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黒い破壊者

挿絵(By みてみん)


タイトル画を描いてみました。如何なものでしょう。

18


そして数日が過ぎ、大会当日となる。早朝から王城に向かい出場の準備をする。


「いよいよ大会ですね。頑張りましょう」いつになくマリエちゃんがやる気である。


「わたしゅは、観客席きゃら見ちぇるからぎゃんばってね」朝早くからおこされたせいかアーウラさんは異常に眠そうである。大丈夫だろうか。


王城に到着すると、既に多くの機人が集まっており受付を行なっている。試合そのものは今回の大会のために特別に作られた特製闘技場が用意されて、朝早いにもかかわらず沢山の見物人が入場しているようだ。


試合形式はトーナメントで行われるらしく、トーナメント表が貼り出されている。


「俺達は第6試合か。対戦相手は… むう、ゲルダーじゃん。いきなり色物かい」


「AとBに別れており、王が集めたアニメ系の機人はBに集まっているようです」エリシエルが言う。


「俺達は色物扱いかよ」


「お〜い、ケーチ君」


俺を呼ぶ声がするので後ろを振り向くと、イエスタさんが手を振っていた。


「あっ、イエスタさん。応援に来てくれたんですか」


「ああ、今回はフロイデルの奴も出るからな。来ないと後で五月蝿い」と言ってイエスタさんは笑った。


俺達の試合まではまだ時間があるので、イエスタさんと観客席に向かう。


「今回の大会は最近徐々に悪化している隣国との緊張緩和の意味合いもあって、周辺国のお偉方も招待されているんだ」


そういえば、隊長が国境付近のトラブルが多くなっているとか言っていたな。


「我が国の機人の練度などを見せることによって、簡単には攻め込めないぞ、ってことを知らしめることも出来るからな」


それって、下手な試合見せたら返って甘く見られて、逆効果になりかねないのでは。と思ったが声には出さないでいた。


「そろそろ第1試合が始まりそうです」エリシエルが言う。


観客席の適当に空いている席に座り、試合を観ることにする。

両方とも標準的な機体だが、片方は剣、もう片方は槍を持っていた。


機人同士戦う武器としては、槍というのはあまり向いていない気がする。と言うのは、槍の主な攻撃は突き刺すと言う動作になるが、全身金属の機人には槍はそう簡単に刺さるものではない。ならば剣だって簡単に切れないだろうと思われるが、剣は叩きつけると言う動作によって内部に衝撃を与えることができる。衝撃を与えるならハンマー系の武器が良いのだろうが、ハンマー系の武器はリーチが短い。柄を伸ばすとモーションが大きいので隙が大きくなる。その辺りのバランスを考えると、剣が一番良いのではないかと思う。

ただこれは機人同士の対戦のことなので、モンスター相手にはリーチのある槍は十分有効だと思う。


しばらく試合を観ていると、変なことに気がつく。上半身と下半身の動きに統制が取れておらずバラバラなのだ。気になったのでイエスタさんに聞いてみると。


「機人の操作の問題だろう。人間には機人の上半身と下半身を同時に操るという操作は出来ないので、騎士達は主に上半身を操作し、下半身の動きは魔導知能にほぼ任せている。そのため、あのような動きになるのだろう」


バイオフィードバック的な技術はこの世界にはないんだな。つくづく機人は歪な兵器だと思う。


結局勝負は剣の機人が勝ち、剣の機人が勝どきをあげる。


第二試合はBの色物系機人の試合だ。黒い機人と緑の機人が闘技場の中央に歩み寄る。

緑の方が腰に吊るした斧のような武器を取り出す。

黒い方は背中に担いだ自分の身長よりも巨大な剣を掴み、前方に構える。


「それは鉄塊だった」エリシエルが何か言っているが無視した。


試合が始まる。いきなり緑が斧で斬りかかるが、黒は剣で斧を弾き飛ばし、返す刀で自身の大剣を緑に叩きつける。グシャっと緑のボディが潰れ動かなくなる。


「つ、強え」圧倒的な強さだった。あの巨大な剣を軽々と振り回す力も凄いが、第1試合の機人と異なり上半身と下半身が見事に連動している。余程修練を積まないとあの動きは出来ない筈だ。こんな奴も居るのか。

気乗りしなかった武闘大会だが、面白くなって来そうだ。



「それじゃ俺は試合の準備があるので、そろそろ戻ります」


「ああ、応援しているから頑張ってくれ」


イエスタさんと別れて歩き出すと、観客席でよだれを垂らしてグーグー寝ているアーウラさんを見つける。


一体何しに来たのだかw



久し振りに裏設定。



擬似物質


擬似物質とは物質とエネルギーの中間のようなもので、非常に軽く丈夫である。しかしエネルギーを与え続けていないと自壊し物質としての形状を保てない。光子力研究所の壊れるバリアみたいなものw


ナノマシン


この小説で使われるナノマシンは医療用とグライド整備用の二種類に別れる。

グライド整備用のナノマシンは文字通り非常に小さな機械で、グライド内で大量生産されグライドの装甲や骨材の罅や劣化の補修、構造材や様々な機構のメンテなどを行う。プログラミングされたナノマシンによって精密機械や部品などの製作も可能である。

それに対し医療用ナノマシンは、大腸菌を遺伝子改造したもので人体の中に入ると怪我や病気の治療を行い、約一週間程で消滅する。使う人間に対して調整されているので、それ以外の人に使っても効果は薄い。最悪異常をおこし使用者を死亡させる可能性もあるため、規定の人間以外の使用は禁じられている。



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