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月の笑い声が堰を切り・振り返り

 マグネット! 第七回三題噺。 お題は「ドール」「本」「靴下」


「ゼロワンゲーム140」の『作り手のいる風景』より、【人形作家】をリメイク。


【人形作家】


「退廃的だと言うけどね、」


 彼は笑みを浮かべ、棚に並ぶ気怠げで背徳的な香りのするビスクドールに愛おし気な視線を投げかける。


「たかが人形遊びじゃないか」


 愛した女の面差しそのままの、甘美な毒に蝕まれ絶望に喘ぐ表情が、彼を人気作家に押し上げた。


 人形のモデル、彼の妹はもうこの世にはいない。




 これも元々三題噺『絶望』『毒』『退廃』のお題。全部ワード残っているから、合わせて六題噺かな?


 

 今回はちゃんとお知らせチェックしていたので二日前にはお題が分かっていて、おまけに「ドール」のツイノベあったなぁ、と、とんとん拍子。

 でも第二回の「緑青の記憶」とテーマ的に被るし、設定も被りそうで迷いました。


 それがあっという間に(出来上がりまでに時間はかかっていますが)行っちゃえモードに入ったのは、タゴールの詩に一目ぼれしたからです。


「月の笑い声が堰を切り」なんて、美し過ぎるでしょう!


 翻訳文は「おお、ロジョニゴンダよ」なのですが、日本語訳の月下香に、更に一般的なチューベローズのルビをふりました。


 この月下香という花がまた面白くて。夏に咲く白い花です。花言葉が、「危険な関係「危険な楽しみ」その理由が、夜になると強く、甘く、香るから。

 マシューのあだ名を「月下美人」にしたのも、夜に咲く強く香る花、だったからなんですけどね。

 そして、この月下香、二輪ずついっしょに咲くことが、男女を連想させることにちなみ、花言葉の「危険な関係」に繋がるのだそうです。


 花、面白い!


 私の書くものには、結構花が出てきますが、特に花好きという訳ではありません。イングリッシュガーデンは見るのは好きです。園芸はできません。

 たびたび登場するいろんな花たちは、その都度調べて書いています。イギリスと日本、季節どれくらいズレてるんだ? え! 向こうの芝生は年中緑! こっちの紅葉シーズン、もう葉が落ちてるって! 嘘、赤い葉っぱの樹ってそんなにないの! 季節感を出すのにかなり苦労しています……。

何と言っても、「夏の嵐」。園芸ページをかなり頑張って読んでいました……。


 と、話が脱線してしまいましたが。

 タゴールの「月の笑い声が堰を切り」は、結婚の儀の詩みたいなんですがね。中身のイメージはかなり違います。ラストの「狂える風」という表現もこの詩の一節から。



 たまにドハマりする詩や文章に出会うと、こういうことになります。「胡桃の中の蜃気楼」の『春の墓廟』みたいに。あれは、イエィツの詩で庭を造りたかっただけのパートです。ついでに、途中で通る庭の風景は私の好きなシシングハーストガーデンを参考にしたりしています。


 また脱線してる……。花に詳しくはないのですが、庭好きです。



 内容に関しては、まぁ、イメージははっきりしているのですが、ぼんやりとした花の香りのように、ふわりと受け取れるような感じで、好きなようにイメージしていただけるといいなぁ、と。


 

 あんまり振り返りになってない。タゴールはいいぞって、言いたかっただけのような……。そうです。美しい言葉はこんなふうに、本人の預かり知らぬところで、人を動かしているのでした。

 






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