敵はドラゴン、海賊版1
投稿までにだいぶ間が開いてしまった。だって、見たい映画とかいっぱいあるし。新作のハリウッド版ゴジラが面白そうで楽しみ。しかし毎日投稿してる人って凄いと思った。
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フロイデルさんからの通話はその後途切れ、こちらからの応答にも返事は返って来なかった。
「エリシエル、フロイデルさんの位置の特定は出来るか?」
「通話時間が短くノイズが多かったため位置特定は難しいです」
「あっちよ」マリエちゃんが指差した。
「…魔素が異常に乱れてる。間違いなく、この方向」
「エリシエル!」
「了解」
グライドを急速に加速させる。
「各部兵装のチェック」
「戦術兵器として使用可能な物はあまり多くありません。実体弾系の武器は、ほぼ弾切れ。レーザー、粒子ビーム、音波共振機などは短時間の使用が可能です」
グライドは実は戦略兵器なのである。そのため戦術級の武器はあまり搭載されていない。戦略級の兵器はこんな場所で使うには威力が大きすぎる。威力を落とした状態で使用したとしてもツァリーボンバー並みの破壊が起きる。
前方で煙が上がっているのが見える。
「数体の機人を確認しました」
濃紺の機体はデュッケバインだろう。あと、白い機体と二機の灰色の機体が編隊を組んで戦闘している。あの機体、なんか見覚えがあるのだが…。
そして…
「なんじゃありゃあ」
と思わず呟いてしまう程の巨大な体。全体が靄のように微妙に揺らいで見える。周りを飛び回って攻撃している機人が蚊トンボの様だ。
「130mはあります」
細長い首の先端に小さな頭がついている。小さいとは言っても数mはあるはず。身体がデカ過ぎるのだ。おまけに蝙蝠のような翼まである。
「首一本のキング◯ドラって感じですね」
まさにそんな感じだ。文字通り怪獣だろう、これ。
「っと、驚いている場合じゃないな。こいつをなんとかしないといけないんだし。エリシエル、レーザーの準備」
「了解、レーザー発振器起動。出力上昇中。ターゲットを自動追尾。エネルギー、チャージ完了」
「発射」
レーザーが命中するが、身体の表面で拡散され効いている様子がない。
「なんらかの防御層があるようです。擬似物質で防御層を展開しバリアーのようにしていると思われます」
「荷電粒子ビームに切り替える」
「了解。荷電粒子砲、エネルギーチャージ開始。エネルギー充填80%、安全弁解除、ターゲットスコープオープン、誤差修正0.1。エネルギー充填120%、対ショック、対閃光防御。5、4、3、2、1、荷電粒子砲発射」
青白いビームが発射され、ドラゴンに命中する。
「やったか」とエリシエル。
いや、それはやってないフラグだろ。
案の定ドラゴンにはさほどダメージを与えられていない。
「なん、だと」
などとエリシエルが馬鹿な事を言っている。それでも、ドラゴンの注意は引いたようで顔がこちらを向く。
「高エネルギー反応、ドラゴンの頭部に集中していきます」
やべえ、ブレスが来る。慌てて機体に回避行動を取らせる。
大きく口を開け、薙ぎ払うようにして発射されたブレスを、なんとか回避する。
「くそっ、一体何なんだアレは。そもそも、あれだけデカいと普通の生物なら自重を支え切れずに潰れるだろうが」
あまりの理不尽さに愚痴をこぼす。
「肉体が特殊な外骨格で覆われています。おそらく巨大になり過ぎた身体を支えるため、魔法で肉体を変化させてきたのだと思われます」
その外骨格のせいでレーザーもビームも効かないとなると、どうやってダメージを与えればいいのか。
「他の機人はどうやって攻撃してる?」
「剣とか槍で攻撃しているようです」
「効果は?」
「現状ではさほど効いてる様には見えません」
ふうむ、それでも他に良い方法が無い以上、剣で攻撃してみるしかないか。
「光学迷彩起動」
「光学迷彩起動します」
