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雨の国

作者: 三嶋ローファイ

体が重い。昨晩はなんだか寝付けなくて、空が白んでいくのを見た。中学生の時に初めて付き合った彼女が夢に出てきた気がする。何をしていたか、どんな内容だったかは覚えていない。夢なんていつもそんなものだ。


南の風 やや強く 後 東の風 海上 では 南の風 強く 雨 所により 雷を伴い 激しく 降る


嗚呼。今日も雨が降る。もうずっと日の光を浴びていない。死んだ母親はよく太陽の話をした。母さんのエプロンの香りはお日様の香り。

私が生まれる少し前、太陽が死んでしまった。地球には常に分厚い雲が立ち込め、地表の気温は低下した。北半球の多くの国は寒さが厳しく住める状態ではなくなり、南半球の国ですら快適に過ごすことはできなくなった。もう母さんのエプロンの香りがお日様の香りかどうかを確かめる術はない。


水は先月からずっと止まっている。一帯の水道管が凍りついて駄目になってしまっているらしい。身震いをしながら玄関先に置いておいた洗面器から水を調達する。

ハイライトの煙を燻らせながら遠くの山をなんとなく眺める。何か大切な用事を忘れているような気がするし、そんな予定などなかったような気もする。日に日に下がっていく気温は私の感覚や判断までをも凍て付かせるようだ。早く顔を洗って家を出よう。

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