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迷宮と骨  作者: sam
第一章:洞窟と骨
6/6

進展 中編

ながらくお待たせいたしました。中編です。これからもよろしくお願いします。


 「おーい、マリー。いつまで寝てるんだー」


 まだ夢うつつな状態で私は返事をした。


 「ふぁい・・・すいません・・・。おはようございます・・・」


 「おう、おはよう。指輪、こんなんでいいかい?あまりもんで作ったからダサかったらすまんな」


 セルジオが見せてきた指輪は粗削りだが確かにきれいなものだった。真ん中になにかしらの宝石が埋めこまれているのがとてもきれいだった。


 「わぁ!きれい!こんな素敵なものいただいていいんですか?」


 「ま、つけてもらわなかったらこっちも困っちまうからな。さ、つけてみな」


 右手の薬指にはめてみる。サイズはぴったしだ。しばらく眺めてから彼にお礼を言った。


 「ありがとうございます!大事にしますね!」


 「そんなに喜んでもらえるとは思わなかったよ、こっちこそありがとな」


 セルジオの照れ隠しのような動作にかわいいところもあるんだなぁ骨だけど、なんて失礼な感想を抱きつつ指を頭上に持っていき、にやにやと指輪を眺める。その姿が面白かったのか彼も私につられて笑いだす。


 「もう!なんで笑うんですか!!」


 「いやーなんか微笑ましくてさ!やっとかわいらしい姿がみれたなぁと。」


 「なんですか!ずっと仏頂面のかわいげのない女の子に見えましたか!!」


 「いやぁそういうことではなくてだな・・・。俺と会ってからずっーと緊張っていうか、気を使っているっていうか、そんな感じだったから。」


 「それは・・・緊張してないって言ったら嘘になりますけど・・・」


 気が付いたら洞窟にいて、骸骨があって、生き返らせたと思ったら骸骨のままで、それでもちゃんと人間らしくて・・・。これで緊張しないほうがおかしいだろう。でも、今は違う。


 「でも、もう大丈夫です!セルジオさんもいますし!」


 「ま、そうだな!気負わず気楽にやっていこうや!」


彼の言う通り、私は少し気負い過ぎてしまっていたのかもしれない。悲しい気持ちや不安な気持ちばかりに気が向いて、うれしい気持ちや安心できる気持ちに気が付いていなかった。


 「そろそろ儀式はじめますか?」

 

 「そうだね、儀式はじめちゃいましょうか。ちょっとそこ座ってくれる?」


 軽くうなずいてから言われたとおりに座る。


 「さ、まずは目を閉じて、深呼吸をしてみよう。」

 

 深呼吸をする。


 「いい感じ。深呼吸はつづけたまま、指輪をつけてるほうの腕を前に出して。」


 深呼吸を続けたまま。右腕を差し出す。


 「それじゃあ最後だ。指輪を意識しながら、俺と握手をしよう。」


 指輪を意識。セルジオと握手。


 沈黙。1分、10分、30分、1時間。どれくらい時間がたったのかはわからない。寝て起きたのと同じような感覚。これで夢でも見ようものなら私は寝ているのだろう。


 「よし、もう目を開けてもいいよ。儀式は滞りなく完了しましたっと。これからよろしく、ご主人様

!」


 儀式が終わって早々におふざけモードに入るセルジオ。切り替えが早いなぁなんて感心しつつ、最後に言い放った言葉について言及する。

 

 「ちょ!やめてくださいよ!ご主人様なんて!」


 「わるいわるい。こう呼んだほうがいいかなってね。なんか変わったことはある?」

 

 「いえ、特には・・・。でも、なんだか指輪のところが熱いかも?」


 「ま、それは正常な反応だし、気にすることはないよ。そのうち無くなっちゃうからさ。」


 儀式はこんなに簡単なものなのかとか、本当にセルジオを使役するのか、この洞窟から出ることができるのか。疑問が尽きることはないけど、ひとまずは彼の言葉を聞いてから質問することにした。


 「とりあえず、なにか命令してみてくれよ!指輪をつけてるほうの腕を前に出して命令する、簡単でしょ?」


 「やってみます・・・!」


 彼に言われた通りに右腕を前に出し、命令をしてみる。


 「お水を持ってきてください!」


 「え?そんなこと?なんなら儀式前でもやってあげたのに。とと、こんな風になるんだな、勝手に動いてるみたいだ」


 持ってきた水を私に渡して続けざまに彼は、


 「マリー、君はやっぱり才能あるよ。将来は大魔法使いじゃないか?」


 「魔法使い?おとぎ話のあれですか?」


 魔法使い、私が大好きなおとぎ話に出てくる不思議な力を使う人。なんでいまそんな話を?と疑問に思っていると、


 「あぁごめんごめん。まぁそのうちわかるよ。さ、この洞窟から出ちゃおう。」


 「・・・?わかりました、私は何をすればいいんですか?」


 「ま、とりあえずついてきてよ。向こうについたら話すからさ。」

 

 彼はそう言って私に背を向け洞窟の中を歩いて行った。


 

 


 


 

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