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また逢おうね / 境界線 / 際

*『待ちぼうけ、カプセル、墓石』 150字以内で書いてください。


【約束】(140字)

この場所でまた。あの日確かに約束したのに。待ちぼうけを食らった。その後卒業から10年を経て開けられたタイムカプセルに、僕への手紙が入っていた。守れない約束をごめんねと。何を今さら。僕はこうしてきみに逢いに来た。ちゃんと約束を守ったよ。なのに、きみの墓石は何も応えてくれないのかい。


***(空白・改行含まない):150字


 この場所でまた逢おうね。


 あの日確かに約束したのに、僕は待ちぼうけを食らった。


 その後、卒業から10年を経て開けられたタイムカプセルに、僕への手紙が入っていた。


 守れない約束をごめんね、と。


 何を今さら。

 僕はこうしてきみに逢いに来た。あの日の約束を守るために。


 それなのに、きみの墓石は何も応えてくれないのか。



(10文字だけ増やすとか……)






*『約束、ボーダー、逆上がり』 200字以内で書いてください。


【境界線】(138文字)


約束なんてするんじゃなかった。何度地面を蹴っても上がらない身体に、気力はつきかけ。この冷たい鉄棒が、ボーダーだなんて酷いじゃないか。たかが逆上がりに僕の人生を振り分けられる。超えなければ負け組。そんなの嫌だ! 思い切り地面を蹴った。ぐっと腕に力を入れる。くるり。世界が反転した。


***(空白・改行含まない):197字


 逆上がりなんて、大したことないって思ったんだ。皆、簡単そうに回っているもの。まさか、こんなことになるなんて。


 約束なんてするんじゃなかった。できなかったら、あいつの子分になるなんて。


 何度地面を蹴っても上がらない身体に、気力はもうつきかけて。


 これがボーダー。僕の人生を振り分ける、冷たい鉄の棒。超えなければ惨めな負け組。


 冗談だろ? 


 思い切り地面を蹴った。ぐっと腕に力を入れる。くるり。世界が反転する。






*『花火、暇つぶし、鳥居』 350字以内で書いてください。


きわ】(140文字)


百花繚乱の花が咲き乱れる度に大鳥居のシルエットが浮かび上がる。鏡のように凪いだ海から炸裂する色取り取りの閃光が、まるであの世への入り口を開くかのようだ。闇を拒む光の渦に眩暈を覚える。単なる暇つぶしの思いつきで訪れたにしては、余りの人出と渋滞に後悔しきりの道中だったが来てよかった。


***(空白・改行含む):350字


 それは単なる思いつきの暇つぶしだった。余りの人出と渋滞に、後悔しきりの道中だ。


 やっと辿り着いた会場から見えるのは、連なる団子のような他人の後頭部と、ちらちらと揺れる対岸の灯り。


 破裂音と共に夜空高く一発目が上がる。ついで海の際から吹き上がる光の飛沫。


 百花繚乱の花が咲き乱れる度に、闇の中、大鳥居のシルエットが浮かび上がる。

 凪いだ海から炸裂する色取り取りの閃光が、あの世への入り口を照らし出す。


 光の渦に眩暈を覚え。


 点滅する鳥居が呼び掛ける。今、この時なのだと。

 一瞬の光芒が、磨かれた鏡面のような海の上に道を作る。

 歓声に紛れる波が呼び掛ける。


 くぐれ、と。


 いつしか人混みを掻き分けて、波の忍び寄る浅瀬を進んでいた。サイレント映画のような音のない世界を。





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