たった一つの冴えないやり方
3
そこに立っていたのは、俺が助けた女性らしい。
見た目は16〜17歳くらいだろうか。目がクリクリっとしたなかなか可愛らしい娘だ。
今まで見たことがないデザインの服を着ており、何か俺に話しかけている様だが、まったく言葉がわからない。
エリシエルに連絡し、言語解析を行わせる。
とりあえず言葉がわからないながらも、手振り身振りを交えてなんとか会話しようと試みる。
自分の方を指差し神楽坂景一と言ってみようと思ったが、ちょっと長いと思い直し景一とだけ伝える。
何度か繰り返すとわかってくれたらしく
「けーち、けーち」
とたどたどしく俺の名を連呼した。その様がなんか可愛らしいなとか思ったのはナイショだw
そして次に彼女は彼女自身を指差し
「アーウラ」
と言うので、彼女の名がアーウラさんと言うのがわかった。
そんなこんなのやり取りをしばらく行い、コンピュータを使った言語解析もあり、少しずつ会話が出来るようになってきた。
そうしているうちに日が沈み、あたりが暗くなってきた。
いつもなら、グライドに戻りコックピットの中に入って休むのだが、今から戻ると真っ暗になり迷いかねないので今日はここで野宿することにした。
薪になりそうな木を集め火をつけようとしたが、なかなか火がつかない。
するとアーウラさんは胸元から何か図形の様な物が描かれた紙を取り出した。
なにやら、むにゃむにゃやってるなあと思っていたら、いきなり薪に火がついた。
えっ、何、超能力?
ファイヤースターターとか言う厨ニ病じみた能力持ちなの、彼女は?
驚いた俺は、もう一度アーウラさんに火をつけてもらうことにした。
エリシエルに言って、アーウラさんの周囲をセンサーでチェックしてもらう。
さっきと同じ様に呪符の様な紙を取り出したアーウラさんは、またむにゃむにゃと始めると枯れ枝に数秒で火がついた。
何度か実験してもらったが、4〜5回連続してやるとアーウラさんが嫌がってきたのでやめることにした。
「これってやっぱり魔法なのかな?」
とエリシエルに問いかけるものの
「正直データ不足ですね」
まあ、確かに数回やった程度でまともなデータなんて取れないよねえ。
アーウラさんに聞くにも、まだろくに会話も出来ない状態だし。
と言うわけで、ひとまず魔法のことは置いておいてボディランゲージ主体の会話で色々聞くのであった。
そして時間はかかったが、いくつかわかってきた。
アーウラさんはこの近くの村に住む、いわゆる開拓民とのことだ。
村自体も出来たばかりで畑も小さく、食料の一部は森に入って取って来なければ足りない。
森に入って食料を探していたアーウラさんは、ちょっと頑張りすぎて森の奥まで来てしまい、さっきの恐竜もどきに襲われたと言うことらしい。
それじゃ村の人も心配しているだろうなあと思ったが、もう夜も遅いので明日の夜明けを待って村に戻ることにした。
パラシュートの残骸を見つけたので、それをシーツがわりにしてアーウラさんには先に寝てもらうことにした。
危険な動物とかがいるかもしれないので、今夜は徹夜で見張りだ。
朝が来た。
昨日の晩は幸いに危ない生物もこないで済んだ。
一晩中気を張り詰めていたので、日が昇って明るくなるとホッとしたせいか眠くなってきた。
アーウラさんも気になって、昨日の夜は良く眠れていなかったようだ。
「昨夜はお楽しみでしたね」
などと某RPGの宿屋の主人のようなことを言うエリシエルを無視して、アーウラさんを起こす。
とは言え、いつまでもここに居るわけにはいかないので、アーウラさんの案内で村に行くことにする。
パラシュートは何かに使えるかもしれないので、畳んで持っていくことにした。
村までは3〜4時間くらいかかるらしい。
エリシエルが今までの会話を解析し、翻訳プログラムを作り端末に入れてくれたので、会話はだいぶ楽になった。
「エリシエル、グライドのエネルギーはどの位だ?」
「リアクターの出力が極端に低下しているのでほとんど溜まっていません。何か別のエネルギー補充を考えないと当分動けそうもありません」
「わかった。俺たちが村に着いたら動ける範囲で村の近くまで来てくれ」
そう言って端末を胸のポケットにしまうと、アーウラさんがそれを不思議そうに見ていた。
無線端末を知らない人から見たら、小さな板に向かって話しかける変な人に見えるよなあ。
「えーと、これは遠くの人と無線、、、無線と言ってもわからないか。とにかく遠くの人と話ができる機械なんだ」
と説明してみたがわかっていなさそうである。
そこで音声ヴォリュームを上げて、アーウラさんと直接喋れるようにしてみた」
「こんにちはーエリシエルでーす」
いきなり板から声がしたのでアーウラさんがビックリしていたが
「※※※※※※〜¥¥¥¥¥〜%%%%%%%%+〜¥¥¥¥¥¥」
とエリシエルが現地の言葉で話し出すと
「¥¥¥〜〜###@@@@@@」
「@@¥¥¥¥########〜%%%%%」
「%#@@@-/(((%%%%%%%¥¥¥¥¥¥¥##…#####」
何言ってるかわからないんですが、なんか会話が弾んでいるようです。
置いてけぼりにされて寂しいです。
今回のあとがきで魔法についての設定を書くつもりだったのですが、その部分を書いた物を間違って消してしまったので、エリシエルとアーウラさんによる、魔法解説にしました。
エ「エリシエルでーす」
ア「アーウラでーす」
ア、エ「「二人揃ってアリエールでーす」」
エ「って何処の洗剤じゃー」
ア「いたいですよ。叩かないでくださいエリさん」
エ「叩いてないですよ。っていうか、私が叩いたらあなた潰れますよ」
ア「ははは、そうですね。まあ、それはさておき今回は二人で魔法の解説をしますよー」
エ「アーウラさんが薪に火をつけていたやつですね。あれはどうやったのですか?」
ア「魔法陣に念じてえいってやれば火がつきます」
エ「…それじゃ全然わからないですよ」
ア「むむむ」
エ「仕方ないですね。それじゃ今回の実験による私の見解を述べてみます」
ア「はい、お願いします」
エ「まずこの世界には私たちの世界には無い魔素と名付けた素粒子があるようです」
ア「そ、素粒子ですか」
エ「あなた方の脳の中にある海馬と呼ばれる部分には私たちの世界の人には無い、魔素を観る器官があります」
ア「えーと、脳の中の海馬の」
エ「本来魔素は重力、電磁力、強い力、弱い力のどれとも反応しないため私たちには観測することが出来ません」
ア「、、、」
エ「おそらくあなた達の脳には魔素を観測できる5番目の力を感じることが出来るのでしょう。魔法陣を使うことによって魔素が収束し観測可能な状態になり熱として発現します。そして、、、」
ア「はーい、今回の魔法解説はここまでで。またねー」
エ「いや、まだ話は終わってない、もごもご、、、」