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COLORS☆MAGIC  作者: 朱月えみ
1章:始まりの唄
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始まりの唄15

▽『せいりゅう』って?


「金平糖……。アセンズ国か。懐かしいな。もう、何年も行ってないな……」


ふと、アスカが呟いた。その姿は少し寂しそうで。


「オレが最後に行ったのは一昨年。サクヤさん、相変わらずだけど、青龍が居なくなったからか、少し元気が無いように見える」

「そうか……」


「『せいりゅう』って?」


何だか話の雲行きが怪しくなってきたのでサトシはわざと話を振ってみた。アスカもライン暗い顔をしているのだ。こっちまで落ち込むだろうが。


「方角の東を守護する聖獣で神様。普段は人と変わらない姿をしているが、本当は青い龍の姿をしている」

「青い龍?」

「君の背中の痣みたいな、青い龍だ。人の姿をしている時は、……そうだな。君とそっくりだな」

「サトシが大人になったら、青龍と同じ顔になるんじゃないかってくらいそっくりだな」


か、神様とそっくりって言われると、どう反応したらいいのかわからないんだけど……。楽しそうに説明してくれるのはいいんだけど、何故そんなに詳しいんだ。


「神様に逢った事があるの?」

「ある。私もラインも」


凄いな。神様に逢った事があるんだ。これで、ラインだけだったら「嘘つけ」と罵るんだが、誠実そうなアスカが言うのなら本当なんだろう。


「どんな神様なの?」

「恋多き神様だな」

「女好きだしな」


恋……?

女好き……?


「アセンズ国を建国した女皇の母巫女が青龍の娘とか聞いたな」

「『竜姫たつき様』だっけ?たしか、竜宮の『乙姫様』も青龍の娘だったよな?しかも、『竜姫様』と『乙姫様』の母親違う人だし」


……?


「青龍に仕える眷族も全員女だったな」

「『どの娘も平等に愛している』とか言ってたっけ。てかさー、あの女たらしの一体何処がいいのさ……ってあれ?」


「…………」


話が白熱していたラインは、サトシが困惑している事にようやく気が付いた。そのサトシの様子がよっぽど面白かったのか、笑いたいのを必死に堪えている。


「えっと……。言いたい事とか質問があれば、どうぞ?」


サトシはムッとして文句をつけてやろうと思い、口を開いた。


「まず、女たらしの神様にそっくりと言われて、いい気はしないんだけど?」

「あっはっはっはっはっはっ!」


ラインが堪えきれずに大声で笑いだした。しかし、そんなラインの足元が急に凍りだした。


「うわっ!何なんだ?!」

「……大丈夫。痛い思いはせずに死ねるから……」


ラインを睨むサトシの瞳は金色に輝いていた。


「待て待て待て待て!悪かったから!凍死は嫌!とう……」


ラインの氷付け出来上がり。本当に死なれると困るのですぐに解凍。びしょ濡れラインの出来上がり。


「人間の氷付けは初めて見た」

「……そうですか」

「属性は『水』か」

「武器生成からの近距離攻撃が得意で、遠距離攻撃の練習もしてるんだよな」


濡れたTシャツを脱いで絞るライン。そのポジティブは一体何処からくるんだ。


「ほう」

「体術はまだまだだけど、スピードあるし、力あるから、もっと修行したら強くなると思う」

「何か、珍しくラインに誉められてる。気持ち悪い……」

「そこは素直に喜んで?」


仕方が無いので、ラインのTシャツを引ったくると魔法でTシャツの水分を飛ばした。ほわほわと水の塊が宙に浮いている。


「はい。素直に喜んで?」

「あ、はい。ありがとうございます」


乾いたTシャツを受け取ったラインは「解せぬ」と言いたそうな顔をしている。


「ズボンとパンツも乾かしてよ」

「やーだよ」

「お前が濡らしたんじゃん」

「笑ったお前が悪い」

「ケチ」


「仲良しだな」


くすくすと笑うアスカ。何処をどう見たら仲良しに見えるんだ。


「じゃなくて!アスカ、サトシの修行の相手してよ」

「え?」

「私が?」


急に何を言い出すんだ、コイツは。


「オレは魔法使えないから、サトシの魔法の修行の相手出来ないんだよ。魔術だったら相手出来るんじゃないかと思ってさ!」

「……成る程。そういう事か」

「もし魔術師相手に戦わなきゃならなくなった時の練習にもなると思うんだけど、どう?」

「そうだな。私で良ければ相手になろう」

「だってさ!サトシ、どう?」

「えっ?えっと……」


いきなりだったので、どうしていいのかわからない。人間相手はラインと姉以外戦った事が無いのだ。魔法戦の殆どは魔物相手だった。人間相手に魔法でどう戦っていいのかわからない。


「……考えときます」

「何で?!いいチャンスなのに!」

「まあ、サトシにはサトシの事情があるのだろう。私はいつでもいいから、考えといてくれ」

「はい……」


気を使わせてしまった。気を使うのも気を使わせるのも、あまり好きじゃない。ラインもそうだ。オレの為に提案してくれたんだ。皆が、オレの為に色々言ってくれたりしてくれたりする。ただ、その好意は嬉しい半面、正直言ってしんどい。オレの事、そんなに構ってくれなくてもいいのに、何故そんなに構おうとするのか。


いつかは、離れていく癖に……。

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