召喚されても我が道行きます
「おいリア来い!」
腕輪から声が聞こえてきた。無理矢理契約してきたご主人様のお呼び出し……私まだお風呂なんですけど??
「イーマお風呂で無理でーす」
「なっ!!!とにかく早く来い」
「はいよー」
って返事しながらゆっくりお風呂につかって一息を着く。
今の仕事に就いて一月経って少しは仕事に慣れたけれど、まだまだ処理が遅くて少しだけ残業続き……町工場で事務員4人なんだよね…
就職した前日の夕方に引っ越してきたばかりで、いまだに生活用品やとくに雑貨は段ボールの中にあるんだ。欲しくなったら探すって言うのが今の現状。
「今日は花金だし明日こそ本気出さないと」
ちなみにこれ、引っ越してきて毎週末呟いてる!!でもできないの!本が私を呼んでいる……後アニメ……この土日はアニメ見ながら片付けでもしようかな……あ、これが片付けできない原因か?致し方ない……
ぼーっと少し考えて、呼ばれていることを思い出しゆっくりとお風呂を出て洗濯機を回して、回り終わるまでに掃除機をかけて乾いた洗濯物を畳んでる間にお湯を沸かしてインスタントラーメンを作る。できあがった頃に洗濯機が終わりを告げ、冷凍ご飯を解凍して暖めている間に洗濯物を干しに行く。全部干し終わりお風呂を掃除して、できあがった料理をトレイにのせていると、またご主人様である坊ちゃんから連絡が入った
「いつまでかかってるんだ!!?」
「今行きますよー」
と言ってトレイを持って部屋にあるクローゼットを開け、紙の上に置いているサンダルを取ってクローゼットの壁につけているカーテンを開け床に料理がのったトレイを置いて少し光っている中を覗き込んだ
「お待たせしました、坊ちゃん」
「遅い!何してたんだ」
さらさらヘアーで私達の世界にはない白金の髪にグレーの瞳、長身だがまだ、大人になりきれていないあどけなさが残る顔の持ち主で一応私の、ご主人様であるエルリック・ハスーラ様がお冠でこっちを睨んできた。
「すみません、でも事前連絡は必要でしょう?それを怠った坊ちゃんが悪いんですよ?」
そう言いながら足が着くか高さを確認して、サンダルを落として光の向こうの坊ちゃんの方に出て行く。
「本当おまえ……俺はお前の主人だぞ?」
ちなみにこの坊っちゃん良いとこのお坊ちゃまなんだそうだ。詳しく聞いたのだけれど、家系の歴史から話されてもう私の耳は右から入って左に抜けるばかり。つまり覚えておりません!でも、窓から見える限り家は立派でお庭も素敵!ゆうなれば、豪邸だ!魔法も使えるしもう完全異世界ですね!すーん、ばらすぅぃーー!!
「よく説明もせずに契約したくせに?」
「……」
何でこんなことになってるかというと、片付けのためにクローゼットを開けて採寸しようとした時に召喚されてね?で、それが今でも扉になってます。つながる先は坊ちゃんがいる所なんだけどね?って言うか召喚された時のあの坊ちゃん!!キタコレって顔した次に、金髪の格好いいあの顔で満面の笑顔で「俺と契約をしよう」だよ!?びっくりして「はい?」って言ったのを了承ととり名前を聞かれて答えて、はい契約終わりです。
ぇえ、流されましたよ?しかも、魔法召喚されたからと言って何も体質は変わらないんだと!残念すぎる。しかも、召喚した人が話す言語は話せるらしい……凄いな!!
「はいはい、すみませんでしたーっと」
私は自分の部屋をのぞいてトレイを取る。
何が言いたいかというと、私魔法使えないんです!!それでも坊っちゃんはいいんだって!!!ただ、自分の愚痴を家の誰かに言って自分の株を下げたり、外で愚痴れば弱点にもなりかねないとのことで、召喚魔法で愚痴をただ聞くだけの手頃なものを召喚しようとして私が召喚されたらしい……本当は動物で、あとついでに強くて使い物になるのが欲しかったそうだ…ごめんねぇ、私魔法使えないんだ!!でも、私が相づち打つから聴いてくれてるって分かるからいいらしい。
しかも、私にも仕事があるからねって言うと今の時間しか呼ばないし、魔力無いなら連絡できませんと言うと、今右手にある綺麗な腕輪をくれて連絡取れるみたい。できた坊ちゃんだこと!!!
「お風呂ですよー、あと私の夕飯もってきました、机と椅子借りますねー」
「それは、ラーメンとか言うやつか?部屋が臭うだろうが」
「えー、じゃぁ換気しましょう」
私は窓を開けようと窓に手をかけたがとめられた
「馬鹿、臭いでバレるだろうが!!」
「じゃぁ、諦めてください」
そう言って私は夕飯を食べ始めた。
坊ちゃんは頭をかきながらため息をついてソファーに腰を下ろしたので、今日の呼び出しは何か聴くことにした
「で、今日はどうしたんですか?」
「それがさ~…あ、防音……でなー……」
さっすが、エルリック様、さっと魔法張っちゃうんだもんな。そして愚痴は長い……もうラーメン食べ終わっちゃった。
ご飯も食べ終わった頃にようやく話が終わった。ま、要するに今年学園に入学してきた男爵令嬢が坊ちゃんと友人王子の前でどじるという話で、それを助けていたら婚約者に怒られたって話だった。
学園って学生かよー。若いなぁ…確かエルリック様が14歳だったかな?第一王子は同い年でしょ?第二王子はドジっ娘と同じかな?ドジっ娘って計算かなー
「最近よくそのドジっ娘男爵令嬢の話聞きますけど好きなんですか?」
これはもう乙女ゲームだよね!
「そんなことある分けないだろ?ただ、庇護欲をそそるというかだな……」
この展開はよくあるゲームでハーレム作ってつまみ食いして、最終一人とハッピーエンド!今は庇護欲とか言ってるけどそれが気になるになって、「これは恋!!?」になるんだよねー。
だけど、そのあとの周りとか政治的には破滅ルートなんだよね!よくあるある?小説的な?転生??あー、楽しい。
さて、どうしたものかなー
「友人王子の弟の前でもドジなんですか?」
「そうだと……言っていた気がするな……」
実は今第一王子と第二王子で派閥があって、第一王子が断然優勢なんだけれど、第二王子は少数だけれど過激派がおおいんだよね…今ここでこのフラグ立てまくりドジっ娘を第一王子の相手にしちゃったら、第二王子にのっとられる可能性も少なからず出てくる…表向きはいがみ合ってふうだけど、実際は仲良いんだよねー。
エルリック様になると……あ、私お役御免?あ。良いかも…でもそれはそれでつまらないなぁー。まだ魔法をいっぱい見てみたいし!!
と言うことでフラグを折々しないとね!!ごめんね、ドジっ娘!!
「じゃぁ、とりあえず他の人の前でもドジなのか観察してみて下さいね?」
「お、おう…」
「じゃぁー、おやすみなさぁい、早く寝ないとお肌に悪いよ」
「あぁ、おやすみ」
「あ!私明日あさって休みなんですぐには無理ですが何かあれば呼んで下さいね、おやすみなさい!」
腕輪に帰りたいと願いを込めると扉が開いた。
扉の向こうは段ボールが山積みの部屋のクローゼットの中に出た。
「さーて、片付けでもしましょうか、あ、その前に食器を洗わないと!」