振り返り・三題噺四編「薔薇色の襞」から「茜色の残響」まで
*「薔薇色の襞」
第一回三題噺。 お題は「唇」「岩塩」「黒猫」
そう言えば、前に友だちにローズピンクの岩塩をもらったなぁ、と、食器棚に置いたまま忘れていた岩塩を引っ張り出し、確か、ヒマラヤから採れるんだったっけと、検索し。
岩塩鉱山を調べていたら、面白くて。いいなぁ、秘境。
どうして塩は魔除けになるのか? と訊ねた時、「生命の源だからじゃないのかな」と教えられた。そんな事も考えながら眺めていたパキスタンの岩塩坑道の内部は、内臓のようで、ぶきみで美しかった。
この薔薇色が全部塩で、それを掘り出して、切り出して食するのって、地球の躰を食べているみたいだなぁ、と朧げに思いつつ。
こんな話になっていました。
「黒猫」「唇」は消化しただけ。調べていると、パキスタンの人は猫が好きじゃないらしく、猫そのものあまり見かけないそうで。
この四篇の中では一番好きかも。書き直したらもう少し、解りよく深みのある話にできるかもしれない。
* * * * *
*「緑青の記憶」
第二回三題噺。 お題は「拳」「鉛筆」「錆止め」
錆止めを調べていて、鉄以外の金属で、と、ふと思い至ったのが銅。
「緑青」という言葉の持つ色彩と響きが凄くツボ。
企業のコンテストの導入にしたのは、ブロンズ像を調べていて検索のトップに出て来たから。
書き上げてから、「はぁ?」と顔をしかめた。
書いている途中は、石膏なら内側に死体も可だけど、ブロンズは製法的に無理だな、とか、石膏の中の死体もありきたりだな、とか、つらつら考えていたけれど。
黒光りのする裸体のブロンズ像、幾度となく人が触る、というか擦る箇所の塗料が落ちて本来の金属色が出てきて艶光るのも、調べていて、偶然ヒットした画像にあっけに取られたから。何故、そこに触る? 本能ですか?
自分で書いていてなんですが、こういうタイプの芸術家、気持ち悪い。
風景イメージは、軽井沢な感じ。
* * * * *
*「紅の葬列」
第三回三題噺。 お題は「磁石」「粗大ごみ」「台風」
余りにタイムリーなお題に、まず顔をしかめてしまいました。台風被害がまだ記憶に新しい時でした。
だから象徴的な意味で使おうと思っていたはずなのに、できたのはこれ。そのままじゃないか!
結局、頭の中を占めるものがアウトプットされる訳で。
今回は本当にお題を生かせていなくて、無理くり使用した感満載。
なんで金魚にこだわったのかは、自分でも謎。灯篭でも良かったんじゃないのかと思うのに。灯篭作りでは、お盆や、供養のイメージが強く出過ぎるから無意識に避けたのかな?
心理描写的に、薄いな、と言うのが一番の反省点。
* * * * *
*「茜色の残響」
第四回三題噺。 お題は「メール」「神」「リス」
以前書いたお題「メール」のツイノベが被ったので、リメイクすることに。
三題噺のテーマは「色」に決めているので、まず題名の色から。夕暮れと血の色から茜色。残響にするか、残照にするか迷った。声で始まるから残響。残響にしたから、音に拘ろう。
音の描写。蝉の声。風車。携帯。
それから、「リス」。映画のカメラワークを意識して、「僕」の視線が追い掛ける。
色の対比。
海の青。夏の緑。杉板の黒っぽい茶。白い腕。血の赤。
こうして振り返るとよく解る。ストーリーも、構成もへったくれもない。ただの描写。スケッチ。何やっているんだろう?
初めは島に帰って来る場面から書き出して、祖母に関する記憶で続かなくなって、冒頭を別の場面に入れ替えた。
この彼の立ち位置の、中途半端な説明、要るんかな? と思う。サスペンス構成にするなら、彼が神社にいる理由をもっと具体的で意味のあるものにした方がいいんじゃないか?
愛がないなぁ。
書き上げてから本当に面白くなくて、深く反省した一篇です。
でも、景色や空気を描くのは本当に好き。しみじみ実感。
* * * * *
全体を振り返って。自分のやっていることに満足な意味を見出せない。これじゃあ、駄目だと反省。
情景描写は楽しいけれど、それはどこまでもスケッチみたいなもので、小説じゃない。もっと描きたいものを明確にしてから書かないと、その風景すらぼやけて見える。
思い入れがないから、仕上がったものに満足感が全くなくて、やっぱり駄目だと感じてしまう。
長編を書くときとはあまりにも違うので、多分、脳の使っている部分が違うので、もっと、ぎゅっと濃縮した書き方が出来るようにしたい。
自分の文章のどこが駄目かっていうことじゃなくて、もっと根底にあるイメージの掴み方が、自分のしたい事とズレている、と悟った次第です。




