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願い事 / 初体験 / 噂をすれば

*『花粉症、鼻歌、願い事』です。280字以内で書いてください。


【願い事】(140文字)


鼻をグズグズと啜り、くしゃみを連発させる僕の横で、こいつは楽し気に鼻歌を歌っていた。僕のこの花粉症がこいつに移ればいいのに! 僕は思わず呟いていた。途端に大きなくしゃみの音。……やってしまった。三つの願いの最後をこんなバカな事に! せめてこの世から花粉症なくなれと言えば良かった!


***(空白・改行含む):280文字


 鼻をグズグズと啜り、くしゃみを連発させる僕の横で、こいつは楽し気に鼻歌を歌っていた。空気が黄色く染まるほど花粉がまっているというのに、「お気の毒」と、こいつは肩をすくめて笑うだけ。


 僕のこの花粉症がこいつに移ればいいのに!


 僕は思わず呟いていた。

 途端に大きなくしゃみの音。


 ……やってしまった。


 三つの願いの最後をこんなバカな事に! せめてこの世から花粉症なくなれと言えば良かった!


 くしゅん! くしゅん!


 こいつに続いてくしゃみを連発する。二重奏だ。

 僕の花粉症はこいつに移っただけで、治った訳ではなかったのだ。






*『世襲、スカンツ、シネクドキ』です。文字数は無制限なので頑張って書いてみてください!


【初体験】(空白・改行含む:140文字)


「スカンツって日本が発祥だったの?」

襲名披露舞台で初めて歌舞伎を目にしたフランス人の彼女は素っ頓狂な声を上げた。

「あれは袴」

「あの子、初めはどうなるかと思ったが板についてきたねぇ」

 隣で爺ちゃんが目を細める。

「板? 舞台は杉? 檜?」

 建築専攻の彼女の瞳が輝いている。


―――


スカンツ…スカートのように見える足首だけのパンツ。


シネクドキ…提喩。隠喩の一種で、上位概念を下位概念で、または逆に下位概念を上位概念で言い換えることをいう。

例)「石」…宝石のことだったり。


襲名披露→世襲

シネクドキは板←舞台のこと で判るかな?





*『突風、乗り換え、苦し紛れ』です。1000字以内で書いてください。


【噂をすれば】


それは、突風が吹き抜ける一瞬の事。次々と人間の躰を乗っ取り、乗り換えていく悪魔が僕の躰を乗っ取っていたんだ。本当だよ、信じて。十字架に驚いて、角を生やしたあいつは黒い霧のように躰から抜け出て…。万引きを見咎められ苦し紛れの嘘をつく僕を、その警備員はにいっと笑って見下ろしていた。


***(空白・改行含む):1000字


 それは、突風が吹き抜けるような一瞬の出来事だったんだ。

 僕は完全に意識を失っていて、気づいたらこれを持って外にいたんだ。本当に覚えていないんだよ。



 冷や汗をかきながら、店の入り口で僕を見咎め狭い事務所に引っ張ってきた警備員に訴えていた。ほんの出来心だったんだ。本当にこんなものが欲しかった訳じゃない。こんなしょうもないおもちゃなんて。こんなつまらないことで僕の人生にケチがつくなんて冗談じゃない。学校に連絡され親を呼ばれ、クラスメイトに笑い者にされる。それだけは嫌だ。


 僕は必死だった。どう言えば見逃してもらえる? 許してもらえる?



 きっと誰かに操られていたんだ。記憶がないんだもの。そう言えば、ずっと躰が変なんだよ。自分じゃないような違和感があって。催眠術でも掛けられて、これを盗ってこいって言われたのかも。



 紺の制帽の下の異様に白い顔は、黙ったまま何も言わない。帽子のひさしの下の眼は僕からは見えない。けれど薄い血色の悪い唇は僅かに口角を上げ、人を小馬鹿にしたような笑みを湛えている。



 催眠術じゃなければ、……そうだ、きっと次々と人間の躰を乗っ取り、乗り換えていく悪魔が、僕の躰を乗っ取っていたんだ。本当だよ、信じて。十字架に驚いて、角を生やしたあいつは黒い霧のように躰から抜け出して……。


 

 こんなのますます嘘臭いじゃないか。


 僕は自分の想像力のなさに泣きそうだ。


 蛍光灯の明るい光は容赦なく僕を暴き立て、幾つものロッカーの並ぶ狭い控室はまるで逃げ道を塞がれたジャングルだ。警備員は差し詰めこのジャングルを守るジャッカルで……。


「それで?」


 妙に響きのある低音が、警備員の口から漏れた? 


 まるで耳を通さず頭に直接響いてくるような声。僕はそっと上目遣いに彼を見上げた。パイプ椅子に腰かける僕を見下ろす彼の顔が、初めてはっきりと見えた。ぞくりと肌が泡立つ。ゆっくりと視線を逸らし、床に落とした。蛍光灯の映す薄い影。ぼやけた輪郭は虚ろで淡い。


 室内に風が通る訳でも、目の前にいるこの警備員が動いている訳でもないのに、この頭上にくるりと巻いた角を頂く薄い影は、自らの意志を持っているかのように揺れ蠢いている。


 僕の苦し紛れの言い訳は、とんでもないものを呼び出してしまったのだろうか?


 額から頬を伝って大粒の汗がぽとりと落ちた。




――――


 噂をすれば影が差す 

 ……(英語では)speak of the devil and he shall appear.



 最近更新が滞っていますが、

「小さな悪魔」 https://ncode.syosetu.com/n6885et/ は、健在です。





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