな目にあってんのよ!!私の平穏カムバーーック!!!!!」
なんとか取り繕うと思ったが本人達を目の前にして怒りは収まらず、結局は怒りにまかせ机を叩き暴言を吐き最終的に現実逃避をして、叫び、使えに突っ伏した。
そこではたと気が付いた……神頼みしたと
(あれ私神頼みしたよね?何で元に戻ってないの……ぁぁぁぁーーーー!!あの時、すぐに戻ったら大変なことになるから、陽花の家に戻ってからってお願いしたんだったぁぁ!!!やばいやばい、坊ちゃんのところに行かないと!とりあえずここは黙ってここを去ろう)
「………と言うわけでぼっち………ではなく、エルリック様のところに行ってきますわ」
「エルに頼んで向こうに帰って元に戻るなんてことさせると思うか?それにもうお前達の契約は切れている」
「!!!」
「……いや今普通に口にでてたからな」
「なっ!」
やってしまったぁーー!そう思っても口から出てしまったものは仕方がない…それに坊ちゃんなら何か策を考えてくれるはずだと考え「逃げるが勝ち!」っと思い勢いよく席を立ち上がり、そのせいで椅子が倒れようとしているがそんなものはどうでもいいので、莉愛は急いでその場から立ち去ろうとした…が、ヒューバートに腕を掴まれてしまった。
「っ!!このロリコン!!」
「「??」」「ロリコン?」
「………ロリコンとは年下の女性が好きな人を指しますね」
そう答えたのは、向こうに居たこともあるあの、クソ野郎だ。かなり要約したあげくオブラートに包まれて嫌味が全く通じて無い。
「まぁ、リア?それは普通のことではなくて」
「っ」
そうじゃない、そうじゃないのよ、そうじゃ!!
「リア?リアは俺が嫌か?」
ヒューバートが、ショックを受けたような顔をして莉愛を見てきた。その顔を見ると胸が痛む。
「……嫌ではないけど……嫌というか、私の意見何も聞かずに事に及んだことが嫌かな?」
別にヒューバートが嫌いなわけではない。一緒に街に出掛けたときも楽しかった。文句を言いつつ付き合ってもくれるしそれなりに莉愛のことを理解している。だが……
「それなら…!」
「でもね?何で私に断りもなくこんな姿にしたの?私を元の姿に戻してよ」
「………」
「それについては俺から話をさせてくれ」
そう言ってきた殿下は、私に椅子を勧めヒューバートの出自を話し始めた。
レイチェル嬢の祖父の妹がある時子供を身籠もってしまった。だが誰の子かいっさい話さず子供を堕ろすことも拒んだ娘に当時の公爵は、公爵家の娘がそうなってしまったなどと他に話が出ては、汚点となる為、娘は領地に戻る際事故にあい儚くなったと言うことにし、遠く離れた領地で子を産み育てさせることにした。生まれた子は女の子で髪や目は母親に似、顔はたぶん父親に似たのであろうが見た目麗しい子だったそうだ。だが、母親は重い病にかかり、幼い娘を残して逝ってしまい、娘は公爵家の使用人として働くことになった。
本当は娘の忘れ形見として養女として迎え入れたかったのだが、体裁もあるので、孫として迎え入れることは出来なかった。
娘は器量も良く見た目も麗しかった。当時皇太子であった今の国王が友人である公爵の邸に訪れた際に彼女に一目惚れをし、妾として召し上げられ出来たのがヒューバートなんだそうだ。
だが、そのヒューバートが魔族との血が濃く入っていないと持つことがない属性の魔法の適性があった。それが闇。きっと母親はハーフなんだろう。母親に確認したいところだが母親はヒューバートを生んだ後、姿を消した。
