反転 / 作戦 / 郷愁
*『隣、嘘つき、後悔』です。280字以内で書いてください。
【反転】(138文字)
嘘つき。そんな心の声が聞こえるような隣を歩くきみの横顔。僕は素知らぬ顔をして、どうでもいい話をしている。心の中でチリチリと痛む後悔。そこに開いた穴から嘘が染み出て僕を覆い尽くしていった。もう、僕の中に真実はなくって、きみの思う嘘が僕の真実の姿。それを認めないきみこそが嘘つき。
***(空白・改行含む):280文字
嘘つき。そんな心の声が聞こえるような、隣を歩くきみの横顔。
学校からのいつもの帰り路。僕は素知らぬ顔でどうでもいい話をする。きみは下を向いたまま、小さな声で相槌を打つだけ。
かつて心の中でチリチリと燻っていた小さな後悔は、小さくとも熱を孕んでいて。焦げ付いた穴から染み出た嘘は、見る見るうちに煙幕となり僕を包み覆い尽くしていった。
もう、僕の中の真実は燃え尽きてしまって。きみの思う嘘が今の僕の真実。
だから僕は今日もきみの隣を歩く。嘘を吐き続ける。きみが根をあげるのを待っている。こうして。
解っていて認めないきみこそが、真実の嘘つき。
*『リップグロス、すみつきパーレン、モールス信号』です。文字数は無制限なので頑張って書いてみてください!
【作戦】(136文字)
すみつきパーレンで囲まれた暗号をモールス信号で送る。この暗号文を考えた奴は絶対女だ。単調な信号を打診しながら頭の片隅で妄想が膨らむ。どんな女なんだろう? ぷっくりした、濡れたような唇なのだろうか。こんなご時世に「リップグロス」なんてふざけた作戦名をつける、とんでもない奴。
(すみつきパーレン…【】 ←これ。こんな名前だって知らなかった)
*『屋台、電車、広葉樹』です。200字以内で書いてください。
【郷愁】(138文字)
広葉樹の並木道が黄色い絨毯を敷き詰める頃になると、やってくる古ぼけた屋台の焼き栗売り。この街を離れてからも、同じ木の葉を見る度に思い出す。今年もいるのかと気になってしまう。もういい加減いい年齢だったものな、あの爺さん。電車に乗って帰ってみようか。今は遥か遠い俺の生まれ故郷に。
***(空白・改行含む)199文字
広葉樹の並木道が黄色い絨毯を敷き詰める頃になるとやってくる、古ぼけた屋台の焼き栗売り。小銭を握り締め買いに走った。円錐上に丸めた紙袋にザラリとスコップ一杯分。焦げた殻の切れ目から覗く黄金。香ばしい香りとあの温もりが鮮明に蘇る。
同じ樹の下を通る度に思い出す。
まだいるのだろうか。もういい加減いい年齢だったものな、あの爺さん。電車に乗って帰ってみようか。
今は遥か遠い、俺の生まれ故郷に。




