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漆黒に映る  作者: 夏雪
一章
3/12

3─世界で○番目に大きい国

サブタイトルクイズですね!まあ普通に答えは出ます。

設定ばかりで面倒、とかややこしいわあっ、とか思われるでしょうが…すみません、リルちゃんも異世界知識が要るのです…。




「まずは俺達の居るこの国から説明しようか」


ぴら、と数枚に重ねられた紙束をベッドサイドのテーブルに、広げられる。それには、複雑に、そして多様に描かれた形や線。形の中、その横に文字が記されていた。


「これが世界地図。

俺たちが居るのは ここ。世界で3番目に大きい国。

さて、何と読むでしょう?」


ここ、とトントン、指先で二回叩かれたのは、海に面した大きい場所。台形に近い、少し凸凹した地形。

そこに記されている文字を、今なら読めるまでになった。



「…セヴィリナ、ギルド王国…ですかね」

「正解。俗称はセヴィリナだ。ギルドの国、と呼ばれることもあるよ。

…職業の話の時、ギルド員のことも話したね?」

「はい」


セヴィリナ…、ギルド王国、ギルドの国、か。


職業は、兼業する人も居れば専業にしたり流浪して、元の世界で言うアルバイトをしたりする人も居る。

専業に多いのは聖職や王宮従事関係、家督。…家督は半分強制だったりするから、専業というのも少し違う気もするけど、まあ、それはいいか。


聖職というのは、教会従事者のこと。教会内で務める人は勿論のこと、教師や託児所職員も教会従事者に含まれる。


王宮従事者は、名の通り王宮で働く人。文官、武官、侍従、騎士。王宮専属の研究師や医師など。侍従も、他の貴族の家の人達とは格差があるらしい。


家督は貴族や業者、職人にあたる人達。…まあ、よくあることだし、言わずもがな分かるだろう。

兎に角、専業はエリートだったり地位が高かったりする場合が殆どだ。


元の世界にないものはギルド員、くらいかな。

ギルド員は、そのまま、ギルドに所属する人のこと。

商業ギルドや魔術師ギルドもあるけれど、この世界でギルドと言うと、大抵はハンターギルドを指す。

ハンターギルド(以下ギルド)は、薬草やレア素材の収集をする他に、この世界で公式に認められている、所謂裏家業を行うギルドのことだ。匿名や著名で依頼をし、成功報酬や条件を基にギルド員が依頼を受ける。流浪人の多くは、一時契約のギルド員として働くという。



「ギルドは、全世界で約200ほどが、ギルド連盟に登録されてる。そのうちの4分の1…50以上のギルドが、この国、セヴィリナに在籍しているんだ」

「4分の1…?」

「そう。凄いでしょ?」


コクリ、自然と頷いていた。当たり前だ。広い世界の中の4分の1、約50。…少し、信じられない。フィオさんが嘘を言う人ではないことを知っているから、尚更。


信じられないのは、私がこの空間や空気、この人の雰囲気、遠目から見た窓の外の景色しか知らないからかなのだろう。もし、私が拾われたのが、彼じゃない別の人だったら。…一歩間違えれば、私はどうなっていただろう。

考えるだけでも悍ましい。

切り捨ててくれてもいいと思っていたけれど、いざその場面を想像すると、嫌だと思う。保守的で何が悪い?保身を図るのは誰だって一度は考えるんじゃないの?


それはおいておくとして、最悪の事態を想定すると、私は恵まれ、幸せなのだと、心の底から思った。


「ギルドの話はまた後で。

それで、このセヴィリナの東側の海は、アセロ海。この沖では魚がよく獲れるから、東側の街は漁業が盛ん。

南の海はミュー海。こっちは対岸側にも国があるから、貿易の要とも言われてる。こっちは海水浴客が多い。国内外から多くの人が泳ぎに来てる」


ぺらり、紙を一枚捲り、世界地図を横に置くと二枚目には、さっきまでの世界地図でのセヴィリナの拡大図。その中でも六つに分けるように、複雑に線が引かれていた。


「これが国の地図。東の地方…このフィフが漁業が盛ん。ミュー海に面したここがウィナ。海水浴客や貿易で外国客が多いから観光業が盛んだ。

次は…ここ、かな。海に面していて一番広いでしょ?

王都・ラルティア。俺たちが居るのもここ。王宮とギルド連盟本部が置かれてる、国の要だ」



…王都…ラルティア…。


…此処…、王都だったのか…。

少し…いや、結構な衝撃だ。王都の中にあるとは思えないほど、穏やかだと、私は思っているから。日本の首都や、あの世界の大規模都市が喧騒塗れで、夢かのようだ。

ギルド王国、と言うほどだから、この王都にはギルドが多数あるだろうに。殺伐とした空気を、一度も感じたことがない。…私が知らないだけ、と言うべきが正しいのだろうけど。


「そして西のエルス、北のサウィー、中央にあるのが教会支部が置かれた聖小地ハルア。ここまではいい?」

「…ここが王都の中にあることに、結構驚いているんですが、一先ずは」

「あ…、ごめんね、あんまり一気に教えるとリルが混乱すると思って…。

今日で一週間だし、リルが置かれてる状況も含めて、地理を教えるつもりだよ」

「…そういうのは先に言ってほしかったです…」

「あー…ごめんね?」


本当に申し訳なさそうに言われて、首を横に振る。

…どこか抜けてるんだよなぁ、この人。心づもりですらできなかったではないか…。まあ、いきなりの暴露で次は何が来るんだ、と荒療治な心づもりはできたけど。


ここでフィオさんが教えてくれた情報を整理しよう。


東の海がアセロ海、アセロ海に面した街がフィフ。主に漁業が盛ん。

南の海がミュー海、ミュー海に面した街がウィナ。ここはどちらかというと南西の方角にある。貿易と海水浴で観光業が盛ん。

西がエルス、北がサウィー。

中央の小さい場所がせいしょうち、ハルア。…せいしょうちとは。

…。えっと、そして、全ての街に大小問わず接しているのが王都・ラルティア。



「せいしょうち、とは?」

「教会や聖者を示す聖、その小さな地…要は、それぞれの国にある聖地のこと」

「へぇ…」





クイズの答えは…いいですね、はい。

地名、なんだか似てるところがあるような…あれ…?まあ、全部覚えるのは大変なので(夏雪も正確に覚えられてないくらいには!)、今は王都・ラルティアさえ覚えておけば問題ないですよ!←


2018.09.07 ギルドについての説明を一部修正しました。

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