闇魔法は護衛としては使えるので今は下臣に下がり殿下を支えている。だが、ヒューバートは国王の息子で王族ではあるが魔族の血が入っている。魔族の血を混ぜるのを嫌がる貴族達は、令嬢を向けることがない。ヒューバートは一生独身と思っていたところに、莉愛が訪れた。莉愛に好意を抱き始めたヒューバートに嫌がりもしない莉愛をこれ幸いと思い、魔女から魔力を奪い莉愛に魔力を譲渡し魔力を有するように体内の構造をちょちょいと変え、そして莉愛を婚約者にしたてたのだ。
そう仕立てたのです。つ・ま・り、リアは貴族の娘と言う称号を手にしたのです!!!………って
「ふ、ざ、け、る、な、巻き込むなよ!」
「ぁあ、そう言えば、新しいご両親とはどうだい?」
「さぁね、って話変えるなよ!」
梨愛は謁見後、「息子の嫁の迎え入れ先を用意してある」といった国王陛下は子供のいない伯爵家の夫婦と莉愛を引き合わせた。伯爵家には子供がおらず、伯爵の弟夫妻は金食い虫らしくその子供も親に似ており縁は切っているとのこと。子供が居ないので伯爵が亡くなったら領地を返上しようと考えていたのだが陛下に話を持ちかけられ莉愛を養女として迎え入れられたのだ。
「とてもいい夫妻だと思うんだけどな」
「………まだ少ししか会話をしていないので何ともお答えできません」
だが、少し会話しただけだがとてもいい夫妻だというのは分かる。
始め「勝手に家族とか巫山戯るな」と思い、顔はにこやかに笑い適当に会話していたが、梨愛を気づかい莉愛の好きなことや色、色々な話を聞いてくれ一生懸命莉愛を知ろうとしてくれ、別れ際には抱きしめてくれた。夫婦といっても本来の年齢の+10ちょい上くらいなので、親という感じでは無いのだが、とても温かい気持ちになった。梨愛の本当の家族は梨愛の好きな食べ物などきっと知らないだろう。でもこの人達は聞いてくれた。知ろうとしてくれている。嬉しい。でも、梨愛はこちらの人間ではない。
黙り込んだ莉愛を見た周りは、温かい目で笑っていた。
「まぁ、時間はある。もう少し若返るか?」
「……殿下?殿下も飲んでみますか?」
「若返るなど女性の夢だろう?」
いやまだ20代前半なんて若いだろうが!!ジト目で殿下を見ると笑われた。
「もう一度幼いときからやるのも楽しい物ではないか?」
(あ、これは私の過去を調べたな)
そう思った莉愛は、後ろにいる男を見ると、男は笑みを深めた。
「はぁ…結構です。それに私にはあちらに大事な友人がいます、これでも楽しく過ごしていたのですよ?」
漫画とかアニメとかゲームとかイベントとかミュージカルとかとかとか……そこではたと気が付いた。
(趣味しかねぇぇぇぇーーー)
いや、とても充実していたと思う、趣味が全てを閉めていたが…。彼氏ですか?そんなもの居ない歴年齢ですが何か?
「また向こうに戻ることも出来る、だから今はお試しでも良いからこっちに住んでみてはどうだ?」
一利ある…それに姿を変えられるならば元に戻すこともきっと出来る、は、ず…出来るよね?
「そうね…ではお試しで3か月お邪魔しようかしら」
「そうこなくてはな!では、とりあえず君を養女に迎え入れた伯爵に連絡を取っておくよ」
そう言って殿下は周りに待機していた者に使いを頼んだ。
「あ、陽花に、向こうに住まわせてくれていた人に連絡とりたいから向こうに戻って良い?」
そしてあわよくば元の姿に戻ってしまおう。うむ、それが良い。
「そ、う、だな、急にこっちに来たんだからな…だかなぁ…」
歯切れが悪い。もしや気が付かれたか…!!?
