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太陽系の中心で何も叫ばない獣


ピーピーとうるさいアラームの音で目が覚めた。


フラフラする頭を強引に覚醒させ現状を把握しようとした。


「ここは何処だ」


「土星の軌道から約300kmほど離れた場所です。作戦行動宙域からほとんど離れていません」


とエリシエルが答える。


機体の構造チェックを行い故障箇所の確認を行う。その他電子機器などのチェックも同時に行うが


「おかしい、異常が見つからないのにリアクター出力が異常に下がっている。部隊との通話も全く出来ない」


「光学観測による星の位置を調べた結果、約259年過ぎています」


エリシエルは淡々と言う。


「え‥」


「ブラックホールに近づき過ぎたため、ウラシマ効果で…」


「それでも地球との通信は出来るはず…まさか」


「ヴァーンとの戦いに負けて、人類は滅んでしまったのでしょう」


エリシエルは人間ではない。だから、その非情な答えをこともなげに言う。


しかし俺は人間だ。そんな機械のように冷静ではいられない。


とにかく地球に戻ろう。俺はそう思った。が


「リアクター不調のため、現在のエネルギー量では確実に1週間はかかります。


水や食料はともかくとして酸素が足りません」


え、俺ここで死ぬの?


こんな宇宙の真ん中で、一人寂しく。


「一応、私が看取ってあげます。なんなら、引導を渡してあげてもいいですよ」


「てめー、殺す。お前を殺して俺も死ぬ」


「私をどうしようが、景一は間違いなく死にますよ。


そもそも私の脳ユニットはコクピットから手を出せる位置にはありません。www


まあ、あまりいじめても仕方ないので」


そう言ってエリシエルが取り出したのは


「じゃーん、人工冬眠ガス」


青いたぬきロボットのようなセリフを言いながら、エリシエルは説明した。


「非常時用のこのガスを使えば、ずっと眠ったままで居られるので酸素消費が抑えられます。


地球まではなんとか持つでしょう」


地球までの機体操縦はエリシエルに任せ、俺はガスによる人工冬眠状態に入った。





そして1週間後、俺たちは地球にたどり着いた…と思った。


「地形が全く違いますね」


「地球か。なにもかも皆懐かしい」


「何、某宇宙戦艦の艦長みたいなセリフを言ってるんですか。現実逃避しないで、よく見て下さい」


最近気づいたのだが、エリシエルはアニオタのようである。


特に1980年代の古いアニメがお気に入りで、俺のビデオライブラリをこっそりと見ているようだ。


「地球ではないのでは?」


「そんなことはない…と思う。と、とにかく大気成分をチェックしてくれ」


位置や大きさは間違いなく地球なのだが、その惑星は明らかに地球と異なる外見をしている。


ヴァーンとの戦いで地形が変化したとも考えられるのだが、ここまで地形が変化するとはどうにも考えにくい。


光学スペクトル解析による大気成分の分析を終えたエリシエルが報告を行った。


「酸素濃度25%、残りのほとんどは窒素、及び二酸化炭素などのガスが極微量含まれています」


機体内の酸素はもう残りわずか。


一応呼吸可能のようなので降りて見ることにした。


「大気圏突入する。その後、着陸するのにいい場所を探してくれ」






おかしい。いまだにファンタジーにならず、SFのままだ。流石に次の話からはファンタジーになる、と思う。

そして恒例の裏設定、特にストーリーとは関係ないので、無理に読む必要はないです。




マックスウェルリアクターとハイパーキャパシティ


マックスウェルリアクター(MR)は人類が異星生命体とコンタクトした際に手に入れたオーバーテクノロジー、いわゆるエイリアンテクノロジーの一つである。

(マックスウェルリアクターは、エーテルリアクターと呼ばれる時もある)


MRの理屈を簡単に言うと、何もないところからエネルギーを引き出す装置である。

ゼロからエネルギーを引き出すと、そのエネルギーと同量の負のエネルギーとでも言ったものが現れる。

ゼロから1を引くと、マイナス1になるようなものである。

通常、この負のエネルギーはそのまま捨てられる。

捨てられた負のエネルギーは周囲のエネルギーや物質と接触し消えてしまう。

そのため周囲からは、リアクターがエネルギーを吸い取っているように見える。

ブラックホールの蒸発の逆を行なっているようなものである。


MRのエネルギーは、ほぼ100%に近い効率で電力として放出される。

普通なら熱やガンマ線などが大量に発生し、それをジェネレーターで電気に変換するので、どうしてもロスがあり膨大な熱が出るため別個に冷却装置が必要になる。

MRは直接電気を作り出すことができるのでジェネレーターも必要なく、冷却装置も最低限のものだけですむ。

欠点があるとすれば、出力があまり高くないことである。

この欠点を補うために用意されたのがハイパーキャパシティ(HC)である。


HCとはぶっちゃけたところ、非常に容量の大きい電池の様なものである。

HCもエイリアンテクノロジーの一つである。

これまで使われたバッテリーなどと比べ桁違いの容量を持っている。

上記で述べたようにMRの出力はあまり高くないため、レーザービームなどの兵器は容量不足で使用できない。

そのため、足りない電力をHCから引き出して使用するのである。




カルガリー博士による、ポイントαに関する説明会の内容の一部


ポイントαに関してはヴァーンの新兵器だと思われるが、その実態についてはよくわかっていない。

内部に重力を操作してマイクロブラックホールを作り出す機関があることは突き止めたが、マイクロブラックホールは作り出しても即座に蒸発してしまうため、これを兵器として直接使用するということは考えにくい。

現状考えられるのは、マイクロブラックホールによって作られた高温高圧の空間を利用しストレンジ物質を作るのが、その目的ではないかと思われる。中性子星の内部にしか存在しないストレンジ物質を作り出す事が出来たのなら、太陽系はごく短時間でストレンジ物質に飲み込まれることになる。

だがこの場合、地球も完全に消滅するし同時にヴァーンもストレンジ物質に飲み込まれてしまう。

ヴァーンにとっても人類にとっても不利益にしかならない。

ヴァーンが人類を侵略しているのは、侵略後の地球なり人類なりに利用価値があるためだと思われるので、双方不利益になるストレンジ物質を武器として使用するのは非常に不可解である。

もう一つ考えられるのは、マイクロブラックホールを使って空間を歪め他の空間と接続することである。簡単に言えばワームホールを作るということだ。

だがこれにも意味がある様には思えない。異性生命体の考えることは全く不可解だ。



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