エリシエル自慢のガラスの剣を振りかぶり、ドラゴンに向かって突っ込んで行く。
「どうりゃ〜!」
上段から幹竹割の要領で剣を振り下ろす。ガイ〜ンという音と共に、剣が弾かれる。何回か繰り返すが効いている様子がない。
「全然ダメだな」
「当たり前じゃないですか。粒子ビームが効かないのだから、剣で切れるはずがないですよ」
「……」ドラゴンよりエリシエルに殺意が湧いた。
「あそこ…」マリエちゃんが胴体部分、人間で言えば心臓のあるあたりを指さす。
「魔素のエネルギーの渦の中心部分。そこが最も魔素が薄い」
「どゆこと?」
「台風の目、みたいな物じゃないですか?エネルギーを渦状にして集めている性で、中心部分のエネルギー密度が低くなっているのかもしれません」とエリシエル。
「そこが奴の逆鱗っていうわけか」
その時カン高いアラーム音が響く。
「高エネルギー反応。今までと規模が違います」
ドラゴンもいい加減本気を出す気になったらしい。もうしばらく舐めプかましてもらったほうがよかったのに。
ドラゴンがブレスを吐く。今までと異なり収束されたビーム状のブレスではなく、前方30度くらいの広い範囲にブレスが広がった。
「拡散波動砲かよ」
かわしきれず、何体かの機人がブレスに巻き込まれたようだ。ありゃあヤバイです。
「早くなんとかしないと被害が広がる一方だ」
「こんな事もあろうかと、用意してたものがあります」
お前は真田さんか、エリシエル。
「じゃ〜ん、パイルバンカー。これで奴の逆鱗を撃ち抜きましょう」
出たよロマン兵器。作ったのはこれだけじゃないんだろうなあ。
「他にもいくつか用意しましたが、今回はパイルバンカーをチョイスしました」
「ってか、普通の武器弾薬は作ってないのか?」
「APFSDF及びHEATも少量なら有りますが、普通の武器ってあまり面白くないじゃないですか」
「お前の趣味で武器作るなよ。普通が一番だろう」
「だって〜」
「だってじゃねえよ。HEAT弾使うぞ」
ブーブー文句を言うエリシエルを尻目にHEAT弾をセットする。
「おい、三発しかないぞ」
「製作に必要な材料があまり無いんですよ」
APFSDFとHEATを合わせても10発も無い。仕方ないか。とにかく有るものでやるしかない。
「マリエちゃん、奴の弱点の位置を指示してくれ」
後ろでコクンと頷くマリエちゃん。
モニター上に指示された場所を自動追尾させる。
「うらあ、大盤振る舞いだ」
全弾連続発射。次々と弾が命中して行く。
「擬似物質の層を突破。本体への直接のダメージは軽微」
ちっ、パイルバンカー使うしかないか。
「パイルバンカー、右腕にセット完了しました」エリシエルが嬉しそうに言う。
「ゼオフィールド出力上げろ。突っ込むぞ」
ドラゴンに回り込む様にして、螺旋状に回避しながら近づいて行く。生物である以上、首を捻るのにも限界がある。首を回し切って動きが止まった瞬間に胴体に取り付く。即座にアンカーを打ち込み、機体を固定させる。
右腕のパイルバンカーを打ち込む。一発、二発、三発。固え。まだ貫通しない。
ドラゴンが暴れて身体を振り回す。アンカーが外れ吹き飛ばされる。吹き飛ばされて回転しながらも空中でパイルバンカーが開けた穴にアンカーを打ち込む。アンカーのチェーンを巻き取り、もう一度奴の胴体に取り付く。アンカーごとパイルバンカーを打ち込む。
「貫通しました」
「粒子ビーム起動、エネルギーチャージ終了しだい、即座に撃ち込め」
「了解、エネルギー充填完了。荷電粒子ビーム砲発射」
パイルバンカーが開けた穴に粒子ビームを撃ち込む。
「やったか」
だからエリシエル、それはやってないフラグだって。
次回予告
あれだけやって、まだ倒せないドラゴン。今までどうやって倒してたんだろうねえ。
作者は次のプロットを全く考えていない。次はいつになるか予想もつかないorz
次回、敵はドラゴン海賊版2 期待せず待て。