「実はな、前回リアを帰したときに契約は切れていてな、前回は召還だったが今回は転移のようなものでな……で転移はかなりの魔力を使うんだが、前回2人の転移で魔力の強い者立ちの魔力をかなり消費して、まだ回復しきってないのが居てな……」
「つまり、無理と?」
「う、うむ…だが手紙程度なら大丈夫だぞ」
まぁ、それでもいいか…連絡取れないよりまだましであるし…
「分かった、それでお願い、何時送れるかまた教えて貰っても?寧ろ今書いて今送りたいんだけどね?」
ほら、メールとか電話とか専用のアプリ使えばすぐじゃ無い?因みに携帯は圏外です。そりゃぁ異世界まで電波飛んでこないわ。
「後でエルに伝えておく」
「お願いします………さて、私は今日から何しようかなー」
「ん?今日から伯爵邸に行くことになるんだから、そっちで決めればいいだろう?」
「は?」
レイチェル嬢の咳払いが聞こえたが、それどころではない。
「お試し期間3か月だろ?時は有限だ、今日から向かえ」
「いやいやいやいやいやいや…意味分からないから、何故どうしてそうなった?え?今日からもう?」
「リア、諦めは肝心だ」
そう言ったのはヒューバートさん……
(諦められるわけが無かろうて!!!!)
結局ヒューバートさんに送ってもらうことになった。
ーーーーーーーーーーー
ガタガタガタ……
車内は馬車の車輪の音だけ響き2人の間には沈黙が流れている。何を話せばいいのか梨愛は分からず俯きスカートを握りしめた。
(何故こうなったんだろうか…ただ楽しく過ごしたいだけなのに…何処で道を間違えたのだろうか、そもそもこっちで旅行などせず話を聞くだけにしていたら良かったのでは……タラレバだわ)
ヒューバートさんが両膝を足を広げた左右の膝に置いて手を組んで呟いた。
「リア…怒ってるか?」
「……怒ってないとお思いで?」
「いや、すまない。でも諦められなかったんだ、リアのことが」
梨愛は黙ってヒューバートさんの方を見た。
「俺とまともに会話してくれるのは隊の人間と殿下達やエルリック殿ぐらいだったんだ、そんな中リアは始めから普通に接してくれた」
(出会いは普通だったかな?んー、被写体にした記憶があるがいつだったか……記憶が無いなー、ご飯食べたり観光したりは、これは後か、出会いどんなだったかなぁ?ってかなにげにデートみたいなことしてるなぁ、仕組まれてたのか?つか周り固められてた?いつから?)
「それに会話していて楽しかった……リアは楽しくなかったのか?俺のこと嫌いか?」
そう言いながら上目遣いで莉愛を見るヒューバートさん。梨愛は胸が締め付けられた。
(男性の上目遣いでも胸キュンするかって心理学の人が実験してなるって言ってたけど本当になったよ!!)
「え、、っと、別に、嫌いじゃないかなぁ」
そう言ってそっぽ向いた。
(まて、流されるな自分!!今自分は怒っているのよ!ん、怒ってたっけ?)
「なら」と言ってヒューバートさんは隣に座ってきた。その行動にビックリして端っこに寄った。別に席を譲ったわけではない、断じて。
ヒューバートさんは莉愛の手をとられ、焦って引き抜こうとしたが抜けずそのままヒューバートさんは口元に持って行き呟いた。
「俺はこの3か月、お前を俺の元に来てくれるよう口説きに行くよ」
そして梨愛の手首にキスをした。
「!!!!」
余り物驚きで手を引いたが掴まれてて引けない。顔に熱が帯びるのが分かりそれにすら焦り、もう片手で顔を覆おうと思ったが手を取られ、顔を隠すことが出来ず目の前にいるヒューバートさんの熱の籠もった視線を受け耐えきれず、俯いた。
「これから宜しくな」
そう言って莉愛を抱きしめた。
ーーーーーーーーーー
陽花の元に1通の手紙が届いた。差出人を見た陽花は「あぁ…」っと呟き厚みある手紙を封筒から出して読み始めた。一通眼の途中まで読み陽花は手紙を読むのを辞めた。
陽花は手紙を封筒に入れなおしリビングのテーブルに置き、パソコンをあけ小説を書き始めた。
「主人公の名前は、梨愛でいいかな………流され安さを出さねば」
そう言って陽花はキーボードを叩き始めた。
ここまで読んで下さりありがとうございました。
これで終わりです。
1年半もかかってしまいました……
また次書く機会があったら次は下書きを消さないように気をつけたいと思います。
本当にありがとうございました。




