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迷宮と骨  作者: sam
第一章:洞窟と骨
5/6

進展 前編

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 夢を見ていたような気がする。いつもとは違う不思議な夢。体験したことのある、とても身近な夢。思い出そうとしても記憶にモヤが掛かって思い出せない。なにかとても大事な・・・


 「おはよう、マリー。よく眠れたかい?」


 陽気な声で私の名前を呼ぶのは昨日私が助けた骸骨あらためセルジオである。


 「おはようございます。おかげさまでよく眠れました」


 平らでない場所で寝たせいか体が少し痛いがなにか支障が出るわけではないので特に問題はなし。


 「おーそりゃあよかった。おじさんこの体だと寝れないみたいなんだよね」


 「え?そうなんですか?なんかすいません…のんきに寝ちゃってて」


 訂正、問題大有りだった。のんきに私が寝ている間、彼はずっと1人で眠れず悩んでいたのだろう。とても残酷なことをしてしまった。


「いやー、それがね?寝ようと目を閉じてみてもさ、俺まぶたなかったわ!」


「こ、こんなに真面目に悩んでたのに嘘だったんですか!!」


「ん?あ、ごめんね?寝れないっていうのは本当。今のは軽いおじさんジョークってやつだよ。気に障ったのなら謝る、すまん」


「あ、はい。なんだかそうなんじゃないかと思いました。寝れなくて何か不便なことってありますか?私に出来る範囲でなら協力しますけど」


「んー、まだ1日しか経ってないしよくわからないんだけど、多分ないんじゃないかと思うね。眠いっていう感覚もないし。ただ睡眠による体力回復が出来ないのはちょっと痛いかな」


真面目な顔(?)をしてセルジオは答える。確かに睡眠をとることによって体力を回復できないのは痛手だ。本人曰く問題のない範疇らしいので、彼の言うことを信じてみる。


「そうだな、あと君が寝ている間は少し寂しいかな…なんてね、ジョークだよ、ジョーク」


「そ、そうですか。お世辞でも嬉しいです」


赤面しつつ答えた。おちゃらけた雰囲気が全くない彼にここまでドキドキさせられるとは。いつものあの雰囲気がなかったら本当にいい男なんだろうなぁ、骸骨だけど。


「で、これからどうしますか?ここからの出方もわからないですし」


「この前言っただろう?でる方法はあるってさ。でもとんでもなく難しいから下準備してからな」


「わかりました、私に何かできることありますか?手伝いますよ」


「そうだなぁ、なるべく体力を使わずにいてくれるかい?君が主役だからバテてもらっては困ってしまう」


「主役…?」


どうもこの洞窟から出るには私の力が必要不可欠らしい。


「君は知らないだろうけど、この世界には何かを使役できる人たちがいるんだ。ある人はそこら辺にいる家畜。ある人は死者。またある人は人間。それの応用で私を使役できないかなぁと」


とんでもない言葉が出て来た。私がセルジオを使役する?全くもって現実味を帯びないその言葉にハテナを浮かべていると


「まぁ単純に言っちゃうと使役してるとさ、強くなれるんだよ。使役してる側も、されてる側も。体力も、筋力も、知性も、全部がさ」


「そ、それをするとこの洞窟から出ることが出来るんですか?」


「正確に言うと出られる、"かも"だな」


妙に自信なさそうにセルジオは否定した。強くなってもなお出られるか怪しい洞窟に少し畏怖を抱く。


「それをするには何が必要なんですか?」


「んー、これと言ったものはないんだけど。知性生命体を使役するときには原則両者が同意してないとダメっていうルールがあるな。後大事なので言うと、お揃いの何か、だな」


「お揃いの何か?要するにペアルックをしろと?」


「いやーそう言うわけじゃないんだけどね?おじさんがマリーちゃんとペアルックがしたいからデタラメ言ってるとかじゃないよ?」


フランクに接してくるセルジオに戸惑いつつも深呼吸をして一旦冷静になる。こういうのは焦ったら負けだ。


「そんなこと気にしてないですし、早く本題に入ってくださいよ!」


「ごめんね?おじさん久しぶりに話せるからつい…」


「そんなにふざけた顔で言われても困るんですけど…」


「うん、ごめん。悪ふざけ終わり!説明するね。お揃いのものといっても神聖なものでなけりゃいけないんだ。神聖な力がこもっているなら俗に言うペアルックでもいいんだけど」


「露骨にペアルックしたいアピールしないでくださいよ、もう…。神聖な力って神様の力を借りてものに込める高等魔法の?」


「ビンゴ。よく分かったね。よく勉強してる証だ、おじさんはなまるあげちゃうよ!」


「そろそろ疲れて来たんで突っ込まなくても?」


「ごめんね!おじさんこういうことしないと死んじゃうの!」


「いや、1回死んでるでしょ、あなた」


「んんー!辛辣!それもまた良し!で、説明の続きなんだけど、実は魔法が使えなくても神聖な力を行使することはできるんだ。ほぼ裏技みたいなもんなんだけど。時間さえあれば誰でも出来ちゃうから秘匿情報として管理されてるものだから秘密ね?」


「なんでそんなの知ってるんですか…って聞くのもダメなんでしょうね」


ダメ元で聞いてみるのも良さそうだが、知って得することは少なそうなので断念。いつも以上に真剣な口調で事を言うセルジオに茶々を入れるのは少しだけ、ほんの少しだけ気が滅入った。


「賢い娘は好きだよ。そこら辺は俺がやっておくから心配しなくていいよ。それより何にするかい?」


「そうですね、お揃いのリングとかどうですか?1番無難だと思います」


「指輪かい?いいんじゃないかな。デザイン案とかある?できるだけそれに寄せるよ」


「特に指定はしませんけど、派手なのは好きじゃないから大人しめなのだと嬉しいです」


「よし分かった。早速取り掛かっちゃうねー」


フラフラと立ち上がり洞窟の奥へと潜っていった。今のやりとりで疲れたのか少し眠たくなった私は、起きたばかりだが眠りにつく。





知らない場所、知らないもの。知っている場所、知っているもの。色々なものがあるこの世界。一歩歩くと世界が弾け、もう一歩歩くと再構築される。仕組みは分からないけど、幻想的で美しい。大きな木の木陰に腰を下ろし、世界を見下ろす。何色にも見える世界に1人の男の子。


「マリー、これは…」

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