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「霧のはし 虹のたもとで」完結によせて

「霧のはし 虹のたもとで」長期に渡る連載にお付き合い下さり、ありがとうございます。


 今回のこの物語、霧の中、自分自身の無意識を旅するような過程でした。もう、わけわからんのなんの。


 この題からしてがそう。眠っていた時に浮かんできた題です。ストーリーも、登場人物のキャラクターすら決まっていないのに。


 決めていたのは、「黄昏時に残る祈り」の息子の話にしよう、ということだけです。

 きっかけは、感想欄でいただいた、子どもはこの父親をどう受け止めるか、という問い掛けでした。私は、漠然と、父を待ち続けると思っていました。でも、本当にそうなのか、と知りたくなりました。そして、男の友人がどんなふうにこの子を育て、この子は自分自身が大人になった時、どんな選択をするか見てみたいと思いました。


「山奥の神社に棲むサラマンダーに出逢ったので、もう少し生きてみようかと決めた僕と彼の話」のコウの一人称になったのは、たまたまイギリスへ渡ってからの彼の話を書きたかったのもあって、丁度いいや、えいって感じで決まりました。アルビーは頭の中でうだうだ考えるタイプではないので、一人称主人公には向かなかったからです。

 連載開始時、恋愛ものになる予定は皆無でした。自分の中で、ファンタジーの主人公が恋愛するのはあかんやろ? な意識がありました。旅に目的意識があるからかな。なのにこの展開……。かなり、どうするんだ、これ、な感じで流されています。


 この横着さが、ズボラさが、とんでもない墓穴になっていくのでした。


 これはコウ視点のアルビーの物語だから、サラマンダーくんもファンタジー要素もなし。これ絡むと面倒くさいから。と、呑気に日常系~、と始めたのはいいのですが、真面目なコウくん、全てを捨てて恋に溺れてくれない。自分の使命を忘れない……。サラマンダーの彼への影響力絶大……。

 まいった、まいった。


 コウの旅編なんて、イースター休暇中、この二人ずっとイチャイチャしてんの? めんどくさ……。どっか行っちゃへ、えい! で旅立ち、更に巨大な墓穴に落ちていくという……。もう墓穴(ぼけつ)どころか、墳墓並みの墓穴(はかあな)に育ちました。

 ストーンヘンジは本当にただの思いつき。レイラインはストーンヘンジを調べていて初めて知った。コウとショーン以上に計画性のない作者です。そうしていざ旅に出てみると、スピリチュアル方面に転がりまくりで、本当にもうどうしようかと……。(涙)まったく知らない土地を書いているので、旅行気分で無茶苦茶楽しかったんですけどね。全編通して一番好きなパートかも。この墓穴パート。




 それでもなんとか旅を終え、本筋に戻れました。


 そして、設定段階で、これを入れると後で絶対苦労するぞ、と薄々感じながら、この選択は外せない、という「臨床心理」というアルビーの設定がいよいよ前面に。


 主人公を設定する時に考える、生い立ち、育ち、環境に加えて、仕事、あるいは専門分野は特別頭を悩ますものがあります。


 生来の気性や性格とは別に、自分が選択して打ち込んできた専門分野に携わる人には、職業的な思考の癖のようなものがあると思うのです。

 同じ職につく人だって様々な個性がある。けれど、一般的にぱっとイメージしたり、ああ、なるほどと思えてしまう、「らしさ」のカラー。


 アルビーの個性の上に培われた臨床心理を学ぶ院生らしい、それらしい思考の型。そして彼が学んできた学問のノウハウでは処理できなかった自分自身の心。


 自分のことでさえアップアップしているコウの向き合うアルビーが、コウに見せるもの。


 彼が最終的にどう選択するかは早い段階で決まっていたのですが、その過程でどんなふうに自分を晒していくのかが本当に判らなくて。


 ついでに、途中で観念して出した魔術要素がどんどん本流に混ざっていくのも想定外で、本当に、掬い上げた水鏡に映る世界は混沌でした。



 別世界を覗き込んでそこに流れる物語を写し取る。

 そんな書き方が自分は好きなのですが、これはジャンルが細分化され、一定のテンプレや、型の内の安心感が求められるネット小説には、つくづく向いていないな、と思ったのでした。



 こんなややこしい話を、それでも読んで下さりありがとうございます。


 




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