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十三日は金曜日?

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ドラゴン戦から数日。村はもと通りの平穏な日々になり、俺はグライドで開墾をする毎日に戻った。エリシエルは合間を見て、壊れた剣の代わりの武器を作っているようだ。まあ、あいつのことだから又ろくでもない武器なのは間違いないだろう。

そんなある日のこと、俺はフロイデルさんから呼び出された。なんでも、王都から連絡が来たらしい。詳しい話を聞くためにフロイデルさんの家に向かった。


フロイデルさんの家に着くと、彼は機人の整備中だった。フロイデルさんの愛機デュッケバインは天井からチェーンで吊るされ、肩のバインダーや外装部品などが外された状態である。かなり本格的な整備を行っているようだ。

整備に集中しているせいか俺が来たことに気がつかない。しかしこれだけの整備を一人だけでよくこなせるもんだと感心する。俺のアーメスは機体内部のプログラミングされたナノマシンのおかげで、よほど酷い損傷をしない限り、ほぼメンテナンスフリーだ。正直言って一人で整備しているフロイデルさんに罪悪感すら感じる。

俺が声をかけると、やっと気がついたのか整備の手を休めこちらにやってきた。


「やあ、すまない。今度王都で開かれる機構人の武闘大会の為、全面整備を行ってたのである。吾輩も今回は参加するつもりだ」


「いつも一人で整備、大変ですね」


「部品のほとんどはユニット化されているので、悪い部分をまるごと交換するだけなので思っているほど大変と言うわけではないが、実際に面倒なのは交換した後の細かい調整の方だな。昔と違って今は魔導知能があるので、そう言った調整もだいぶ楽になったよ。っと、それでだな、今回貴殿にわざわざ来てもらった理由だが」


話が長くなったので簡単に要約すると、この前倒したドラゴンの件が王の耳に入り、それほど強いのなら今回行われる武闘大会に参加してもらえないか、とのことだった。俺はそういうのはあまり興味が無いが、エリシエルがノリノリで参加したがっている。

エリシエルに強引に押し切られ、大会に参加することにした。


「大会は1週間後。参加希望者は王都で大会の参加申請を行う必要がある。本来は色々面倒な手続きなどがあるため、一ヶ月前に申請を出さないといけないのだが、王直々の希望でもあるので、これから申請しても大丈夫なことになっている」


ふむう、手続きとかめんどいからやめたいなあ。

とりあえず家に戻り、王都に行くことを報告する。

アーウラさんが王都に行きたがっているので、一緒に行くことになる。問題はどうやってアーウラさんをグライドに乗せるかである。

結局、アーウラさんが乗れるコンテナを作り、背嚢にセットすることにした。

もちろんマリエちゃんにも、一緒に行ってもらうことになる。

ギーベルグさんは愛娘が二人とも王都に行くことを心配していたが、ミシェールさんに説得され渋々許可していた。


次の日、フロイデルさんの案内で王都まで行く。

大会参加の申請は、王城で行うらしい。なので、直接王城まで飛ぶ。

前回来た時は城壁の外にグライドを止めたが、今回はグライドごと王城の中に入る。


「申請はどこでおこなうのだろう?」俺の疑問に対してフロイデルさんは


「大会運営事務所がこちらにあるので、そこで受け付けてくれるはずだ」とのことだった。


運営事務所まで行き、受け付けてもらう。その後中庭で機体チェックを行うらしい。簡単な受け付け申請ののち中庭に向かう。王城の中庭は、機人の訓練などにも使用するため結構広い。


「今回の大会では王自慢の機人が多く出場します。あそこで訓練している機人も、王自慢の機体の一つです」中庭まで案内してくれた役員らしき人が言う。


「あの機人は強いですよ。なにせ本気を出せば宇宙が滅びる、とまで言われていますからねえ」


真っ赤なボディにガンダム量産機のような頭部、大きく張り出したいかつい肩。


「イデ◯ン?」


「イデの力で開発された武器は、怪獣も一発です」それは科特隊の井出だろう。


「強い割には、いつも逃げてばかりなんですよねえ。スペースランナウェイとまで歌われています」


頭が痛くなってきた。王様、まともな機人もっていないんですか。


「それでは大会で使用する武器を出してください」役員らしき人が言う。


流石にビームやレーザーなどの兵器は反則だと思うので、一般的な機人が使う槍や剣などの武器を出すのだが、前回のドラゴンとの戦いでガラスの剣は壊れてしまったし、どうしようかと思っていると。


「今回の大会で使う武器はこれです」と、エリシエルが用意したのは、2m程の細長い台の周りに刃の付いたチェーンが回転するようになっている物で、木を切り倒す時に使うあれだ。


「チェンソーじゃん」これって武器なのか?


エリシエルはグライドにチェンソーを装備させる。役員の人も、見たことが無い武器に驚いているようだ。


その時、何かグライドの視界がおかしいことに気がつく。頭部カメラの不調かな?一度グライドから降りて確認してみる。


グライドの頭部には、ご丁寧にアイスホッケーのマスクがかぶさっていた。


「じぇいそーん」


「あのな、エリシエル。ジェイソンはチェンソー使ってないぞ。チェンソー使うのはレザーフェイスだ」


王様のこと、言えないかもしれない。


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