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吉野のこと

 漫画をウェーブで立ち読みしていて、


「セックスはいつだって男のせいって思ってますか」


 というセリフで、ふと思いだしました。


(「先生の白い嘘」鳥飼茜作。単純にセリフに触発されただけで、この漫画内での設定、場面、内容とは一切関係ありません。)




 かなり以前にいただいた、「胡桃の中の蜃気楼」の吉野評。


「あの年齢で女性を泣かせるなんて!(ぷんぷん)」


 この時、上記のセリフとまったく同じことを考えて、ははは、と笑ってしまったのです。


 ここで問題とされたのは、吉野とマリーネの関係性についてです。


 マリーネと吉野がつきあっていたのは、彼が15から16歳の間(第6~8章)。彼女は10歳ほど年上の設定です。

 吉野は完全に彼女の弱みにつけ込んでいた。けれど、マリーネにはマリーネの打算があり、つけ込まれていることを承知で受け入れていた。そんな関係性の上で、情が湧いて、執着を感じ、泣きをみるのは彼女の自己責任であって、ルール違反。そんなふうに考えていました。


 マリーネのそういった弱さを利用する吉野に反感をもたれるのは当然と思うけれど、マリーネの嘆きに対して、彼に責任はあるのか?


 性の問題は、常に男の責任なのか?


 まぁ、実際、吉野はずるいし卑怯だけどね。年齢とか性別関係ない、現実の力関係の上でのパワハラ。

 でも、このマリーネ、吉野よりずっと年上で大人の社会人。おまけに婚約者もいる。それなのに自分で自分の問題を解決することができず、吉野に頼る。情にすがる。もっとビジネスライクに対応すれば、彼につけ込まれることもなかったのに。彼女が毅然としていれば、吉野はそれでも、どうこうしようというほどの執着も関心も、彼女に対してもちあわせていないのに――。甘い言葉で囲い込めば、いくらでも自分に取って都合のいい存在になる、そう吉野に思わせる依存心がマリーネには透けて見える。


 といってもこのあたりの経緯はいっさい本編には書いていません。でも最初の出会いから、吉野が彼女に恋愛感情を抱くとは考えにくい、女性として媚を前面に押しだしてくるマリーネに、吉野は侮蔑的な心情を抱いていることは書いています。


 結局マリーネは、女であることが自分の利点であり武器であると知っていて、吉野と対等のビジネス関係を構築するよりも、手っ取り早く、その武器を使って彼に接した。それを見透かしているから、吉野も遠慮も良心の呵責もなくのっかる。


 おまけに、「どうせ俺、馬鹿で未熟なお子さまだもの!」と、未成年の自分と彼女との関係が公になれば、非があるのは彼女の方、と笑って言ってのける。


 そんな関係性でも、吉野は「女を泣かせる悪い男」なのだろうか? 泣く女は悪くないのか? 相手は未成年なのに、挑発的なパワハラにたやすく乗っかり思考停止した上、その関係性そのものを冷静に見据えることなく愛着して、現実に引き戻されて初めて、我が身を恥じる。


 実際、マリーネのパートは少ないし、複雑な彼女の周囲の関係性は描けてないし、吉野との関係も、吉野からの言動でしか解らない。だから読み解き辛さはあったのだろうな。



 ずいぶん前のパートです。今でも吉野のこういった、女性に対する搾取する姿勢は変わっていません。

 最近、恋愛コラムを熱心に読んでいるので、「性の責任」というものを考えてしまいます。たいてい、女性からみた恋愛観なので、そういった基準から見ると、吉野みたいな男は最低の部類でしょう(笑)。

 

 ただ疑問に思うのは、パワーゲームとして始めた恋愛が、なぜつき合う、結婚するとなると、途端に人間と人間の認め合う関係性の問題として分析・批評されるのか。始まりが違うのに。


「性を搾取する」男に対して、「性をひけらかして」近づいてくる女には、「性の責任」はないのでしょうか?


 この性の搾取と責任は、「夏の扉を開けるとき」のアルの問題として、引き継いでいます。





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