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翼 / 終わらない運命 / 条件

*「飛べない鳥は不幸でしょうか」で始まり、「また一から始めよう」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば5ツイート(700字程度)でお願いします。

#書き出しと終わり


【翼】139文字

「飛べない鳥は不幸でしょうか」彼は一点の曇りのない真摯な瞳で僕に問うた。彼のような患者は初めてだった。一般人では持つことが出来ない翼を手に入れたスポーツ選手がその翼を失った時、その殆どが命の一部を失ったとばかりに絶望するのに。彼は違った。笑ってこう言った。「また一から始めよう」


***5ツイート


「飛べない鳥は不幸でしょうか」

 彼は一点の曇りのない真摯な瞳で私に問うた。

 ジャンプスキー大会での試合最中の事故だった。体勢を崩し、文字通り彼はあの空から墜ちたのだ。そして翼を失った。彼はもう二度とあの空を飛ぶことは出来ない。飛べないどころか、歩くことさえ難しいかもしれない。


 だが目覚めた時、彼は涙を流して呟いた。

「僕はまだ生きているのですね」と。

 彼の涙は失ったものへの哀悼ではなかった。自分を生かすものへの感謝の涙だったと後から知った。決して自暴自棄になることなくリハビリに励む彼は理想的な患者だった。

 実際、彼のような患者はそういない。


 一般人では持ちえない羽ばたく力を手に入れたスポーツ選手がその翼を失った時、その殆どが命を失ったとばかりに悲嘆にくれ、絶望するものなのに。

 彼は二度と自分の脚で歩くことさえ難しい自分に課せられた運命を、ただ淡々と受け入れていたのだ。あの若さで、輝かしい未来を奪われたというのに。


 彼への興味が尽きなかった。何故未だ十代の若者が、こうも冷徹で容赦ない現実を受け止めることが出来るのか。何が彼を厳しいリハビリに耐えさせ、生に向かわせるのか。

 ある日私は彼に尋ねてみた。

「大切な人を失って、死の誘惑にかられました。試合の最中に」

 彼ははにかんで答えてくれた。


「だから墜ちたんです。でも、僕はこうして生きている」

 大切な人の命を奪った犯人を見つけるのだと彼は言う。例え歩けなくても、ベッドから出られなくても、絶対に諦めないと。失いかけた命で生き直すのだと。彼は力強くあの空に誓った。「取り戻す事が出来ないなら、また一から始めよう」と。




――――

 飛べない鳥とくると、銀狐ことケネスくん。厳しいリハビリに耐え、歩けるまで回復しました。(「微睡む宵闇 揺蕩う薫香」R18です。)





*『運命、刀、災い』です。200字以内で書いてください。


【終わらない運命さだめ


災いを呼ぶと長年封じられていた刀も、戦争末期になるとお国に召し上げられていた。溶かされ、鉄の塊に戻され、鉄砲の弾になるのだという。災いは数多の銃弾となり、遠い異国でも多くの命を奪うのであろう。安らかに眠ることすら許されず、赤い飛沫を上げるのだろう。呪われた刀の運命は廻り続ける。


***200文字


 災いを呼ぶ、と長年神社に封じられていた刀も、戦争末期になるとお国に召し上げられる事となった。

 鉄は溶かされ、塊に戻され、鉄砲の弾になるのだという。


 刀に掛けられた封印は灼熱に解け、災いは数多の銃弾となり、遠い異国に雨のように降り注ぎ、多くの命を奪うのであろう。

 安らかに眠ることは許されず、赤い飛沫を跳ね上げるのだろう。


 呪われた刀の呪われた運命は、新たな怨嗟を浴びて廻り続ける。






*場所:ビルの屋上

 書き出し:何もせず、ただそこにいるだけで養ってもらえる存在。

 三題:絶対/浪漫/愚痴

 台詞:「納得せざるを得ないね」

 テーマ:デレデレ

 字数:1,080字以内


【条件】


 何もせず、ただそこにいるだけで養ってもらえる存在。そんなものになれたらどれほど幸せだろう。


 会社の昼休みに、澄み渡る青空を見上げ、そっと息を吐いた。ひと気のない屋上は高層ビルの狭間にあり、強すぎる風が通り抜ける。僕は肩を丸めて風を避け、横目で彼を盗み見する。


 どれほど羨んでみたところで仕方がない。彼は自由で、何ものにも囚われず、孤高で誇り高く……。男の夢と浪漫を体現したような絶対的な存在なのだから。


 羨む事がそのまま、そうはなれない自分の哀れな愚痴でしかなくて。



 お飾り程度の観葉植物の置かれたベンチに、今日も彼女が現れた。うちの課のマドンナだ。風に背を向け庇う様に弁当を広げる。そしていつものようにじっと動かない彼の口許に、彼女は笑って焼き魚を差し出した。


 にゃあ、と彼は大きく一声鳴いて。

 

 彼女の弁当のおかずは、彼の好物の魚が増えた。


 ただここにいるだけで、彼は彼女を癒す存在。彼女の心の滋養。


「納得せざるを得ないね」


 僕は小声で呟いた。


 柔らかな感触。しなやかな肢体。温かさ。愛らしさ。全てを兼ね揃えた彼は、まさしく彼女の理想でもあって。


 ああ、僕は彼女に成り代わりたい。僕には決して懐いてくれない彼のあのもふもふとしたトラジマを、ゆっくり撫でさすってみたいのに……。


 彼にも、彼女にもなれない僕は、今日も吐息をもらしつつ、そっと彼らを羨むだけ。



――――


デレデレなのか?





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